
コラム COLUMN
腰 ぎっくり腰のような急な腰痛…再発予防のための注意点

「靴下を履こうと前かがみになった瞬間、腰に電気が走った」「朝起き上がろうとしただけで腰が動かなくなった」――こうした経験をされた方は少なくありません。いわゆる「ぎっくり腰(急性腰痛症)」は、誰にでも起こりうる症状であり、特に50代以降では再発に悩まれる方も多いのが現実です。今回は、その原因や予防のポイントを、整形外科専門医の立場からわかりやすく解説します。
この記事の内容
症状と日常生活への影響
ぎっくり腰になると、急な強い痛みで動けなくなるのが特徴です。重い物を持ち上げるときだけでなく、くしゃみや咳、軽い動作でも引き起こされます。痛みが強いと、歩行・家事・仕事に支障をきたし、「また起きたらどうしよう」と不安を抱える方も多くいらっしゃいます。
原因:なぜ突然痛むのか?
ぎっくり腰の原因はひとつではなく、腰の筋肉や靭帯、椎間板(背骨のクッション)への急な負担が重なって起こります。加齢による筋力低下、長時間の同じ姿勢、運動不足による柔軟性の低下も大きな要因です。イメージとしては、古くなったゴムが急に切れるようなもの。普段は耐えられる負荷でも、あるきっかけで一気に痛みが出てしまいます。
治療法と対処法
急性期(発症直後)
・無理に動かず、まずは安静を確保
・痛みが強い場合は鎮痛薬や湿布でコントロール
・長時間の寝たきりは逆効果。痛みが和らいできたら少しずつ動き始めることが大切です
保存療法
・ストレッチやリハビリ運動で筋肉の柔軟性を改善
・腰を支えるコルセットやサポーターの活用
・必要に応じてブロック注射などを行う場合もあります
再生医療の可能性
強い再発や慢性化に悩む方の中には、再生医療(PRP治療や幹細胞治療)を検討するケースもあります。腰痛全般が適応になるわけではありませんが、関節や周囲の組織を修復するアプローチとして研究・実用化が進んでいます。
再発予防のための生活習慣
ぎっくり腰は一度経験すると繰り返しやすいのが特徴です。再発予防には、次のような習慣が効果的です。
・正しい姿勢を意識する(座るときは背もたれに深く腰をかける)
・重い荷物は一度に持たず、膝を曲げて腰を落として持ち上げる
・長時間同じ姿勢を避け、1時間ごとに立ち上がって伸びをする
・ウォーキングや軽い体操で腰回りの筋肉を鍛える
・睡眠時には硬めのマットレスを選び、腰に負担をかけない姿勢で眠る
よくある質問(Q&A)
Q1. 痛いときは動かさないほうがいいですか?
A. 強い痛みの初期は安静が必要ですが、完全な寝たきりは回復を遅らせます。痛みが落ち着いてきたら無理のない範囲で動くことが大切です。
Q2. 冷やすのと温めるの、どちらがいいですか?
A. 発症直後の強い炎症には冷却、その後は血流を促すために温めるのが一般的です。
Q3. 再発を完全に防ぐことはできますか?
A. 完全に防ぐことは難しいですが、筋力強化や生活習慣の改善でリスクを大幅に減らすことが可能です。
再生医療という新しい選択肢
近年では、従来の治療に加えて「再生医療」という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療やPRP(多血小板血漿)治療といった方法は、体が本来持つ自然治癒力を引き出し、関節や組織の修復を促す治療法として注目されています。
例えば、脂肪から採取した幹細胞を点滴で投与することで、膝や股関節だけでなく、腰痛などの慢性疼痛に対しても炎症を抑えたり、組織の修復を促したりする効果が期待されています。
ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無を医師がしっかり診断したうえで治療を検討することが大切です。
まとめ:年齢のせいとあきらめないで
ぎっくり腰は「急に起こるから怖い」と思われがちですが、正しい対処と日常の工夫で再発リスクを下げることができます。年齢を理由にあきらめる必要はありません。症状が続く場合や不安がある場合は、早めに整形外科を受診して相談しましょう。腰痛と上手に付き合いながら、安心して日常生活を楽しむことができます。
札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。
院長 川上公誠
(プロフィール)
監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長
岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。


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