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肩 肩こりと肩の痛みの違いは?整形外科での診断の重要性

「肩が重だるくて毎日つらい」「痛くて腕が上がらない」――同じ「肩の不調」でも、感じ方や原因はさまざまです。実際に外来でも「これは肩こりですか?それとも病気ですか?」というご相談をよくいただきます。肩は日常生活で常に使う部分だけに、不調が続くと生活の質が大きく下がってしまいます。本記事では、肩こりと肩の痛みの違いをわかりやすく解説し、整形外科で診断を受ける重要性についてお伝えします。
肩こりとは?
肩こりは、首から肩周囲の筋肉が緊張して硬くなることで起こる症状です。パソコン作業やスマートフォンの長時間使用、猫背などの不良姿勢によって、筋肉に負担がかかり「血流が悪くなる」「老廃物がたまる」といった状態が生じます。これにより、肩の重だるさ、こわばり、頭痛を伴うこともあります。多くの場合、日常生活の姿勢改善やストレッチで軽快します。
肩の痛みとは?
一方、「肩の痛み」は、関節や腱などに炎症や損傷がある場合に起こります。代表的なのは「五十肩(肩関節周囲炎)」や「腱板損傷」です。これらは「肩を動かすと鋭い痛みが出る」「夜にズキズキして眠れない」「腕を上げられない」といった特徴があり、肩こりとは異なります。単なる筋肉の緊張ではなく、関節そのものの病気であることが多いのです。
肩こりと肩の痛みの見分け方
- 肩こり:じんわり重い、マッサージで楽になる、姿勢で悪化しやすい
- 肩の痛み:動かすと強い痛み、夜間痛がある、動かせる範囲が狭くなる
この違いを知っておくことが大切ですが、自分で判断するのは難しい場合も多くあります。特に「夜も眠れないほど痛い」「腕が上がらない」といった症状がある場合は、早めの整形外科受診が必要です。
医学的な原因の背景
肩の関節は人体の中でも最も可動域が広い分、不安定さを抱えています。加齢や使いすぎで腱や関節に炎症が起きやすく、関節の動きを支える筋肉や腱が傷つくこともあります。さらに、心臓や肺の病気でも肩の痛みが出ることがあるため、注意が必要です。
治療法と対策
症状や原因によって対処法は異なります。
- 肩こり:ストレッチ、温熱療法、正しい姿勢の意識、適度な運動
- 肩の痛み:安静、薬物療法(消炎鎮痛薬)、注射、リハビリテーション
- 改善が難しい場合:手術や再生医療(PRPや幹細胞治療)を検討することもあります
いずれも「動かさないこと」が正解ではありません。適切な範囲での運動とリハビリが回復に大切です。
よくある質問
Q. 肩に痛みがあるときは安静にすべきですか?
A. 強い痛みの時期は無理を避けますが、完全に動かさないと関節が硬くなることがあります。医師の指導のもとで適切な運動を行うことが重要です。
Q. 肩こりと五十肩は同じですか?
A. 異なります。肩こりは筋肉の疲労や緊張、五十肩は関節の炎症です。症状の性質が違うため、治療法も変わります。
Q. 肩こりでも整形外科に行ったほうがいいですか?
A. 長引く肩こりやしびれを伴う場合は、他の病気が隠れていることもあります。早めに相談することをおすすめします。
Q. マッサージで治らない肩の痛みは病気ですか?
A. 関節や腱の異常による可能性があります。整形外科での診断が必要です。
再生医療という新しい選択肢
近年では、従来の治療に加えて再生医療という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療やPRP(多血小板血漿)治療といった方法は、体の自然治癒力を引き出して関節の修復を促す治療法として注目されています。
例えば、脂肪から採取した幹細胞を関節に注入する治療では、変性した軟骨の修復や再生が期待できます。これにより、「もう正座はできないかも…」とあきらめていた方が、再び正座ができるようになったケースもあります。
ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無をしっかり診断してもらうことが重要です。
まとめ
肩こりと肩の痛みは似ているようで全く別の症状です。自己判断で放置すると、治療が長引いたり生活に支障をきたしたりすることもあります。「年齢のせいだから仕方ない」と思わずに、症状が続くときは整形外科を受診してください。適切な診断と治療を受ければ、多くの方が改善し、再び快適な生活を取り戻すことができます。
札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。
院長 川上公誠
(プロフィール)
監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長
岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。


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