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スポーツ外傷膝 子どもの膝が痛いのはなぜ?成長期に多い原因と対処法

子どもが「膝が痛い」と訴えると、成長の一環なのか、それとも病気のサインなのか不安になる親御さんも多いことでしょう。特にスポーツをしている子どもは膝のトラブルが起きやすく、早めの対応が大切です。
本記事では、成長期の子どもによく見られる膝の痛みの原因と、それぞれの対処法についてわかりやすく解説します。
成長期の膝の痛みの特徴
成長期とは、おおよそ小学校高学年から中学生にかけての期間で、骨が急速に伸びていく時期です。この時期は、骨の成長に筋肉や腱が追いつかず、関節に負担がかかりやすくなります。特に「膝」はスポーツ時に大きな負荷がかかるため、痛みが出やすい部位です。
子どもの膝の痛みの主な原因
子どもの膝の痛みには、いくつかの代表的な原因があります。それぞれの症状の特徴を知っておくと、早期発見・適切な対処がしやすくなります。
① オスグッド・シュラッター病(オスグッド病)
成長期のスポーツ少年に多く見られます。膝の下(脛骨粗面)に痛みと腫れが出るのが特徴で、ジャンプやダッシュを繰り返す運動で悪化します。特にサッカーやバスケットボール、陸上競技などで多発します。
② 成長痛
夕方から夜にかけて、膝や太もも、ふくらはぎなどが痛むことがあります。医学的には「成長痛」として明確な病態があるわけではなく、はっきりした炎症やケガがなくても痛むのが特徴です。安静やマッサージで軽減する場合が多いです。
③ ジャンパー膝(膝蓋腱炎)
膝のお皿のすぐ下が痛くなるもので、ジャンプやランニングの多いスポーツでよく見られます。長引くと慢性化することもあるため、早めの休養が大切です。
④ 半月板損傷や靱帯損傷
接触プレーや転倒によって膝をひねると、半月板や靱帯が傷つくことがあります。関節内で引っかかり感やロッキング(急に動かなくなる)を訴えることがあれば、精密検査が必要です。
⑤ ペルテス病や骨端症などの病気
ごくまれに、骨や関節の病気が原因の場合もあります。痛みが長引く、夜も眠れない、熱があるなどの症状がある場合は、整形外科の受診をおすすめします。
自宅でできる対処法と注意点
軽度の膝の痛みであれば、自宅でできるケアでも改善することがあります。
・アイシング
運動後に痛みが出た場合は、氷で冷やすことで炎症を抑えることができます。1回15分程度が目安です。
・安静
痛みが出たときは無理に運動を続けず、休むことが最優先です。症状が落ち着くまで数日から数週間休養することが大切です。
・ストレッチと筋力強化
太ももの前側(大腿四頭筋)や後ろ側(ハムストリングス)の柔軟性が低いと、膝への負担が大きくなります。柔軟性を高めるストレッチや体幹トレーニングを日常的に取り入れると予防につながります。
・サポーターの使用
スポーツを再開する際、膝にかかる負荷を軽減するためにサポーターを使うのも有効です。ただし、過信せず無理のない範囲で活動を再開しましょう。
整形外科の受診を検討すべきタイミング
次のような症状がある場合は、整形外科での診察をおすすめします。
- 痛みが数日たっても改善しない
- 膝が腫れている、熱をもっている
- 歩行に支障がある、足を引きずっている
- 関節が動かない(ロッキング)
- 夜間痛がある、発熱がある
医師による診察と必要に応じたレントゲンやMRI検査で、正確な診断がつきます。早期に適切な治療を受けることで、後遺症を残さず回復することができます。
再発を防ぐためのポイント
膝の痛みが一度治まっても、同じ運動習慣を続けていれば再発することがあります。以下の点に注意しましょう。
- 練習量や頻度を見直す(休息日をしっかり設ける)
- 柔軟性を高めるストレッチの継続
- 身体全体のバランスを整えるトレーニング
- 成長に伴う身体の変化に合わせたトレーニングメニュー
子ども自身に体のサインを聞き取る習慣を持たせることも重要です。無理をしないことが、将来的なケガの予防につながります。
まとめ:子どもの膝の痛みは早めの対応がカギ
子どもの膝の痛みは、成長に伴う一時的なトラブルであることも多い一方で、病気やケガが隠れていることもあります。「そのうち治るだろう」と放置せず、症状が続くようなら早めに専門医を受診しましょう。
痛みの早期発見と適切な対処で、大切なお子さんの運動能力や将来の健康を守ることができます。
監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長
岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。
札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。
院長 川上公誠
(プロフィール)
監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長
岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。


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