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再生医療膝 手術は最後の手段?切らずに改善を目指す治療法まとめ

ひざや腰、肩などの関節に痛みを抱えていると、「いつか手術が必要になるのでは…」と不安になる方も多いのではないでしょうか。ですが、近年では“切らずに治す”治療法が進化しており、手術を回避できるケースが増えています。この記事では、整形外科専門医の立場から「手術は最後の手段」とされる理由と、注目されている切らずに改善を目指す治療法についてわかりやすく解説します。
手術は本当に必要?まずは保存療法から
多くの関節疾患は、初期段階では手術を行わずに改善を目指す「保存療法」から始まります。保存療法には、リハビリテーション、薬物療法、注射治療、装具の使用などがあります。
例えば、ひざの痛みがある場合、まずは筋力トレーニングやストレッチ、痛みを和らげる薬の内服、ヒアルロン酸の関節内注射といった方法が選ばれます。これらは症状を和らげ、日常生活への影響を軽減する目的で行われます。
ただし、保存療法が効果を発揮するには、患者様自身の継続的な取り組みも重要です。医師と相談しながら、無理のない範囲で続けることが改善への近道となります。
注目される「再生医療」という選択肢
近年、関節の痛みに対する“切らない治療”として注目されているのが「再生医療」です。これは、傷んだ関節の組織を修復・再生させることで、機能を回復させる治療法です。
中でもよく知られているのが、PRP(多血小板血漿)療法と幹細胞治療です。
PRP療法は患者様自身の血液から成分を抽出し、患部に注入して自己修復力を高める治療です。ダウンタイムが少なく、外来で受けられる点も魅力です。
一方、幹細胞治療は、体のさまざまな細胞に変化できる能力を持つ細胞を活用し、軟骨や靭帯などの損傷部位の再生を促します。手術に比べて体への負担が少ないため、「手術は避けたいが、痛みをどうにかしたい」という方にとって有望な選択肢です。
痛みの原因を見極めることがカギ
大切なのは、「どこが原因で痛みが出ているのか」を正確に見極めることです。例えば、同じひざの痛みでも、原因が軟骨のすり減り、半月板の損傷、靭帯のゆるみ、滑膜の炎症など様々あります。
そのため、画像診断(MRIやX線)や身体所見をもとに、的確な診断を受けることが第一歩です。原因に合った治療法を選ぶことで、手術を回避できる可能性が高まります。
手術を急がないで。選択肢を知ることが大切
もちろん、すべてのケースで手術が不要になるわけではありません。関節の変形が重度に進行している場合や、保存療法・再生医療でも改善しない場合は、人工関節置換術などの手術が適応になります。
しかし重要なのは、手術を受ける前に「他にできることはないか?」をしっかり考えることです。手術は最後の手段であり、それまでにできる治療法を知っておくことで、後悔のない選択につながります。
自分に合った治療を見つけよう
「年齢だから仕方ない」「もう治らない」と諦める前に、まずは専門医に相談してみてください。最近では、自分の生活スタイルや希望に合わせた治療法を選べる時代です。
切らずに痛みを改善する方法は確実に進化しています。自分の体を大切にしながら、無理なく治療を続けていくことが、健康寿命を延ばす鍵になるのです。


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