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再生医療膝 50・60・70代のひざ痛に!手術をしない再生医療という選択肢

年齢とともに多くの方が悩まされる「ひざの痛み」。特に50代、60代、70代になると、歩き始めや階段の上り下り、正座など、日常の動作がつらく感じることが増えてきます。
このような症状の多くは、「変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)」が原因となっています。
従来は、痛み止めやヒアルロン酸注射、進行すると人工関節置換術(人工膝関節の手術)などが治療の選択肢でした。しかし近年、注目を集めているのが「再生医療」です。自身の細胞を使って関節の修復を図る治療法で、「手術をしたくない」「まだそこまでの状態ではない」と考える方にとって、有力な選択肢になっています。
この記事では、整形外科専門医の立場から、ひざの痛みに対する再生医療についてわかりやすく解説していきます。
なぜ50代以降にひざの痛みが増えるのか?
ひざ関節は、日常生活でもっとも負担がかかる関節のひとつです。加齢とともに軟骨がすり減り、関節のクッション機能が低下することで、骨同士がぶつかりやすくなり、炎症や痛みを引き起こします。
変形性膝関節症は、女性に多く、特に閉経後のホルモンバランスの変化も影響するとされています。肥満や筋力低下、長年の膝への負担も発症リスクを高めます。
初期の段階では、「立ち上がる時に違和感がある」「長時間歩くと痛くなる」といった症状が現れますが、放っておくと痛みが慢性化し、変形が進み、やがて歩行困難にまで至るケースもあります。
再生医療とは?手術とは何が違うの?
再生医療とは、自身の血液や脂肪などから採取した細胞を利用して、損傷した組織の修復や再生を促す治療法です。変形性膝関節症に対しては、主に以下の2つの治療が用いられます。
1. PRP療法(多血小板血漿注射)
患者様自身の血液から抽出した血小板を濃縮し、痛みのある関節に注入する治療です。血小板には傷を修復する成長因子が多く含まれており、炎症の軽減や組織の再生を促します。
2. 幹細胞治療(脂肪由来幹細胞)
お腹などから採取した脂肪から幹細胞を取り出し、膝関節に注入する方法です。幹細胞には損傷組織を修復する力があり、軟骨の保護や再生が期待されます。
これらの治療は、入院不要で日帰りで行えることが多く、手術のように関節を切開する必要もありません。体への負担が少ない点が、再生医療の大きな魅力です。
再生医療はどんな人に向いている?
再生医療は、以下のような方に適しています。
- 手術を避けたいが、痛みを何とかしたい方
- ヒアルロン酸やリハビリでは効果が薄いと感じる方
- ゴルフや登山、旅行などを楽しみたいアクティブな方
関節の変形が進行している重度のケースでも再生医療であれば一定の効果が期待できます。まずは整形外科専門医による適切な診断が重要です。
まとめ:手術をしない選択肢があるということ
これまで「ひざの痛みは年齢のせい」「いずれは手術しかない」と考えていた方も多いかもしれません。しかし、現代では再生医療という新しい選択肢があります。
自分の細胞の力を利用して、自然な形で膝の状態を改善する――それが、これからのひざ治療のスタンダードになるかもしれません。
まずは整形外科専門医の診察を受け、自分に合った治療法を見つけることが大切です。50代、60代、70代でも、ひざの痛みを我慢せず、「手術をしない」という希望を持って治療を検討してみてください。


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