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股関節 足の付け根がズキズキ痛む…考えられる疾患と対処法

「歩くと足の付け根がズキズキ痛む」「座っているときにジンジンと違和感がある」――そんな症状に心当たりはありませんか?足の付け根、いわゆる「股関節」に痛みを感じる場合、いくつかの病気が関係している可能性があります。本記事では、足の付け根に痛みが出る主な原因と、その対処法についてわかりやすく解説します。
足の付け根が痛むときに考えられる疾患とは?
股関節は、体重を支えながら大きな動きをこなす非常に重要な関節です。そのため、負担がかかりやすく、さまざまな病気やトラブルが起こりやすい部位でもあります。ここでは代表的な疾患を紹介します。
変形性股関節症(へんけいせいこかんせつしょう)
中高年に多く見られるのが変形性股関節症です。股関節の軟骨がすり減ってしまい、骨同士がこすれて痛みを感じる病気です。歩き始めや長時間歩いた後に痛みが強くなるのが特徴で、悪化すると日常生活に支障をきたします。
鼠径部痛症候群(そけいぶつうしょうこうぐん)
サッカーやランニングなどをよく行う方に多いのが鼠径部痛症候群、いわゆる「グロインペイン症候群」です。股関節周囲の筋肉や腱に負担がかかり、慢性的な痛みが生じます。特に動き始めにズキッと痛むことが多く、運動のパフォーマンス低下にもつながります。
大腿骨頭壊死(だいたいこっとうえし)
あまり聞きなれないかもしれませんが、大腿骨の先端(骨頭)に血流障害が起こり、骨が壊死してしまう病気です。初期は無症状のこともありますが、進行すると強い痛みや可動域の制限が生じます。ステロイド薬の長期使用やアルコール多飲がリスク因子として知られています。
関節リウマチ
関節リウマチは、自己免疫の異常で関節に炎症が起こる病気です。股関節にも症状が出ることがあり、朝起きたときのこわばりやズキズキする痛みが特徴です。左右両側に痛みが出る場合は特に注意が必要です。
股関節の痛みを悪化させないためのセルフケア
痛みを感じたときには無理をせず、まずは以下のようなセルフケアを行いましょう。
- 安静にする:痛みが強いときは無理に歩いたり運動したりせず、休息を取りましょう。
- 温める:お風呂やカイロなどで股関節まわりを温めることで血流が良くなり、筋肉の緊張がほぐれます。
- ストレッチや体操:痛みが軽い場合は、無理のない範囲でストレッチを行うと予防に効果的です。ただし、痛みが強いときは控えましょう。
医療機関を受診すべきサインとは?
次のような症状がある場合は、整形外科などの医療機関の受診をおすすめします。
- 数週間痛みが続いている
- 歩行が困難になるほどの痛みがある
- 痛みが徐々に悪化している
- 股関節を動かしづらい、または音が鳴る
特に大腿骨頭壊死や関節リウマチなどは、早期の診断と治療が重要です。自己判断せず、医師の診断を受けましょう。
再生医療による新たな治療の選択肢
近年では、従来の薬物療法や手術に加えて、「再生医療」が注目を集めています。PRP(多血小板血漿)療法や脂肪由来幹細胞治療などは、軟骨の修復や炎症の抑制に働きかけることが期待されています。
こうした治療は特に、変形性股関節症の初期〜中期の患者さんに適しており、「手術までは考えていないけれど、何かできることはないか」とお悩みの方にとって有効な選択肢となります。
まとめ
足の付け根の痛みは、単なる疲労ではなく、変形性股関節症や鼠径部痛症候群、大腿骨頭壊死などの病気が隠れている可能性があります。痛みを放置せず、適切なケアと早期の受診が大切です。そして、新しい治療法としての再生医療も選択肢の一つとして、今後ますます期待が高まっています。
「歳だから仕方がない」とあきらめず、一歩踏み出して専門医に相談してみましょう。


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