
コラム COLUMN
膝 朝起きたときだけ膝が痛い?考えられる病気と早期対応

朝目覚めて布団から起き上がろうとしたとき、「あれ、膝が痛い……?」と感じた経験はありませんか?
日中はそれほど痛みを感じないのに、朝の起きた直後だけ膝に違和感や痛みを感じる。そんな症状には、意外にも身体の不調のサインが隠れていることがあります。
今回は、整形外科専門医の立場から「朝だけ膝が痛い」原因と、考えられる病気、そして早めにできる対策について解説します。
朝だけ膝が痛むのはなぜ?
「朝だけ膝が痛い」という症状は、典型的な関節トラブルのひとつです。
一晩中体を動かさずに寝ていると、関節周囲の筋肉や腱、靭帯が硬くなりやすく、関節液の循環も悪くなります。これにより、朝の関節は「こわばり」やすく、動かし始めたときに痛みを感じやすくなるのです。
この「こわばり」は時間がたつと軽快することが多く、動き出してしばらくすると痛みが改善されることも多いのが特徴です。しかし、原因となる病気がある場合は、放置して悪化するリスクもあるため注意が必要です。
考えられる病気①:変形性膝関節症の初期症状
中高年の膝痛で最も多いのが変形性膝関節症です。
加齢や膝への負担により関節軟骨がすり減り、関節内で炎症が起こることで痛みが出ます。初期には「朝だけ痛む」「立ち上がりだけ違和感がある」といった軽い症状で始まることも珍しくありません。
特に40代以降で、膝の内側に違和感を覚えたり、階段の上り下りで痛みを感じたりする場合は、変形性関節症の可能性を考慮すべきです。
考えられる病気②:関節リウマチ
関節リウマチは自己免疫の異常によって関節に慢性的な炎症が起こる病気です。
リウマチの初期症状として最も特徴的なのが「朝のこわばり」です。30分以上続く関節のこわばりや痛みがある場合は、早期にリウマチの検査を受けることをおすすめします。
膝だけでなく、手首や指、肘など複数の関節に同時に症状が出ている場合もリウマチの可能性が高まります。
考えられる病気③:滑膜炎(関節内の炎症)
膝関節の中には「滑膜(かつまく)」という組織があり、ここが炎症を起こすと滑膜炎になります。
これは変形性関節症や過度な負荷によっても起こることがあり、朝の関節の動き出し時に痛みや違和感として現れやすくなります。
滑膜炎は一時的な場合もありますが、慢性化すると関節の構造を変えてしまう恐れもあるため、注意が必要です。
考えられる病気④:半月板損傷や関節内の微細損傷
膝には「半月板(はんげつばん)」というクッションのような組織があります。
この半月板が加齢や外傷により損傷すると、関節内で小さな炎症を起こし、朝だけ痛みや引っかかり感として感じられることがあります。放っておくと日常動作にも支障が出てくるため、早めの診断が肝心です。
対応策①:朝のストレッチと軽い運動
朝の膝の痛みやこわばりには、軽いストレッチや関節をゆっくり動かす運動が有効です。
布団の中で膝を曲げ伸ばししたり、足首をぐるぐる回すなど、無理のない範囲で体を起こす準備をしてあげましょう。
急に立ち上がるよりも、少しずつ体を温めるような意識が、痛みの予防につながります。
対応策②:膝に負担をかけない生活習慣を意識する
朝の膝の痛みが続く場合は、日常生活で膝への負担を減らす工夫も必要です。
具体的には、
- 階段よりもエレベーターを使う
- 正座を避ける
- 体重を増やさないようにする
- 長時間の立ち仕事やしゃがみ動作を控える
といった工夫が、関節の保護につながります。
対応策③:医療機関の早めの受診を
「朝だけの痛みだから…」と自己判断で様子を見る方も多いですが、早期に適切な診断を受けることが、将来的な関節のダメージを防ぐカギになります。
整形外科ではレントゲンやMRI、血液検査などによって原因を特定し、早期治療につなげることができます。
また、再生医療のように関節の修復を目指す新しい治療法も登場していますので、選択肢として検討する価値があります。
まとめ
朝だけ膝が痛むという症状には、関節の老化や炎症、リウマチなど、さまざまな原因が潜んでいます。
軽視せず、体の声に耳を傾けて、早めの対処を心がけましょう。
「歳のせい」と片づけずに、元気に歩ける毎日のために、膝と向き合うことが大切です。


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