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膝 変形性膝関節症と診断されたら注意すべきこと|痛みを抑えて進行を防ぐ生活の工夫

変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)は、膝関節の軟骨がすり減り、関節が変形して痛みや腫れを引き起こす疾患です。日本では、約800万人が何らかの症状を抱えており、特に中高年の女性に多く見られます。この病気と診断された場合、日常生活での注意点や効果的な対処法を知ることが重要です。
この記事の内容
変形性膝関節症とは
膝関節は、大腿骨(だいたいこつ)と脛骨(けいこつ)の間にある関節で、関節面は軟骨で覆われています。この軟骨がクッションの役割を果たし、関節の動きを滑らかにしています。しかし、加齢や過度の負荷により軟骨がすり減ると、骨同士が直接擦れ合い、炎症や痛み、関節の変形が生じます。これが変形性膝関節症です。
症状の進行と特徴
変形性膝関節症の症状は、初期、中期、末期と段階的に進行します。
- 初期: 動作開始時に膝のこわばりや軽い痛みを感じますが、動かしているうちに症状が和らぐことが多いです。
- 中期: 痛みが持続的になり、階段の上り下りや正座が困難になります。膝の腫れや熱感、水が溜まる(関節水腫)といった症状も現れます。
- 末期: 関節の変形が顕著になり、O脚やX脚になることがあります。日常生活の動作が制限され、強い痛みが常に伴います。
診断されたら注意すべきこと
1. 適切な運動と筋力トレーニング
膝周辺の筋力を強化することで、関節への負担を軽減できます。特に大腿四頭筋(だいたいしとうきん)を鍛えることが効果的です。ただし、過度な運動は逆効果となるため、医師や理学療法士の指導のもと、無理のない範囲で行いましょう。
2. 体重管理
肥満は膝関節への負担を増大させ、症状を悪化させる要因となります。適正体重を維持することで、膝への負荷を軽減し、症状の進行を抑えることが期待できます。
3. 日常生活での工夫
- 膝への負担を減らす: 長時間の立ち仕事や重い物を持つ作業は避け、休息を適度に取り入れましょう。
- 適切な靴の選択: クッション性の高い靴や、インソールを使用して衝撃を和らげることが有効です。
- サポーターや杖の活用: 膝の安定性を高めるために、サポーターや杖を使用することも検討してください。
4. 定期的な医療機関の受診
症状の進行や治療効果を確認するため、定期的に医師の診察を受けることが重要です。適切なタイミングで治療方針を見直すことで、症状の悪化を防ぐことができます。
治療法の選択肢
変形性膝関節症の治療は、症状の程度や患者の生活状況に応じて選択されます。
- 保存療法: 薬物療法やヒアルロン酸注射、物理療法などで痛みや炎症を和らげます。
- 手術療法: 症状が重度の場合、人工関節置換術などの手術が検討されます。手術の適応やタイミングは、医師と十分に相談して決定しましょう。
関節のこわばりが進み、さらに症状が悪化する可能性があります。適度な運動や体重管理を意識し、医師と相談しながら自分に合ったケアを続けることが大切です。
再生医療という新しい選択肢
近年では、従来の治療に加えて再生医療という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療やPRP(多血小板血漿)治療といった方法は、体の自然治癒力を引き出して関節の修復を促す治療法として注目されています。
例えば、脂肪から採取した幹細胞を関節に注入する治療では、変性した軟骨の修復や再生が期待できます。これにより、「もう正座はできないかも…」とあきらめていた方が、再び正座ができるようになったケースもあります。
ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無をしっかり診断してもらうことが重要です。
まとめ
変形性膝関節症は、加齢や生活習慣の影響で進行することが多い疾患ですが、適切な対策を講じることで症状を和らげることが可能です。診断されたら、まずは膝に優しい生活習慣を心がけ、必要に応じて治療を受けることが大切です。また、最新の研究では再生医療や新しい薬物療法の開発が進められており、今後さらなる治療の選択肢が増える可能性もあります。
膝の健康を保つことは、日常生活の質を向上させるために非常に重要です。日々のケアを大切にし、無理のない範囲で運動を取り入れながら、長く健康に歩ける生活を目指しましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. 変形性膝関節症と診断されたら、まず何をすべきですか?
A. 膝に過度な負担がかからないよう、運動や体重管理、日常生活の工夫が大切です。医師の指導のもとで適切なケアを始めましょう。
Q2. 運動しても大丈夫ですか?悪化しませんか?
A. 無理のない範囲で行う運動は推奨されます。特に太ももの筋肉(大腿四頭筋)を鍛えると膝の負担が軽減されます。専門家の指導のもとで行いましょう。
Q3. 体重が増えると症状は悪化しますか?
A. はい。体重が膝にかける負担は非常に大きいため、体重管理は重要です。減量により膝の痛みが軽減するケースも多く報告されています。
札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。
院長 川上公誠
(プロフィール)
監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長
岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。


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