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スポーツ外傷膝 ゴルフでひざが痛くなるのはなぜ?整形外科医が原因と対策を解説

ゴルフは年齢を問わず楽しめるスポーツとして多くの方に親しまれていますが、実は「ひざの痛み」を訴えるゴルファーが増えています。「最近ラウンド後にひざが痛むようになった」「スイングするときに違和感がある」など、ゴルフをきっかけにひざの不調を感じる人は少なくありません。本記事では、ゴルフ中のひざの痛みの原因や、スイング時に気をつけるべきポイントを整形外科専門医の立場から解説します。ひざの再生医療を提供する医師として、予防と改善のヒントもご紹介します。
この記事の内容
ゴルフがひざに与える負担とは?
ゴルフは一見、ひざに強い負荷がかからないスポーツに見えるかもしれません。しかし、スイング動作や歩行、傾斜地でのプレーなど、知らず知らずのうちにひざ関節には負担がかかっています。特に、スイング時には体重移動によって片側のひざに負荷が集中し、内側側副靱帯や半月板、関節軟骨にストレスがかかります。
また、カートを使わずにプレーする場合、1ラウンドで約8〜10km歩くことになります。これはひざにとってかなりの負荷であり、特に中高年のゴルファーでは加齢に伴う筋力低下や関節のすり減りが原因で痛みが出やすくなります。
ゴルフ中に起こるひざの痛みの主な原因
ゴルフ中のひざの痛みには、以下のような原因が考えられます。
1. 変形性ひざ関節症
中高年のゴルファーで最も多い原因が変形性ひざ関節症です。これは、関節軟骨がすり減ることで関節の動きが悪くなり、痛みや腫れ、引っかかり感が生じます。初期段階ではゴルフ中や後に「なんとなく違和感がある」と感じる程度ですが、進行すると階段の昇り降りや長時間の歩行が困難になります。
2. 半月板損傷
スイングの際に体をひねる動作や、急な方向転換などがきっかけで半月板に損傷が生じることがあります。特に、昔スポーツをしていてケガをした経験がある人は、加齢によって半月板が弱くなり、ちょっとした動作でも傷つきやすくなっています。
3. 靱帯への負荷
ゴルフスイングでは、踏み込んだ足のひざに体重が集中するため、**内側側副靱帯(MCL)**に大きな負荷がかかります。長年ゴルフを続けている人ほど、この部分にストレスが蓄積されやすく、痛みや炎症、腫れを感じることがあります。
スイング時に注意したいポイント
ひざの痛みを予防するためには、正しいフォームでのスイングと下半身の筋力強化が重要です。
- スイングで無理に体をひねらない
特にバックスイングやフォロースルーで過度に体をねじると、ひざにねじれの力が加わり、靱帯や半月板を傷める原因になります。 - 体重移動をスムーズに行う
体重をスイングの勢いだけで移動させると、着地側のひざに急激な負荷がかかります。体幹を意識し、バランスよく動くことが大切です。 - ゴルフシューズの選び方にも注意
ひざに優しいスパイクレスのシューズや、クッション性の高いインソールを使用することで、負担を和らげることができます。
ひざの痛みを感じたら、早めに医師の診察を
「ゴルフのときだけ痛むから」と様子を見ているうちに、症状が悪化するケースは少なくありません。早期に医療機関を受診し、原因を正確に把握することが何より大切です。レントゲンやMRIを用いた検査により、変形や損傷の程度を確認することで、適切な治療やリハビリが可能になります。
当院では、**ひざの再生医療(PRP療法や幹細胞治療)**を取り入れ、手術を避けたいゴルファーの方にも対応しています。まだスイングが可能な段階で治療を始めれば、ゴルフを長く楽しむことも十分可能です。
再生医療という新しい選択肢
近年では、従来の治療に加えて再生医療という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療やPRP(多血小板血漿)治療といった方法は、体の自然治癒力を引き出して関節の修復を促す治療法として注目されています。
例えば、脂肪から採取した幹細胞を関節に注入する治療では、変性した軟骨の修復や再生が期待できます。これにより、「もう正座はできないかも…」とあきらめていた方が、再び正座ができるようになったケースもあります。
ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無をしっかり診断してもらうことが重要です。
ゴルフとひざの健康を両立させるために
ゴルフは健康維持にも非常に効果的なスポーツですが、ひざの痛みを無視してプレーを続けることは、将来的な関節の変形や引退につながるリスクがあります。少しでも違和感を感じたら、早めの対応と日常のケアを心がけましょう。
当院では、ひざの痛みに悩む方に向けた無料相談会や再生医療の説明会も実施しています。ひざの痛みでゴルフを諦めたくない方は、ぜひ一度ご相談ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. ゴルフ中にひざが痛くなる原因は何ですか?
A. スイングによる体重移動や歩行負荷によって、半月板や靱帯、関節軟骨にストレスがかかり、痛みの原因となります。
Q2. スイング時にひざを傷めないためにはどうすればいいですか?
A. 無理なねじりを避け、体幹を意識したバランスの良い体重移動を行うことが大切です。フォーム改善も予防に効果的です。
Q3. ゴルフでひざが痛むときは医療機関を受診すべきですか?
A. はい。ひざの違和感が続く場合は早めに整形外科を受診し、画像検査などで状態を確認することをおすすめします。
札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。
院長 川上公誠
(プロフィール)
監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長
岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。


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