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膝 関節リウマチによる膝の痛みとは?早期発見と対策法

膝の痛みと聞くと、変形性膝関節症を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、「関節リウマチ」も膝関節の痛みを引き起こす代表的な疾患です。関節リウマチは早期に発見し、適切な治療を行うことで、痛みや関節破壊を抑えることができます。本記事では、関節リウマチによる膝の痛みの特徴、見逃しやすい初期症状、診断方法、そして治療や予防について、わかりやすく解説します。
この記事の内容
関節リウマチとは?―免疫異常が引き起こす関節炎
関節リウマチは、自己免疫の異常により、関節内の滑膜という組織が炎症を起こし、関節の痛み・腫れ・変形を引き起こす病気です。発症のピークは30〜50代の女性に多いですが、60代以降に発症することもあります。
関節リウマチは全身の関節に影響を与えるため、膝を含めて複数の関節に痛みが出るのが特徴です。放置すると関節の破壊が進み、日常生活に大きな支障をきたす恐れがあります。
膝に出やすい関節リウマチの初期症状とは
関節リウマチによる膝の痛みは、通常の膝痛とは少し違った特徴があります。以下のような症状がみられたら、早めに医療機関を受診しましょう。
- 朝起きた時に膝がこわばる(朝のこわばりが30分以上続く)
- 膝関節が左右対称に痛む
- 押さえると熱っぽく腫れている
- 動かすと痛むが、じっとしていてもズキズキする
- 関節の可動域が狭くなってきたと感じる
初期には、疲労感や微熱、体重減少といった全身症状も伴うことがあります。
診断には血液検査と画像検査が必要
関節リウマチは、早期に診断することで進行を遅らせることができます。診断のためには以下のような検査が行われます。
- 血液検査:リウマトイド因子(RF)や抗CCP抗体、CRP、赤沈など
- 画像検査:X線で関節の骨びらんを確認、さらにMRIやエコーで炎症の有無を評価
特に抗CCP抗体は、関節リウマチの特異性が高く、早期診断の鍵となります。
治療の基本は薬物療法―早期開始が重要
関節リウマチの治療は、病気の進行を抑えることを目的とした**抗リウマチ薬(DMARDs)**が中心です。特にメトトレキサートという薬が標準治療薬とされています。
また、近年では生物学的製剤やJAK阻害薬といった新しい治療薬も登場し、重症例にも対応可能になっています。いずれも早期に始めることで、関節破壊を防ぐことができます。
ステロイドやNSAIDs(非ステロイド抗炎症薬)は補助的に用いられますが、根本的な治療にはなりません。
膝の痛みに対するリハビリと再生医療の可能性
進行した関節リウマチでは、膝の変形や関節機能の低下が起こることがあります。この場合、**理学療法(リハビリ)**により関節の可動域を保ち、筋力を維持することが大切です。
さらに、近年注目されているのがPRP療法や幹細胞治療といった関節の再生医療です。滑膜炎を抑える効果や軟骨の保護作用が期待されており、薬物療法と併用することで、さらなるQOL(生活の質)改善を図ることが可能です。
関節リウマチの膝痛と上手に付き合うために
関節リウマチによる膝の痛みは、放置すれば関節破壊に至る一方、早期発見と適切な治療によって進行を抑えることが可能です。
日頃から次のような点に気をつけることが予防・早期発見につながります。
- 朝のこわばりや腫れを放置しない
- 複数関節に痛みがあるときは整形外科またはリウマチ専門医を受診
- 定期的に血液検査を受ける
- 体調の変化を記録しておく
そして、治療中の方は自己判断で薬を中断せず、医師と相談しながら治療を継続しましょう。
膝の痛みが「ただの老化現象」ではなく、関節リウマチのサインかもしれません。正しい知識と対策で、関節の健康を守りましょう。
札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。
院長 川上公誠
(プロフィール)
監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長
岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。


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