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肩関節の構造からわかる肩痛のメカニズムと治療法を専門医が解説

肩関節の構造からわかる肩痛のメカニズムと治療法を専門医が解説

「腕を上げると肩が痛い」「服を着るときにズキッとする」「夜に寝返りをうつと肩がうずく」──このような症状を感じていませんか? 年齢とともに肩の痛みを訴える方は多く、「五十肩かな」と自己判断される方も少なくありません。しかし、肩の痛みにはいくつもの原因があり、その多くは肩関節の複雑な構造と深く関係しています。この記事では、整形外科専門医の立場から、肩関節の構造と肩痛の仕組み、そして効果的な治療法についてわかりやすく解説します。

肩関節の構造は「体の中で最も動く関節」

肩関節は、腕の骨(上腕骨)と肩甲骨のくぼみ(関節窩:かんせつか)でできています。この関節はボールと皿のような形をしており、前後・上下・回旋といった多方向に動かせるのが特徴です。その分、可動域は広い反面、不安定な構造でもあります。

この関節を支えているのが「腱板(けんばん)」と呼ばれる4つの筋肉(棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋)で、これらが協調して働くことでスムーズな動きを実現しています。しかし、この腱板が炎症を起こしたり損傷したりすると、肩の動きが制限され、痛みや引っかかり感が生じるのです。

肩痛の代表的な原因

① 五十肩(肩関節周囲炎)
中高年に多く見られる疾患で、肩の周囲の組織に炎症が起こる状態です。肩を動かすと痛みが強く、夜間痛(夜にズキズキする痛み)を訴える方も多く見られます。放置すると関節が固まり、「腕が上がらない」「背中に手が回らない」といった可動域制限が残ることもあります。

② 腱板損傷
肩の動きを支える腱板の一部が傷ついたり、断裂したりする状態です。転倒などの外傷によるものから、加齢による摩耗まで原因はさまざまです。症状は五十肩と似ていますが、「特定の角度で痛みが強い」「力が入らない」といった特徴があります。

③ 石灰沈着性腱炎
腱の中にカルシウムがたまり、急激な炎症を起こす病気です。ある日突然、肩が動かせないほどの強い痛みが出ることがあり、夜も眠れないほどつらいケースもあります。

④ 変形性肩関節症
軟骨のすり減りや関節の変形によって痛みが出る状態です。長年の使いすぎや老化、過去のケガが影響して起こります。徐々に動かせる範囲が狭くなり、日常生活に支障が出ることもあります。

肩痛のメカニズム:なぜ動かすと痛むのか?

肩関節は多くの筋肉と腱で支えられています。そのため、炎症が起こると関節の動きに伴って腱や滑液包(すべりを良くする袋)がこすれ、痛みを感じます。また、肩の動きを守る筋肉のバランスが崩れると、動作のたびに「ひっかかり」や「不安定感」が生じることがあります。

痛みを避けて動かさないでいると、関節が固まって可動域が狭くなり、さらに痛みが悪化するという悪循環に陥ることもあります。そのため、原因を見極めた上で、適切に動かす治療が大切です。

整形外科で行う主な治療法

1. 保存療法(薬・注射・リハビリ)
初期段階では、炎症や痛みを抑える治療を中心に行います。消炎鎮痛剤や関節内注射、物理療法(温熱療法・超音波など)が一般的です。同時に、理学療法士によるストレッチや筋力回復のためのリハビリを行います。

2. 運動療法
肩の可動域を広げるストレッチと、腱板を支える筋肉の強化がポイントです。壁に手をついて腕を上げる「壁歩き運動」や、ゴムバンドを使った軽いトレーニングが効果的です。痛みが強い時期を過ぎたら、積極的に肩を動かすことが大切です。

3. 再生医療(PRP療法・幹細胞治療)
腱や軟部組織の損傷がある場合、PRP(多血小板血漿)療法や幹細胞治療によって、自然治癒力を高める方法も選択肢の一つです。炎症を抑え、組織の修復を促す効果があり、五十肩や腱板損傷の回復を早めることが期待されています。

4. 手術療法
保存療法で改善しない場合や腱板が完全に断裂している場合は、関節鏡を用いた手術を行うこともあります。早期に手術を行うことで、機能の回復率が高くなります。

よくある質問

Q. 肩が痛いときは動かさない方がいいですか?
A. 急性期(痛みが強い時期)は安静が必要ですが、炎症が落ち着いたら少しずつ動かすことが重要です。完全に動かさないと関節が固まり、回復が遅れることがあります。

Q. 五十肩と腱板損傷はどう違うのですか?
A. 五十肩は炎症による「関節のこわばり」、腱板損傷は「腱の断裂や損傷」が主な原因です。症状が似ているため、正確な診断にはMRI検査が役立ちます。

Q. 再生医療は安全ですか?
A. 自分の血液や脂肪を使う治療のため、拒絶反応のリスクはほとんどありません。整形外科専門医のもとで行えば、安全性は高いと考えられます。

再生医療という新しい選択肢

近年では、従来の治療に加えて再生医療という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療PRP(多血小板血漿)治療といった方法は、体の自然治癒力を引き出して関節の修復を促す治療法として注目されています。

例えば、脂肪から採取した幹細胞を関節に注入する治療では、変性した軟骨の修復や再生が期待できます。これにより、「もう正座はできないかも…」とあきらめていた方が、再び正座ができるようになったケースもあります。

ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無をしっかり診断してもらうことが重要です。

まとめ:肩の痛みは「構造を知る」ことで解決への一歩に

肩関節はとても精密で、わずかなバランスの乱れが痛みにつながります。原因を知り、早めに適切な治療を行うことで、症状は改善します。「年齢のせい」とあきらめず、まずは専門医にご相談ください。正しいケアで、再び快適に腕を動かせるようになります。

札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。

院長 川上公誠

プロフィール


監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長

岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。

この記事を書いたのは

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