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スポーツ外傷膝 ゴルフスイングで膝に違和感があるときの対策|専門医が原因とケア法を解説

「スイングのときに左膝がねじれる感じがする」「ラウンド後に膝の内側が重い」――そんな違和感を感じた経験は、ゴルフを楽しむ多くの方にあります。特に50代以降になると、筋力や柔軟性の低下により、膝への負担が増えやすくなります。
放っておくと「ただの違和感」が「痛み」や「炎症」へと進行してしまうことも。そこで今回は、ゴルフスイングで膝に違和感を感じるときの原因と対策を、整形外科専門医の立場からわかりやすく解説します。
この記事の内容
どんなときに膝に違和感を感じやすい?
膝の違和感は、スイングのねじれ動作や体重移動のときに起こりやすくなります。
特に次のような場面で訴える方が多いです。
- バックスイング時に右膝が外へ流れる
- ダウンスイングで左膝に体重が一気にかかる
- フィニッシュの体勢で左膝が内側にねじれる
- 長時間のラウンド後に膝周囲が重だるくなる
これらは、単なる疲労ではなく、膝関節や周囲の筋肉・靭帯に小さなストレスが積み重なっているサインかもしれません。
ゴルフスイングで膝に違和感が出る主な原因
1. 膝関節のねじれ(回旋ストレス)
ゴルフのスイングは下半身の回転が重要ですが、そのとき膝は「曲げ伸ばし+ねじれ」を同時に行っています。
このねじれにより、内側側副靭帯や半月板などに負担がかかり、違和感や痛みが出ることがあります。
2. 太ももの筋力低下
大腿四頭筋(ももの前側)やハムストリングス(裏側)の筋力が低下すると、膝が不安定になります。スイング時に踏ん張りが効かず、膝がブレやすくなるため、関節に余計な力がかかります。
3. O脚・X脚などのアライメント不良
もともとの脚の形や加齢による関節の変形があると、体重のかかり方に偏りが生じ、特定の部位に負担が集中します。ゴルフでは特に左膝の内側に症状が出やすい傾向があります。
4. 半月板や軟骨のすり減り
違和感が長引く場合、関節内部の軟骨がすり減ったり、半月板が損傷しているケースもあります。これは「変形性膝関節症」の初期段階であることも少なくありません。
自分でできる対策とケア方法
1. スイングフォームの見直し
膝にねじれが加わりすぎないよう、下半身を固定しすぎないフォームを意識しましょう。体幹を使って回転することで、膝の負担を軽減できます。
また、バックスイングで右膝が外に逃げないように軽く意識を向けるだけでも、安定性が増します。
2. 筋力トレーニング
膝を守るためには、太ももの筋肉が非常に重要です。
・椅子に座って膝を伸ばす「レッグエクステンション」
・壁に背をつけて座る「壁スクワット」
などの簡単なトレーニングを日常に取り入れましょう。毎日数分でも続けることが大切です。
3. ストレッチとウォームアップ
プレー前に太ももやふくらはぎを軽く伸ばすだけで、膝への負担は減ります。特に寒い季節は筋肉が硬くなりやすいため、ウォームアップを怠らないようにしましょう。
4. サポーターやテーピングの活用
軽度の違和感であれば、膝サポーターを装着することで安定性が向上します。
ただし、長期的には筋力低下を招く可能性もあるため、使いすぎには注意が必要です。
5. 休養と早期受診
違和感が続くときや、ラウンド後に腫れが出るような場合は、早めに整形外科を受診しましょう。
無理を続けると、半月板損傷や軟骨の摩耗につながることがあります。
再生医療という新しい選択肢
近年では、従来の治療に加えて再生医療という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療やPRP(多血小板血漿)治療といった方法は、体の自然治癒力を引き出して関節の修復を促す治療法として注目されています。
例えば、脂肪から採取した幹細胞を関節に注入する治療では、変性した軟骨の修復や再生が期待できます。これにより、「もう正座はできないかも…」とあきらめていた方が、再び正座ができるようになったケースもあります。
ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無をしっかり診断してもらうことが重要です。
よくある質問
Q1. 違和感があってもプレーを続けて大丈夫?
A. 一時的な張り感なら問題ありませんが、痛みや腫れが出る場合は中止してください。無理をすると関節内の損傷が進むおそれがあります。
Q2. 膝の注射は効果がありますか?
A. ヒアルロン酸注射は関節の潤滑を助け、一時的に動きを改善します。ただし、根本的な回復には筋力強化や姿勢改善も必要です。
Q3. 痛みがなくても検査を受けた方がいい?
A. 違和感が長引く場合は早めのチェックをおすすめします。MRI検査で半月板や軟骨の状態を確認でき、早期治療につながります。
まとめ|年齢のせいではなく、正しいケアでゴルフを楽しもう
膝の違和感は、年齢や技術だけの問題ではありません。
少しの意識とケアで、痛みを予防しながら長くゴルフを続けることが可能です。
「もう歳だから」と諦めず、早めに対策をとることが何よりのポイント。
もし不安や痛みが続く場合は、専門のクリニックに相談して、あなたの膝に合った治療を見つけましょう。
札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。
院長 川上公誠
(プロフィール)
監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長
岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。


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