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「腰の鈍い痛みが続く」のはなぜ?50代から考えたい原因と治療法を専門医が解説

「腰の鈍い痛みが続く」のはなぜ?50代から考えたい原因と治療法を専門医が解説

「激痛というわけではないけれど、なんとなく腰が重い」 「朝起き上がるときや、台所に立っていると腰に鈍い痛みを感じる」 「湿布を貼っても、マッサージに行っても、すぐにまた痛くなる」

私のクリニックの診察室でも、こうした**「鈍い痛み(鈍痛)」**を訴えて来院される患者さんが非常に多くいらっしゃいます。 ぎっくり腰のような「ズキッ!」とする鋭い痛みではないため、「病院に行くほどではないかもしれない」「歳をとったから仕方がない」と、何ヶ月も、時には何年も我慢されている方が少なくありません。

しかし、長引く鈍い痛みは、腰が発している**「助けて」というサイン**です。 特に50代、60代、そして80代と年齢を重ねるにつれて、腰を支える骨や筋肉、椎間板(ついかんばん)にはどうしても変化が生じます。

このコラムでは、整形外科専門医の立場から、なぜその鈍い痛みが続くのか、その正体と対処法について、できるだけ専門用語を使わずにわかりやすくお話ししていきたいと思います。 「手術しかないと言われたらどうしよう」と不安に思っている方も、まずは正しい知識を持つことから始めてみましょう。

どんな時に痛みますか?症状から読み解く腰のサイン

一口に「腰の鈍い痛み」といっても、その現れ方は人それぞれです。まずはご自身の症状がどのパターンに当てはまるか、振り返ってみてください。

  • 動き始めの痛み: 朝起きた直後や、椅子から立ち上がろうとした瞬間に「ズーン」と重くなる。少し動いていると楽になる。
  • 持続する重だるさ: 長時間立って家事をしているときや、散歩をしていると腰全体が重くなり、トントンと叩きたくなる。
  • お尻や足への広がり: 腰だけでなく、お尻の奥や太ももの裏側にしびれや違和感がある。
  • 体勢による変化: 前かがみになると楽になる、あるいは逆に、背中を反らすと痛みが強くなる。

これらは単なる疲れではなく、背骨や神経、あるいは筋肉の奥深くで何らかのトラブルが起きている可能性が高い症状です。

50代〜80代に多い「鈍い痛み」の主な正体

レントゲンやMRIなどの検査をしてみると、中高年の方の「長引く鈍痛」には、主に3つの大きな原因が隠れていることが多いです。

1. 腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)

少し難しい名前ですが、簡単に言うと**「神経の通り道が狭くなっている状態」**です。 背骨の中には、脳から続く神経の束が通るトンネル(脊柱管)があります。加齢とともに背骨が変形したり、靭帯(じんたい)が分厚くなったりして、このトンネルが狭くなり、神経が圧迫されてしまうのです。

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特徴的なのは、「背筋を伸ばして立っているとつらいけれど、前かがみになって休むと楽になる」という点です。スーパーのカートを押して歩くといくらでも歩けるのに、普通に歩くとすぐに足腰がだるくなる、という経験はありませんか?これはこの病気の典型的なサインです。

2. 変形性腰椎症(へんけいせいようついしょう)

これは、長年使い続けた腰の「部品の摩耗」によるものです。 腰の骨と骨の間でクッションの役割をしている「椎間板」がすり減って薄くなったり、骨の角に「骨棘(こつきょく)」というトゲができたりします。

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例えるなら、**「錆びついた蝶番(ちょうつがい)」**のような状態です。動かし始めにキシキシと痛むのは、関節の動きが悪くなっているためです。炎症が慢性化しているため、鋭い痛みよりも「ズーン」とした重い痛みが続きやすくなります。

3. 筋・筋膜性腰痛(筋肉のコリと衰え)

レントゲンでは「骨に異常なし」と言われるのに痛い場合、これが原因のことがよくあります。 背骨を支える筋肉が、長年の姿勢の悪さや運動不足によって硬くなり、血行不良を起こしている状態です。 特に高齢になると、「サルコペニア」といって全身の筋肉量が減少し、腰を支える力が弱まってしまいます。支える力が弱い分、無理な負担がかかり続け、筋肉が悲鳴を上げているのがこの鈍痛です。

(補足)内臓疾患の可能性について ごく稀にですが、整形外科的な問題ではなく、腎臓や膵臓、婦人科系の病気などが原因で腰に鈍痛が出ることがあります。「安静にしていても痛みが全く変わらない」「熱がある」「冷や汗が出るほどの痛み」といった場合は、早めに内科を受診することも大切です。

専門医が提案する、具体的な治療と対策

「変形していますね」と言われると、「もう治らないんだ」とショックを受ける患者さんがいらっしゃいます。 しかし、骨の形を元に戻すことはできなくても、「痛みを抑えて、生活を楽にする」ことは十分に可能です。 私のクリニックでは、以下のようなステップで治療を提案しています。

ステップ1:保存療法(薬とリハビリ)

基本となるのは、手術をしない治療法です。

  • 内服薬: 以前は痛み止めといえば胃に負担がかかるものが主流でしたが、最近は神経の痛みに効く薬や、血流を改善する薬など、選択肢が増えています。
  • 運動療法(リハビリ): これが最も重要です。硬くなった筋肉をほぐし、弱った筋肉を鍛え直すことで、ご自身の体を「天然のコルセット」で守れるようにします。理学療法士の指導のもと、無理のない範囲で行います。
  • 物理療法: 温熱療法や電気治療で患部の血行を良くし、痛みの閾値(いきち)を上げて感じにくくさせます。

ステップ2:生活習慣の見直し

日常生活のちょっとした工夫で、腰への負担は劇的に減ります。

  • 姿勢: 猫背や反り腰になっていませんか?お腹に少し力を入れる意識を持つだけで、腰椎への負担が減ります。
  • 寝具: 柔らかすぎるマットレスは腰が沈み込み、寝返りが打ちにくくなるため腰痛の原因になります。適度な硬さのあるものを選びましょう。

ステップ3:新しい選択肢「再生医療」

「薬やリハビリを続けているけれど、なかなか良くならない」「でも、手術は怖いし、入院はできない」 そうした「治療の空白地帯」にいる患者さんに、近年注目されているのが**再生医療(PRP療法や幹細胞治療など)**です。

これは、ご自身の血液や脂肪から採取した「組織を修復する成分」を抽出し、患部に注射する治療法です。 すり減った軟骨が完全に元通りになる魔法ではありませんが、長引く**「炎症」を鎮め、組織の修復を促す**ことで、鈍い痛みを和らげる効果が期待できます。 入院の必要がなく、日帰りで受けられるため、高齢の患者さんや忙しい現役世代の方に選ばれることが増えています。 (※自費診療となるため、医師とよく相談して決める必要があります)

痛み止めや手術に頼りたくない方へ

当院では、まずは患者さんのライフスタイルをお聞きし、「どうなりたいか」を共有することから始めます。 例えば、「来月の旅行に行きたい」という目標があるなら、一時的にブロック注射で痛みを止めてリハビリに集中する、という方法もあります。 「根本的に治したい」のであれば、再生医療や、時間をかけた運動療法を組み合わせます。 選択肢は一つではありません。

よくある質問(Q&A)

患者さんからよくいただく質問をまとめました。

Q. 腰が痛いときは、じっとしていたほうがいいですか?

A. 「ぎっくり腰」のような急激な激痛でなければ、動かしたほうが回復が早いです。 以前は「腰痛は安静第一」と言われていましたが、現在は「過度な安静はかえって回復を遅らせる」ことがわかっています。痛みの出ない範囲で散歩をしたり、家事をしたりして体を動かすことで、血流が良くなり、筋肉が固まるのを防げます。

Q. 温めるのと冷やすの、どっちが正解ですか?

A. 「鈍い痛み」が長く続いている場合は、基本的には「温める」のが正解です。 慢性的な痛みは血行不良が関係していることが多いため、お風呂にゆっくり浸かったり、カイロを使ったりして温めると症状が緩和します。逆に、急に痛くなった直後や、患部が熱を持っている場合は冷やしてください。

Q. 市販のコルセットはずっとしていてもいいですか?

A. 痛みが強いときや、重いものを持つときだけ使いましょう。 コルセットは腰を支えてくれる便利な道具ですが、24時間365日つけっぱなしにしていると、本来ご自身が使うべき「腰を支える筋肉」がサボってしまい、筋力が低下してしまいます。寝るときや、痛みが軽いときは外すようにしてください。

再生医療という新しい選択肢

近年では、従来の治療に加えて「再生医療」という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療PRP(多血小板血漿)治療といった方法は、体が本来持つ自然治癒力を引き出し、関節や組織の修復を促す治療法として注目されています。

例えば、脂肪から採取した幹細胞を点滴で投与することで、膝や股関節だけでなく、腰痛などの慢性疼痛に対しても炎症を抑えたり、組織の修復を促したりする効果が期待されています。

ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無を医師がしっかり診断したうえで治療を検討することが大切です

まとめ:その痛み、諦める前に一度ご相談ください

「もう何年も痛いから」「歳だから」と、腰の鈍い痛みを生活の一部にしてしまっていませんか? しかし、痛みは体からのストレスであり、それが続くことで気持ちまでふさぎ込んでしまうこともあります。

整形外科の治療は日々進歩しています。 飲み薬や湿布だけでなく、専門的なリハビリテーション、そして再生医療といった新しい選択肢も増えてきました。 「完全に痛みをゼロにする」ことは難しくても、「痛みをコントロールして、やりたいことができる状態にする」ことは十分に可能です。

もし、あなたが鈍い痛みに悩んでいて、趣味や旅行、日々の散歩を我慢しているのなら、ぜひ一度、お近くの整形外科専門医を頼ってください。 あなたの腰の状態を正しく知り、あなたに合った治療法を見つけることが、快適な明日への第一歩になります。 私たち専門医は、その一歩を全力でサポートします。

札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。

院長 川上公誠

プロフィール


監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長

岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。

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