
コラム COLUMN
膝 体重をかけると膝がズキッと痛むときの注意点

ふと立ち上がったときや歩き出す瞬間、「ズキッ」と膝に痛みが走った経験はありませんか?日常生活の中で体重をかけた際に膝に痛みが出るのは、見逃してはいけない体からのサインかもしれません。
本記事では、体重をかけると膝が痛む原因と考えられる病気、放置するリスク、そして正しい対処法について、整形外科専門医の視点から解説します。
体重をかけると膝が痛い原因とは?
体重をかけたときの膝の痛みは、関節にかかる圧力や摩擦が原因で起こることが多く、代表的な原因には以下のような疾患が挙げられます。
変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)
中高年層に多く見られるこの病気は、膝の軟骨がすり減ることで骨同士が擦れ合い、炎症や痛みを引き起こします。特に体重をかけたときや長時間の歩行後にズキッと痛むのが特徴です。
半月板損傷(はんげつばんそんしょう)
膝のクッションの役割を果たす半月板が損傷すると、膝を曲げ伸ばししたときに鋭い痛みが走ることがあります。スポーツ経験者や中高年に多く、階段の昇降や立ち上がり動作で強く痛むことがあります。
靭帯損傷
内側側副靱帯や前十字靱帯などが傷つくと、膝が不安定になり、体重をかけた際にズキッとした痛みが現れます。外傷のあとに発生することが多いですが、加齢による変性でも起こります。
関節炎(感染性、リウマチ性)
関節内で炎症が起きると、わずかな荷重でも痛みを感じるようになります。朝方にこわばりがあったり、熱感や腫れを伴うことがあるため、早めの診察が必要です。
痛みを放置するとどうなる?
膝の痛みを「そのうち治るだろう」と放置してしまうと、症状が進行し、次のようなリスクを伴います。
- 軟骨や半月板の損傷が悪化し、手術が必要になる可能性がある
- 炎症によって関節内に水がたまり、腫れや熱感が出る
- 痛みをかばうことで、反対側の膝や股関節、腰に負担がかかる
- 歩行が困難になり、日常生活に支障が出る
特に、体重をかけたときに「ズキッ」と痛む症状が頻繁に出る方は、関節の構造そのものに問題が起きている可能性があるため、早めの受診が大切です。
病院に行くべきタイミング
次のような症状がある場合は、整形外科を受診することをおすすめします。
- 階段の昇り降りや立ち上がりで強い痛みがある
- 歩くたびにズキズキと痛みが続く
- 関節が腫れている、熱をもっている
- 安静にしていても痛みが治らない
- 痛みが徐々に強くなっている
痛みの原因を正確に把握するためには、レントゲンやMRIなどの画像検査が必要になる場合があります。
自宅でできる応急処置と対策
急な膝の痛みには、以下のような方法で負担を軽減できます。
- 安静とアイシング:痛みが強い場合は無理に動かさず、膝を冷やして炎症を抑える
- サポーターやテーピング:膝を安定させ、動作時の負担を軽減
- 体重コントロール:体重が膝にかかる負担を減らすことは非常に重要
- 筋力トレーニング:痛みが落ち着いたら、太ももの筋力を鍛えて膝関節をサポート
ただし、これらはあくまでも一時的な対策であり、原因に応じた治療が必要です。
再生医療という選択肢も
変形性膝関節症など、軟骨の摩耗や半月板の損傷に対しては、近年ではPRP療法(多血小板血漿療法)や幹細胞治療といった再生医療が注目されています。
これらは手術を回避できる選択肢として、特に手術を避けたい方やリハビリに時間をかけられない方にとって有効です。当院でも再生医療を導入し、多くの方に喜ばれています。
まとめ
体重をかけたときの膝の痛みは、単なる疲労ではなく、関節の異常が隠れているサインかもしれません。放置せずに正しい診断と治療を受けることで、将来の大きなトラブルを防ぐことができます。
膝に「ズキッ」と痛みを感じたら、まずは無理をせず、専門医に相談してみましょう。


各種ご相談やご予約はこちら
- ひざの痛みに関する相談
- セカンドオピニオンの相談
- 再生医療に関する相談
- MRI検査のご予約