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膝 正しい歩き方でひざの痛み予防!専門家が教える3つのコツ

「最近ひざが痛い…」「歩くたびに違和感がある」そんな悩みを抱えている方は少なくありません。実はその原因、日々の「歩き方」にあるかもしれません。ひざ関節に余計な負担がかかる歩き方を続けていると、将来的に変形性ひざ関節症などのトラブルに発展するリスクがあります。今回は、関節の専門医が「ひざにやさしい正しい歩き方」について、3つのポイントをわかりやすく解説します。
この記事の内容
1. 姿勢を正しく保つことが基本
ひざにかかる負担を減らすには、まず「姿勢」が大切です。前かがみになったり、猫背になったりすると、体の重心が前方に偏り、ひざにかかる力が増します。正しい姿勢とは、以下のような状態です。
- 頭の位置が体の真上にあり、あごを引いている
- 肩の力が抜けていて、左右のバランスが取れている
- 骨盤が立っており、腰が反りすぎたり丸まりすぎたりしていない
姿勢を意識するだけでも、ひざにかかる負担は大きく変わります。立っているときや歩いているときに、壁に背中をつけて自分の姿勢をチェックしてみましょう。
2. かかとから着地し、足裏全体で体重を支える
歩き方のポイントとして最も重要なのが「着地のしかた」です。理想的な歩行では、足が地面に接する順番は「かかと → 足裏全体 → つま先」の順です。これは、「ローリング歩行」とも呼ばれ、地面からの衝撃をスムーズに吸収する歩き方です。
ひざに負担がかかる歩き方には、以下のような特徴があります。
- 足裏全体を同時に地面につけて「ドスン」と歩く
- つま先から着地してしまう
- 内股歩きや外股歩きなど、偏った足の運び方
これらの歩き方はひざの軟骨に局所的なストレスを与え、関節の変形を引き起こす可能性があります。意識して「かかとから着地」することで、歩行時の衝撃を和らげ、ひざにやさしい動きができます。
3. 歩幅を広げすぎない!リズムよく歩くのがコツ
健康のために「大股で歩こう」と言われることもありますが、過度な歩幅は逆効果です。特にひざに痛みを感じている方や筋力が低下している方にとっては、歩幅を広げすぎることでひざに強い伸展力がかかり、逆に関節を痛めてしまいます。
おすすめは「自然な歩幅でリズムよく歩く」ことです。目安としては、靴1足分ほど前に足を出すくらいの歩幅が理想です。さらに以下のようなポイントも意識しましょう。
- 歩くテンポは「トントン」とリズムよく
- 腕を軽く振って体全体のバランスをとる
- 視線は足元ではなく、前方1.5〜2メートル先を見る
無理のない歩幅とリズムを保つことで、関節や筋肉のバランスが整い、ひざへの負担を減らすことができます。
再生医療という新しい選択肢
近年では、従来の治療に加えて再生医療という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療やPRP(多血小板血漿)治療といった方法は、体の自然治癒力を引き出して関節の修復を促す治療法として注目されています。
例えば、脂肪から採取した幹細胞をひざ関節に注入する治療では、変性した軟骨の修復や再生が期待できます。これにより、「もう正座はできないかも…」とあきらめていた方が、再び正座ができるようになったケースもあります。
ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無をしっかり診断してもらうことが重要です。
おわりに:毎日の歩き方が未来のひざを守る
ひざの痛みを予防するには、特別なトレーニングや器具よりも、まず「歩き方の見直し」が大切です。正しい姿勢、正しい着地、自然なリズム。この3つを意識するだけで、ひざへの負担は大きく減り、関節を長持ちさせることができます。
もし、すでにひざに違和感や軽い痛みがある場合は、無理をせず専門医に相談しましょう。初期の段階でケアを始めることが、将来の関節トラブルを未然に防ぐ最大のポイントです。
札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。
院長 川上公誠
(プロフィール)
監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長
岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。


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