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股関節 股関節が痛いのは歳のせい?放置するとどうなる?

「最近、歩き始めに股関節がズキッと痛む」「足の付け根がだるくて階段がつらい」――そんな症状が出てきたとき、「歳のせいかな」と軽く考えていませんか?
実は、股関節の痛みには放置すると悪化してしまう疾患が隠れていることがあります。この記事では、股関節の痛みの原因や、放置するとどうなるのか、また早めの対処法について、わかりやすく解説します。
この記事の内容
股関節の痛みはなぜ起きる?
股関節は、骨盤と太ももの骨(大腿骨)がつながる大きな関節で、体重を支えながら滑らかに動く仕組みになっています。年齢を重ねると、この関節の軟骨がすり減ってきたり、炎症が起きたりすることで痛みが出ることがあります。
股関節が痛む原因としてよく見られるのが「変形性股関節症」です。これは関節のクッションである軟骨が摩耗し、骨同士が直接こすれることで痛みや変形が進行する疾患です。女性に多く、日本人では特に先天的に股関節の形に異常(臼蓋形成不全)がある方が発症しやすいと言われています。
その他にも、股関節の痛みには以下のような原因が考えられます:
- 関節唇損傷(かんせつしんそんしょう)
- 大腿骨頭壊死(だいたいこっとうえし)
- 筋肉や腱の炎症(腸腰筋炎・梨状筋症候群など)
- 骨粗しょう症による骨折
「歳のせい」と軽く見てはいけない理由
「年齢のせいだから仕方ない」と自己判断してしまうと、症状を見過ごしてしまい、病気の発見が遅れてしまうことがあります。股関節の痛みは単なる筋肉疲労ではなく、関節自体に異常があるサインかもしれません。
変形性股関節症は、進行すると関節の動きが悪くなり、靴下を履く、足の爪を切るといった日常の動作すら困難になることも。さらに重症化すれば手術が必要になるケースもあります。早期に発見して治療を開始することで、進行を抑えたり、手術を回避できたりする可能性が高まります。
放置するとどうなる?
股関節の痛みをそのまま放置していると、以下のようなリスクがあります。
- 慢性的な痛みが強くなる
初期は動作の始めや長時間歩いたときに出る痛みでも、徐々に安静時にも痛むようになります。 - 歩行が困難になる
関節の変形が進むと、足の長さに差が出てきたり、歩き方が不自然になったりします。これにより膝や腰にも負担がかかり、さらなる痛みを引き起こす悪循環に。 - 手術の選択を迫られることも
重度の変形性股関節症になると、人工関節置換術などの手術が必要になることがあります。高齢になるほど手術のリスクも高まるため、早期対応が大切です。
早めに受診すべきサインとは?
次のような症状がある場合は、整形外科の受診をおすすめします。
- 歩き始めに股関節が痛い
- 足の付け根が引っかかるような感覚がある
- 股関節を開いたり閉じたりすると痛む
- 痛みで歩く距離が短くなった
- 靴下を履くのがつらくなった
これらの症状は変形性股関節症の初期症状であることが多く、画像検査(レントゲンやMRI)などで原因を特定することが可能です。
股関節の痛みを悪化させないためにできること
股関節の健康を守るには、次のようなポイントが大切です。
- 適度な運動を継続する:股関節周囲の筋肉を鍛えることで、関節への負担を軽減できます。水中ウォーキングや自転車こぎなど、関節に優しい運動がおすすめです。
- 体重管理を意識する:体重が増えるとその分、股関節への負荷も大きくなります。標準体重をキープすることが重要です。
- 正しい姿勢を心がける:片足に重心をかけた姿勢や猫背は股関節に負担をかけやすくなります。

また、サプリメントやストレッチ、リハビリといった保存的治療で進行を防げるケースもあります。医師と相談しながら自分に合った対策をとることが大切です。
再生医療という新しい選択肢
近年では、従来の治療に加えて再生医療という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療やPRP(多血小板血漿)治療といった方法は、体の自然治癒力を引き出して関節の修復を促す治療法として注目されています。
例えば、脂肪から採取した幹細胞を関節に注入する治療では、変性した軟骨の修復や再生が期待できます。これにより、「もう正座はできないかも…」とあきらめていた方が、再び正座ができるようになったケースもあります。
ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無をしっかり診断してもらうことが重要です。
まとめ:股関節の痛みは「歳のせい」と思い込まず、早めの対処を
股関節の痛みは加齢とともに増える傾向がありますが、「歳のせいだから」と放っておくと悪化してしまう可能性も。特に変形性股関節症は進行性の疾患であるため、早期の発見・治療が大切です。
「ちょっと痛いだけだから」と我慢せず、違和感を感じたら一度整形外科で診てもらいましょう。早めの対処が、将来の股関節の健康と自立した生活につながります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 股関節の痛みは加齢が原因ですか?
A. 加齢により関節の軟骨がすり減ることがありますが、変形性股関節症や炎症などの病気が原因のこともあります。診断が重要です。
Q2. 股関節の痛みを放置するとどうなりますか?
A. 関節の変形が進み、歩行困難や安静時の痛みが出ることがあります。放置すると手術が必要になるケースもあるため注意が必要です。
Q3. どんな症状があれば整形外科を受診すべきですか?
A. 歩き始めの痛み、足の付け根の引っかかり、可動域の低下、靴下が履けないなどの症状があれば早めの受診をおすすめします。
札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。
院長 川上公誠
(プロフィール)
監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長
岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。


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