
コラム COLUMN
腰 腰の痛みが片側だけに出るときの原因とは?整形外科専門医がやさしく解説

この記事の内容
右だけが痛い…左だけが痛い…これって大丈夫?
「朝起きたら右側の腰が痛い」
「片方だけズキッとするけど、しばらくするとおさまる」
こうした「腰の片側だけが痛む」症状は、50代以降の方に多く見られます。
「ぎっくり腰かな?」「年のせいかも…」と放っておく方もいますが、実は放置してはいけない原因が潜んでいることもあります。
今回は、片側だけに出る腰の痛みについて、その原因と対処法をやさしく解説します。
片側だけに出る腰痛、どんなときに気になりますか?
患者さんからよく聞くのは、次のようなケースです。
- 朝起きて体を起こすときに痛い
- 長時間座っていた後、立ち上がるときにズキッとする
- 歩きはじめはつらいが、動いていると少し楽になる
- 右側(または左側)のおしりや太ももにも違和感がある
「腰痛」とひとことで言っても、痛みの出方や場所には個人差があり、片側だけに出る腰痛は、原因を見極める手がかりになることもあります。
腰の片側だけが痛む原因とは?
1. 筋肉や筋膜の炎症・こり(筋筋膜性腰痛)
片側の筋肉に負担がかかる姿勢や動作を繰り返すと、筋肉や筋膜に炎症が起こり、片側だけに痛みが出ます。デスクワークや長時間の車の運転、重い物を持ち上げる仕事の方に多いです。
2. 椎間板ヘルニア
背骨の間にある「椎間板(ついかんばん)」が飛び出して神経を圧迫すると、片側の腰からお尻、太もも、ふくらはぎにかけて痛みやしびれが出ます。特に40〜60代の男性に多く見られます。
3. 仙腸関節のトラブル
骨盤の後ろ側にある「仙腸関節(せんちょうかんせつ)」に炎症が起きると、片側の腰やお尻に鋭い痛みを感じることがあります。女性に多く、更年期以降のホルモン変化も関係していると考えられています。
4. 腎臓や内臓の病気
腎臓結石や尿路感染、婦人科疾患(子宮や卵巣の異常)などでも、片側の腰に痛みが出ることがあります。この場合、発熱や血尿、吐き気などを伴うこともあるため注意が必要です。
どう対処すればよい?自分でできる対策と治療法
1. 痛みが強いときは無理をせず、まずは安静に
「少し無理したかな?」という程度であれば、1~2日ほど安静にし、温めるなどの対処で改善することがあります。無理なストレッチやマッサージは、かえって悪化させることがあるので注意しましょう。
2. 痛みが落ち着いてきたら、軽い体操やストレッチを
慢性的な腰痛には、軽い運動が効果的です。腰まわりの筋肉をほぐすストレッチや、体幹を安定させる体操(いわゆるインナーマッスル強化)を、無理のない範囲で行いましょう。
3. 痛みが続く場合は、整形外科での検査を
数日たっても痛みが引かない、しびれや力の入りにくさがある場合は、整形外科でレントゲンやMRIを受け、正確な診断を受けることが大切です。
4. 治療は保存療法が基本
ほとんどの片側腰痛は、「保存療法(手術をしない治療)」で改善します。具体的には、以下のような方法があります。
- 湿布や痛み止めの内服薬
- リハビリ(ストレッチ・筋力トレーニング)
- ブロック注射や物理療法(電気・温熱)
- 骨盤ベルトや姿勢指導
これらの治療を組み合わせて行うことで、痛みをやわらげ、再発を防ぐことができます。
よくある質問(FAQ)
Q. 片側だけ痛いのは、変な姿勢のせいですか?
A. 姿勢や筋肉のアンバランスが原因で、片側の腰だけに負担がかかることはよくあります。ですが、椎間板ヘルニアなどの疾患が隠れていることもあるため、痛みが長引く場合は受診をおすすめします。
Q. 痛みがあるときは動かさない方がいいですか?
A. 強い痛みがあるときは安静が必要ですが、長期間まったく動かないでいると筋力が落ちてしまいます。痛みがやわらいだら、少しずつ体を動かすことが回復を早めます。
Q. 再生医療は片側の腰痛にも効きますか?
A. 症状や原因によりますが、慢性化した炎症や組織の損傷がある場合には、幹細胞治療が選択肢になることもあります。当院では、必要に応じてご案内しています。
「年齢のせい」と決めつけず、まずは原因を確かめましょう
腰の片側だけが痛むという症状、つい「疲れたからかな」と軽く見てしまいがちですが、体からのサインかもしれません。
早めに原因を見つけて、適切なケアをすれば、多くの痛みは改善します。
「このくらい大丈夫」と無理をせず、気になる症状があれば整形外科専門医にご相談ください。あなたの毎日を、痛みなく過ごすために――早めの一歩が未来を変えるかもしれません。
札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。
院長 川上公誠
(プロフィール)
監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長
岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。


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