
コラム COLUMN
肘スポーツ外傷 肘の内側が痛い…ゴルフ肘・野球肘の原因と治療法

肘の内側がジクジクと痛む…そんな症状に心当たりがある方は「ゴルフ肘」や「野球肘」といった言葉を耳にしたことがあるかもしれません。実はこれらはスポーツ愛好家だけでなく、日常生活で手や腕をよく使う人にも起こりうる障害です。
肘の内側の痛みの多くは「内側上顆炎(ないそくじょうかえん)」という状態です。これは肘の内側にある「内側上顆」と呼ばれる骨の部分に付着している筋肉や腱が、繰り返しの動作により炎症を起こしたもの。ゴルフ肘や野球肘という俗称は、特にそのスポーツに関係する動きで悪化することから名付けられています。
ゴルフ肘・野球肘の違いと原因
「ゴルフ肘」は、ゴルフのスイング動作で手首を内側に曲げる動き(掌屈)を繰り返すことが原因です。一方「野球肘」は、特に投球動作によって生じますが、成長期の子どもに多くみられる「離断性骨軟骨炎」なども含まれる広い概念です。
大人においては、反復動作による「内側上顆炎」が主な原因となります。以下のような人は特に注意が必要です。
- ゴルフやテニス、野球などのスポーツをしている人
- 重い荷物を頻繁に持つ仕事をしている人
- パソコン作業や事務作業で長時間キーボードを打っている人
症状の特徴
主な症状は以下の通りです。
- 肘の内側に鋭い痛みや鈍痛がある
- 手首を内側に曲げる動作で痛みが強まる
- 物を握る、重い物を持ち上げる際に痛む
- 進行すると安静時でも違和感が出る
放置していると慢性化し、日常生活に支障をきたすようになるため、早期の対処が重要です。
自分でできる対処法
軽度であれば、以下のセルフケアで改善することがあります。
- 安静:痛みを悪化させる動作を控える
- アイシング:運動後に氷で冷やして炎症を抑える
- ストレッチ:前腕の筋肉を無理のない範囲で伸ばす
- サポーターの使用:関節にかかる負担を軽減
数週間たっても改善が見られない場合や、痛みが強い場合は医療機関の受診を検討しましょう。
医療機関での治療法
整形外科では以下のような治療が行われます。
- 消炎鎮痛剤の処方:内服や外用薬で炎症を抑える
- 注射療法:痛みが強い場合はステロイド注射やヒアルロン酸注射
- 理学療法(リハビリ):前腕や肘周囲の筋肉を鍛え、正しい使い方を指導
- 再生医療:PRP療法(多血小板血漿)や幹細胞治療など、自己の治癒力を活かした先進的な治療法も有効です。慢性的な炎症や損傷に対して、自然治癒では難しい改善を目指せます。
予防するには?
再発を防ぐためには、使いすぎを避けることが大前提です。さらに、
- 適切なフォームでスポーツを行う
- 肘や手首の筋力トレーニング
- 定期的なストレッチ
- 痛みが出たらすぐに休む
といった対策が有効です。
まとめ
肘の内側の痛みは、ただの疲労ではなく「内側上顆炎(ゴルフ肘・野球肘)」という病態である可能性があります。早期に適切な対処をすることで、慢性化を防ぎ、日常生活への支障を減らすことができます。放っておかず、必要に応じて医療機関を受診しましょう。


各種ご相談やご予約はこちら
- ひざの痛みに関する相談
- セカンドオピニオンの相談
- 再生医療に関する相談
- MRI検査のご予約