
コラム COLUMN
肩 変形性肩関節症とは?初期症状から最新の治療法まで

肩の痛みや動かしづらさが続いていませんか?「四十肩・五十肩かと思っていたら、実は変形性肩関節症だった」という方も少なくありません。特に中高年になると、肩の関節の変化が原因で生活に支障をきたすケースが増えてきます。今回は、変形性肩関節症の原因や初期症状、診断方法、そして近年注目されている最新の治療法について、専門医の視点からわかりやすく解説します。
変形性肩関節症とは?
変形性肩関節症とは、肩関節の軟骨がすり減ることで、関節に炎症や変形が起こり、痛みや可動域制限が現れる疾患です。肩関節は非常に可動範囲が広い構造をしており、日常的に多くの負担がかかっています。加齢や外傷の積み重ねにより軟骨が摩耗し、骨同士が直接こすれ合うようになると、痛みや腫れ、動かしにくさが生じます。
初期症状と見逃されやすいサイン
変形性肩関節症の初期には、以下のような症状が見られることがあります。
- 朝起きたときに肩がこわばる
- 肩を回すとゴリゴリ音がする
- 高いところに手が届きにくくなる
- 肩を使うと痛みが出るが、安静にすると治まる
- 洗髪や着替えがしづらい
これらの症状は「加齢によるもの」「五十肩」と誤解されやすく、放置されがちです。しかし、放置することで関節の変形が進行し、治療が難しくなる場合もあるため、早めの受診が重要です。
原因とリスク因子
変形性肩関節症の主な原因は、加齢による軟骨の摩耗です。しかし、それだけではなく、以下のような要因も発症に関わっています。
- 肩の外傷歴(脱臼、骨折など)
- スポーツや仕事での繰り返し動作
- 肩腱板断裂の放置
- 遺伝的要素
- 糖尿病や甲状腺疾患などの基礎疾患
また、女性は閉経後に骨や関節の変化が起こりやすいため、男性よりも発症しやすい傾向にあります。
診断方法と検査内容
変形性肩関節症が疑われる場合、まずは問診と身体診察を行い、次に画像検査を行います。レントゲン検査では、関節の隙間の狭まりや骨の変形が確認されます。さらに詳細な評価にはMRI検査やCTスキャンを用いることで、軟骨の損傷具合や腱板の状態を把握できます。
治療法|保存療法から再生医療まで
治療法は症状の程度によって異なり、まずは保存療法(手術以外の治療)から始めます。
保存療法
- 薬物療法:消炎鎮痛薬や湿布の使用
- リハビリテーション:肩関節周囲の筋力強化と可動域改善
- 注射療法:ヒアルロン酸注射やステロイド注射
これらの治療で改善が見られない場合、次のステップとして手術が検討されます。
手術療法
- 鏡視下手術:関節のクリーニングや腱板の修復
- 人工肩関節置換術:変形が高度な場合に実施される
最新の治療法:再生医療
近年、再生医療が注目されています。これは患者自身の細胞(脂肪由来幹細胞や血液から抽出したPRP)を利用して、損傷した組織の修復を促す治療です。手術を避けたい方や、他の治療法で効果が出にくい方にとって、新たな選択肢となり得ます。
再生医療の利点は以下の通りです。
- 自然治癒力を活かすため副作用が少ない
- 入院不要で日帰り治療が可能
- 関節の機能改善と痛みの軽減が期待できる
当院でも、変形性肩関節症に対する再生医療を導入しております。
まとめ|肩の違和感は早めに専門医へ
変形性肩関節症は、進行すると日常生活の質を大きく低下させる可能性があります。しかし、早期発見と適切な治療により、進行を抑えたり、症状を改善したりすることが可能です。少しでも肩に違和感がある場合は、我慢せずに整形外科専門医の診察を受けることをおすすめします。
最新の再生医療を含め、患者様一人ひとりに合わせた治療法を選ぶことが、肩の健康を守る第一歩です。


各種ご相談やご予約はこちら
- ひざの痛みに関する相談
- セカンドオピニオンの相談
- 再生医療に関する相談
- MRI検査のご予約