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再生医療 PRP療法とは?ひざや肩の再生医療の現状と効果を専門医が解説

「膝の痛みが長引いて、階段を上るのもつらい…」「肩が痛くて上の棚に手が届かない」
こうした悩みは、50代以降になると多くの方が経験します。整形外科で注射やリハビリを受けても改善がゆっくりな場合、「もっと良い方法はないか」と探す中で耳にするのがPRP療法です。
今回は、整形外科専門医の立場から、PRP療法の仕組みや効果、向いている症状、注意点までやさしく解説します。
症状や悩みの背景
膝の痛みは、変形性膝関節症や半月板損傷、靭帯の炎症などが原因で起こります。
肩の場合は、五十肩(肩関節周囲炎)や腱板損傷が多く、腕を動かすだけで痛むこともあります。
こうした関節や腱の不調は、**「動かすと痛い」→「動かさなくなる」→「さらに硬くなる・筋力が落ちる」**という悪循環に陥りやすいのが特徴です。
原因と医学的な解説
PRP療法は「Platelet-Rich Plasma(多血小板血漿)」の略で、自分の血液から血小板を多く含む成分を抽出し、痛みのある部位に注射する治療法です。
血小板には傷んだ組織を修復する成長因子(タンパク質)が含まれています。ケガや炎症がある場所にこれを届けることで、自然治癒力を高める効果が期待できます。
従来のヒアルロン酸注射は関節の潤滑性を改善しますが、損傷組織の修復までは促しません。PRP療法は「回復のきっかけ作り」に関与できる点が異なります。
具体的な治療法・対策・予防法
保存療法とPRPの併用
まずはリハビリ、ストレッチ、体重管理、痛み止めなどの保存療法を行い、それでも改善が不十分な場合にPRPを検討します。
特に、手術を避けたい方や、スポーツ復帰を早めたい方に選ばれるケースが多いです。
治療の流れ
- 採血(20ml程度)
- 遠心分離機で血小板を濃縮
- 痛みの部位に注射
施術は日帰りで、入院は不要です。数日間は安静を保ち、徐々に通常の生活に戻ります。
当院でのアドバイス
- 注射後1か月は強い負荷を避ける
- 関節可動域を保つため、軽いストレッチを継続
- 必要に応じてリハビリを併用
よくある質問・誤解への回答
Q1:PRP療法はすぐに効果が出ますか?
A:炎症を抑え、組織修復を促すため、効果が出るまで数週間〜数か月かかる場合があります。
Q2:副作用はありますか?
A:自分の血液を使うため、アレルギーや感染のリスクは低いですが、注射部位の腫れや痛みが一時的に出ることがあります。
Q3:変形した関節も治りますか?
A:すでに大きく変形した関節の形自体は元に戻りません。ただし、痛みの軽減や機能改善が期待できることがあります。
Q4:何回受ければいいですか?
A:1回で改善する場合もありますが、症状に応じて複数回行うこともあります。
まとめ
関節や腱の痛みは、日常生活を制限し、気持ちも沈ませます。しかし、「年齢のせいだから仕方ない」と諦める必要はありません。
PRP療法は、体が本来持つ回復力を利用するため、副作用の少ない治療法として注目されています。
もちろん、すべての方に効果があるわけではありませんが、保存療法や生活改善と組み合わせることで、より良い結果が得られる可能性があります。
痛みを和らげ、趣味や仕事を続けられるよう、信頼できる医療機関で相談してみてください。
札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。
院長 川上公誠
(プロフィール)
監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長
岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。


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