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その他 再生医療の費用は控除できる?医療費控除の正しい知識

再生医療は、関節の変性や損傷に対して手術以外の選択肢を提供する新しい治療法です。中でもPRP療法や幹細胞治療は、変形性関節症や半月板損傷などに対して有効とされ、多くの患者さまに希望を与えています。
しかし、再生医療は保険適用外であることが多く、費用が高額になるケースも少なくありません。そこで気になるのが、「この費用は医療費控除の対象になるのか?」という点です。今回は、再生医療と医療費控除の関係について、わかりやすく解説します。
医療費控除とは?基本をおさらい
医療費控除とは、1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合に、所得税の一部が還付される制度です。対象となるのは、自己や家族(生計を一にする配偶者や子ども、親など)のために支払った医療費です。
控除額の計算は以下の通りです。
実際に支払った医療費の合計額 − 保険金などで補填された金額 − 10万円= 医療費控除額
※年収が200万円未満の方は「10万円」ではなく「所得の5%」が差し引かれます。
この金額が「所得控除」として差し引かれ、最終的に還付される税金が計算されます。
再生医療の費用は控除の対象になるのか?
結論から言うと、基本的には関節の再生医療の費用は医療費控除の対象になります。
医療費控除の対象になるには、以下のような条件があります。
- 医師または歯科医師による診療・治療の対価であること
- 治療を目的としていること(美容目的は除外)
- 自由診療(保険適用外)であっても、治療として認められるもの
再生医療におけるPRP療法や幹細胞治療は、整形外科医の診断のもとで行われ、関節機能の改善を目的とした治療です。そのため、治療目的であれば医療費控除の対象となります。
たとえば、
- ひざ関節の変形性関節症に対するPRP療法
- 半月板損傷に対する幹細胞治療
などは、原則として控除対象です。
控除対象となる費用の具体例
医療費控除の対象になる再生医療関連の費用には、以下のようなものがあります。
- PRP療法や幹細胞治療の施術費用
- 診察・検査にかかる費用
- 通院のための交通費(公共交通機関を利用した場合のみ。自家用車のガソリン代は対象外)
逆に、以下のような費用は控除の対象になりません。
- 美容目的の治療(例:しわ取りや美容皮膚のためのPRP)
- 高級なアメニティ費(特別室などの追加料金)
- 自家用車による通院の費用
医療費控除を受けるための手続き方法
医療費控除を受けるには、確定申告での申請が必要です。年末調整では対応できませんので注意してください。
手続きのポイントは以下の通りです。
- 医療費の領収書を保管しておくこと
領収書は提出の必要はなくなりましたが、税務署から求められた際に提示できるよう5年間は保管しましょう。 - 医療費控除の明細書を作成する
国税庁のウェブサイトやe-Taxを活用して作成できます。 - 交通費は別途明細書に記載
電車やバスを使った通院の交通費も記載が必要です。日時・区間・金額をメモしておきましょう。 - 確定申告書に必要事項を記入し、提出する
確定申告の期間は通常、毎年2月16日〜3月15日です。
まとめ:費用が高くても正しい知識で賢く申告
再生医療は高額な治療になることがありますが、医療費控除を正しく利用することで、税負担を軽減することが可能です。治療にかかる費用だけでなく、通院交通費や診察費も控除対象になるため、ぜひ領収書や記録はこまめに残しておきましょう。
治療の選択肢を経済的な理由で諦める前に、医療費控除という制度を知って、活用することが大切です。再生医療を検討されている方は、ぜひ医療機関や税理士などの専門家にも相談し、賢く治療と向き合いましょう。
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札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。
院長 川上公誠
(プロフィール)
監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長
岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。


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