
コラム COLUMN
膝 膝が片方だけ痛いときに考えられる疾患と治療法

「右膝だけが痛い」「左膝だけに違和感がある」——そんなふうに、膝の片側だけに症状が出ることは珍しくありません。痛みの原因はさまざまで、放置すると慢性化する恐れもあります。この記事では、膝が片側だけ痛むときに考えられる主な疾患と、その治療法についてわかりやすく解説します。
なぜ膝が「片方だけ」痛くなるのか?
両膝に同時に痛みが出ることもありますが、日常診療では「片膝だけが痛む」という訴えの方が多く見られます。これにはいくつかの理由があります。
1つは「使い方の偏り」です。階段の昇り降り、立ち上がり動作、スポーツなどで無意識に片方の膝に負担が集中することがあります。また、姿勢や歩き方の癖、足の長さの差なども影響します。
もう1つの理由は、「局所的な疾患」が片膝のみに発症しているケースです。では、具体的にどんな病気が考えられるのでしょうか?
片側の膝の痛みで考えられる主な疾患
変形性膝関節症(へんけいせいしつかんせつしょう)
中高年に多い疾患で、軟骨のすり減りにより膝に痛みや腫れが生じます。左右どちらか片方から始まることが多く、特に膝の内側(内側型)が多く見られます。歩き始めや階段を下りるときに痛みを感じやすいのが特徴です。
半月板損傷(はんげつばんそんしょう)
膝関節内にあるクッションの役割を持つ半月板が、加齢やスポーツなどで損傷することで痛みが出ます。損傷した側の膝に鋭い痛みが走り、「引っかかる感じ」や「曲げ伸ばしの制限」が生じることがあります。
靱帯損傷(じんたいそんしょう)
スポーツ中の転倒や捻挫などにより、前十字靱帯や内側側副靱帯などが損傷することがあります。受傷直後は腫れや激痛があり、しばらくすると「膝が不安定」と感じるようになります。
滑液包炎(かつえきほうえん)
膝のお皿の下や内側にある「滑液包(関節の潤滑袋)」が炎症を起こすことで、局所的な腫れと痛みが現れます。片膝だけが赤く腫れる場合、この疾患が疑われます。
関節リウマチの初期症状
リウマチは左右対称に症状が出ることが多いですが、初期は片膝だけに違和感や痛みが現れることもあります。「朝にこわばる」「動かすと楽になる」といった症状が特徴です。
自分でできる対処法と受診の目安
軽い痛みの場合、以下のようなセルフケアで症状が和らぐことがあります。
- 膝への負担を減らす(過度な運動や正座を控える)
- 冷却または温め(急性期は冷やし、慢性期は温める)
- サポーターやテーピングの使用
- 軽いストレッチや太ももの筋力トレーニング
しかし、次のような症状がある場合は早めに整形外科を受診しましょう。
- 痛みが数日以上続く
- 膝が腫れている、赤くなっている
- 膝が引っかかる、動かしづらい
- 歩行や階段がつらくなってきた
再生医療という新しい選択肢
変形性膝関節症や半月板損傷の一部では、再生医療という選択肢も登場しています。再生医療では、患者さん自身の血液や脂肪から取り出した成分を使い、損傷した組織の修復を促すことができます。
特に当院で行っている幹細胞治療やPRP治療(多血小板血漿療法)は、手術を避けたい方、仕事やスポーツを続けながら治療したい方に選ばれています。
再生医療はすべての方に適応できるわけではありませんが、保存療法と手術の間の新たな選択肢として注目されています。
まとめ
膝の片方だけが痛いとき、その背景にはさまざまな疾患や使い方のクセが関係しています。放置せず、早期に原因を突き止めることで、より良い治療と生活の質の改善が期待できます。
少しでも違和感を覚えたら、まずは専門医にご相談ください。


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