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股関節 長時間歩くと股関節が痛む方へ|考えられる病気と対処法

「最近、少し長く歩くだけで股関節が痛くなる…」そんな症状に心当たりはありませんか?股関節の痛みは年齢とともに起こりやすく、特に中高年の方に多い悩みです。本記事では、長時間歩行によって生じる股関節の痛みの原因や考えられる病気、そして対処法について、整形外科専門医の立場からわかりやすく解説します。
長時間歩行で股関節が痛くなる理由
股関節は体重を支える重要な関節であり、歩行や階段の昇降など日常の動作に深く関わっています。長時間の歩行では、関節に繰り返し負担がかかるため、関節や周囲の組織に炎症や摩耗が生じやすくなります。
また、股関節の可動域が狭くなったり、筋力が低下していると、余計なストレスが関節に集中しやすくなり、結果として痛みが現れることがあります。
考えられる主な病気
長時間歩くことで股関節に痛みが出る場合、以下のような病気が疑われます。
1. 変形性股関節症
中高年の女性に多く見られる疾患で、関節の軟骨がすり減ることによって痛みや動かしにくさが起こります。初期は「歩いた後に痛む」「股関節が硬く感じる」といった症状から始まり、進行すると安静時にも痛みが出てくることがあります。
2. 臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)
股関節の受け皿(臼蓋)が浅く、生まれつき構造的に不安定な状態を指します。日本人女性に多く、長年にわたって負担がかかることで、変形性股関節症へと進行するリスクがあります。
3. 大腿骨頭壊死(だいたいこっとうえし)
大腿骨の先端部分にある骨頭への血流が障害されて壊死する病気です。初期には自覚症状が乏しい場合もありますが、徐々に股関節の深部に痛みが出て、歩行が困難になることもあります。
4. 坐骨神経痛や腰部脊柱管狭窄症
腰椎の神経が圧迫されることで、股関節周囲や太ももに痛みが出ることがあります。この場合、原因は股関節そのものではなく、腰椎にあります。
放置するとどうなる?
股関節の痛みを放置していると、関節の可動域がどんどん狭まり、歩行や日常動作に大きな支障をきたすことがあります。また、姿勢が悪くなったり、他の関節(膝や腰)に余分な負担がかかることで、二次的な痛みが出てくることも少なくありません。
そのため、早期に正確な診断を受け、適切な対応を取ることが非常に重要です。
自宅でできる対処法
まずは股関節への負担を減らす生活を意識しましょう。
- 体重管理:股関節は体重の負担を直接受ける関節です。体重が重くなると痛みも悪化しやすいため、適正体重を維持することが重要です。
- ストレッチや軽い運動:無理のない範囲で股関節周囲の筋肉をほぐし、柔軟性を保つことが大切です。
- 椅子の高さを調整する:座る・立つ動作のたびに股関節へ負荷がかかります。膝と股関節が同じ高さになるような椅子を使うと、負担を軽減できます。
医療機関での治療法
痛みが続く、または日常生活に支障がある場合には、整形外科を受診しましょう。以下のような治療法が選択されます。
- 消炎鎮痛薬(内服・湿布)
- ヒアルロン酸注射
- 理学療法(リハビリ)
- 再生医療(PRP・幹細胞治療)
近年では、股関節の早期の変性や炎症に対して、PRP(多血小板血漿)や脂肪由来幹細胞を用いた再生医療も注目されています。自分の細胞を使うため副作用が少なく、自然治癒力を高める治療として選ばれています。
まとめ
長時間歩いたときに股関節が痛むというのは、何らかの病気のサインかもしれません。無理をせず、早めに整形外科を受診することが健康への第一歩です。また、日常生活でのちょっとした工夫や再生医療のような新しい治療法も選択肢の一つとなります。ぜひ自分の体と向き合い、適切なケアを行っていきましょう。


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