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膝 歩くと膝がガクッとする|膝崩れが起こる原因と転倒を防ぐ対策

歩くと膝がガクッとする|膝崩れが起こる原因と転倒を防ぐ対策

歩くと膝がガクッとする「膝崩れ」は、太ももの筋力低下だけでなく、膝の痛みや腫れ、半月板・靱帯の損傷、変形性膝関節症などで起こります。腰の神経の不調が関係する場合もあり、症状だけで原因は決められません。まずは手すりなどで体を支え、転倒を防ぐことが大切です。繰り返す場合や、痛み・腫れ・しびれを伴う場合は整形外科で原因を確認しましょう。体重をかけられない、膝が動かない、けがの後に自力で膝を伸ばせない場合は、当日中の受診を検討してください。

膝がガクッとする「膝崩れ」とは

膝崩れとは、立っているときや歩行中に膝が体重を支えきれず、急に折れ曲がったり、力が抜けたようになったりする症状です。「膝が抜ける」「膝がカクンとなる」と表現されることもあります。

膝崩れは病名ではありません。また、曲げ伸ばしで音が鳴るだけの状態や、膝が引っかかって動かなくなる「ロッキング」とは区別して考えます。

痛みが軽くても転倒につながることがあるため、痛みの強さに加えて、安全に歩けるかどうかが重要です。

膝がガクッとする主な原因

膝崩れには、筋肉が十分に働かない場合と、膝を支える組織に問題がある場合があります。複数の原因が重なっていることもあります。

筋力低下や筋肉の働きの低下

太ももの前の筋肉「大腿四頭筋」は、体重がかかった膝を支える働きを担います。運動不足や長期間の活動量低下で筋力が落ちると、膝を支えにくくなる場合があります。

一方、**筋肉の量が減っていなくても、膝の痛みや腫れによって筋肉に十分な力が入りにくくなることがあります。**これは、関節の不調が筋肉の働きを抑える「関節原性筋抑制」と呼ばれる仕組みです。jstage.jst.go.jp

そのため、膝崩れをすべて「筋力不足」と考え、痛みを我慢して鍛えればよいわけではありません。痛みや腫れへの対応と、無理のない運動を組み合わせることが大切です。

変形性膝関節症

変形性膝関節症は、軟骨や半月板などの変化に伴って、痛みや関節機能の低下が生じる病気です。

膝の炎症や筋肉の働きの低下、進行した変形によるぐらつきなどが、膝崩れに関係することがあります。立ち上がりや歩き始めの痛み、腫れ、膝を伸ばしきれない症状などが診断の手がかりになります。joa.or.jp

ただし、レントゲンの変形が強いほど、必ず膝崩れも強くなるとは限りません。

半月板損傷・靱帯損傷

半月板は、膝の衝撃を和らげる組織です。損傷すると、痛みや引っかかりに伴って、ガクッとする感覚が出る場合があります。中高年では、明らかなけががなくても半月板に傷みが生じます。

前十字靱帯など、膝の安定性を保つ靱帯の損傷も原因になります。特に、足を着いて体の向きを変えたときの膝崩れでは、過去のスポーツや転倒によるけがが手がかりになります。jsoa.or.jp

「ガクッとした」という症状だけで、半月板損傷や靱帯断裂と決めることはできません。

膝のお皿の不安定性や、腰・神経の問題

膝のお皿である「膝蓋骨」がずれかかる状態でも、膝が抜けるように感じる場合があります。

また、腰部脊柱管狭窄症などで神経が圧迫されると、脚のしびれや力の入りにくさが出ることがあります。足先が引っかかる「つまずき」を、膝崩れと感じている場合もあります。joa.or.jp

膝だけでなく、脚全体の力・感覚・歩き方を確認する必要があります。

症状や起こる場面から分かること

膝崩れが起こる場面や、同時に出る症状は診断の手がかりになります。ただし、次の表だけで自己診断はできません。

症状・起こる場面考えられる原因・確認したいこと
階段を下りる、椅子から立ち上がるとき太ももの筋肉の働きの低下、変形性膝関節症など
足を着いて方向転換するとき靱帯損傷による不安定性、半月板の問題など
痛み・腫れとともに力が抜ける関節の炎症や、痛み・腫れに伴う筋肉の働きの低下など
引っかかって膝を伸ばせなくなる半月板の断片などが関節内で挟まる状態
歩くと脚がしびれ、休むと楽になる腰部脊柱管狭窄症など。血流の問題との区別も必要
けがの後、自力で膝を伸ばせない膝のお皿の骨折や、膝を伸ばす腱の損傷など

階段を下りるときは、太ももの筋肉がブレーキのように働きます。平地では歩けても、階段で支えきれなくなる場合があります。

整形外科を受診した方がよい症状

膝崩れを繰り返す場合は、痛みがなくても受診をおすすめします。受診の判断は「何回起きたか」だけでなく、転倒の危険や、腫れ・動かしにくさを含めて行います。

当日中の受診を検討する症状

  • 体重をかけられず、歩くことが難しい
  • 膝が引っかかったまま伸びない、動かない
  • けがの後に急に腫れた、変形した、自力で膝を伸ばせない
  • 膝が赤く熱を持ち、強い痛みや発熱がある
  • 脚の力が急に弱くなった、しびれが急速に広がっている

歩けないほどの状態では、無理に一人で移動しないでください。赤みや強い腫れがある場合は、発熱がなくても感染などの確認が必要なことがあります。

**突然、片側の手足に力が入らない、顔がゆがむ、ろれつが回らない場合は、膝の問題と決めつけず119番に連絡してください。**症状が短時間で消えても、救急での評価が必要です。ncvc.go.jp

早めに予約して相談したい症状

  • 膝崩れを繰り返す、頻度が増えている
  • 転んだ、または転びそうになった
  • 膝崩れが怖くて、外出や階段を避けるようになった
  • 痛みや腫れ、引っかかり、しびれが続く
  • 過去に膝のけがをしており、不安定感が残っている

一度だけで、痛みや腫れがなく、その後は普段どおり歩ける場合は、負担を減らして経過を見る選択肢もあります。再発する場合は受診しましょう。

自分で確認しておきたいポイント

受診前には、症状を無理に再現するよりも、「いつ・どんな場面で起きたか」を記録すると役立ちます。

  • 左右どちらか、両膝か
  • いつから始まり、どのくらい繰り返しているか
  • 平地・階段・立ち上がり・方向転換のどの場面か
  • 痛みが先に出るのか、力が抜ける感覚が先か
  • 腫れ、引っかかり、しびれ、腰痛を伴うか
  • 転倒やスポーツのけが、手術の経験があるか

**確かめるための片脚立ち、深いスクワット、膝をひねる動作は避けてください。**診察に必要な情報は、普段の症状の説明だけでも得られます。

自宅でできる対策と転倒を防ぐ工夫

自宅での対策は、まず転倒を防ぎ、膝に負担をかける動作を調整することです。筋力トレーニングは、安全に行える状態かを確認してから始めましょう。

歩行や階段では、体を支える手段を確保する

  • 階段では手すりを使い、急がず一段ずつ移動する
  • 不安定な日は階段を避け、エレベーターを利用する
  • 足を床に固定したまま体だけをひねらず、小さく足を踏み替える
  • 脱げやすいスリッパを避け、かかとが収まる靴を使う
  • 床のコードやめくれた敷物を片づけ、夜間の足元を明るくする

杖は片膝の症状であれば、一般に症状のある脚と反対側の手で持ちます。ただし、両膝に症状がある場合や不安定性が強い場合は、歩行器などが適することもあります。高さと使い方を医師や理学療法士に確認しましょう。

痛みや腫れがある日は負荷を減らす

長距離の歩行や深くしゃがむ動作など、症状が出る動きを一時的に減らしてください。

熱っぽい腫れがあるときは、保冷剤をタオルで包んで短時間冷やすと、痛みが和らぐ場合があります。皮膚に直接当てたり、冷やしたまま眠ったりしないでください。

一方で、長期間まったく動かさないと筋力が落ちます。急なけがや強い腫れがなければ、痛みの出ない範囲で日常の動きを保ちます。

運動は座る・寝る姿勢から少しずつ

原因を確認し、運動を行ってよいと判断された場合は、立位で転ぶ心配の少ない運動から始めます。

一例は、仰向けで膝の下に薄く丸めたタオルを置き、タオルを軽く押すように太ももに力を入れる運動です。数秒力を入れてから緩め、少ない回数から試します。膝を無理に押し伸ばさないでください。

**運動中に鋭い痛みや引っかかりが出たら中止します。**運動後や翌日に腫れ・痛みが増える場合も、負荷を減らして相談しましょう。

体重が多い方では、無理のない減量も膝への負担軽減につながります。ただし、高齢の方は食事を減らしすぎて筋肉を落とさないよう注意が必要です。

整形外科ではどのような検査をするか

整形外科では、問診と診察を基本に、必要な画像検査を組み合わせます。すべての方にMRIが必要なわけではありません。

診察・検査主に確認する内容
問診・診察症状の出方、腫れ、動く範囲、筋力、靱帯の緩み、歩き方、神経の働き
レントゲン骨折や骨の変形、関節の隙間、脚の並び方。必要に応じて立位で撮影
MRI半月板・靱帯・軟骨や、レントゲンでは分かりにくい骨の内部の異常
超音波関節液のたまり、膝周囲の腱や滑膜など
血液・関節液検査感染や結晶による関節炎などが疑われる場合の確認

半月板は通常のレントゲンには写らないため、損傷が疑われる場合にはMRIが役立ちます。超音波だけで、半月板や前十字靱帯の状態をすべて判断することはできません。jsoa.or.jp

また、**MRIで半月板に異常があっても、その異常が膝崩れの原因とは限りません。**反対に、レントゲンの変形が軽くても、筋肉の働きや靱帯、神経の問題によって歩きにくくなることがあります。

画像だけでなく、「実際にどの動作で困っているか」と診察所見を照らし合わせることが大切です。

膝崩れの治療方法と手術を考えるタイミング

治療は原因に合わせて選びます。膝がガクッとするからといって、すぐに手術が必要になるわけではありません。

手術以外の治療

筋肉の働きの低下や変形性膝関節症などでは、運動療法、生活動作の調整、必要に応じた薬や装具を組み合わせます。

リハビリでは、太ももの筋力だけでなく、股関節周囲の筋肉、膝の曲げ伸ばし、立ち上がりや歩き方も調整します。サポーターや装具は不安定感を補う場合がありますが、原因に合うものを選ぶ必要があります。

痛みに対しては外用薬や内服薬を検討します。内服薬は、腎臓・胃腸の病気や、服用中の薬も踏まえて選びます。

変形性膝関節症の痛みには、ヒアルロン酸注射などが選択肢になる場合があります。ただし、**痛みが軽くなることと、靱帯の緩みや膝崩れそのものが改善することは同じではありません。**注射には感染などのリスクもあり、必要性を個別に判断します。joa.or.jp

手術の相談を先延ばしにしない方がよい場合

次のような場合は、手術の必要性や時期を専門医と相談します。

  • 半月板などが挟まり、膝が伸びない状態が続いている
  • 靱帯損傷による膝崩れを繰り返し、日常生活や希望するスポーツに支障がある
  • けがで膝を伸ばす腱などが損傷している
  • 適切な保存療法でも、痛みや歩行障害が強く残っている

原因によって、半月板の縫合・切除、靱帯再建、骨切り術、人工膝関節置換術などを検討します。

**半月板損傷が見つかっただけで手術を決めることはありません。**一方、関節内で組織が挟まっている場合や、膝崩れによる追加の損傷が懸念される場合は、保存療法にこだわりすぎない判断も必要です。joa.or.jp

年齢だけでなく、活動量、仕事内容、これまでの治療、本人の希望を踏まえて選択します。

再生医療という新しい選択肢

近年では、従来の治療に加えて再生医療という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療やPRP(多血小板血漿)治療といった方法は、体の自然治癒力を引き出して関節の修復を促す治療法として注目されています。

例えば、脂肪から採取した幹細胞を関節に注入する治療では、変性した軟骨の修復や再生が期待できます。これにより、「もう正座はできないかも…」とあきらめていた方が、再び正座ができるようになったケースもあります。

ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無をしっかり診断してもらうことが重要です。

まとめ

歩くと膝がガクッとする場合は、原因の確認と転倒予防を並行して行うことが大切です。

  • 膝崩れは、筋力低下だけでなく、痛み・腫れ、半月板や靱帯の損傷などでも起こります。
  • 痛みがなくても、繰り返す場合や転倒しそうになる場合は受診しましょう。
  • 自宅では手すりや歩行補助具を活用し、無理な片脚立ちやひねり動作を避けます。
  • 治療は運動療法などから検討しますが、膝が動かない場合や強い不安定性では手術の相談が必要です。

「年齢のせい」と決めつけず、症状が続く場合は整形外科で原因を確認しましょう。

よくある質問

膝がガクッとするのに痛くない場合も、病院へ行くべきですか?

繰り返す場合や、転びそうになる場合は受診をおすすめします。痛みがなくても靱帯の不安定性や筋肉・神経の働きの低下が関係することがあります。一度だけで、その後は普段どおり歩ける場合は経過を見る選択肢もあります。

膝崩れはストレッチだけで治せますか?

ストレッチだけで改善するとは限りません。筋力低下、関節の炎症、靱帯損傷など、原因によって対策が異なります。膝崩れがあるときの立位ストレッチは転倒に注意し、無理に膝を曲げたりひねったりしないでください。

膝にサポーターを着ければ、いつもどおり歩いても大丈夫ですか?

サポーターを着けても、安全に歩けるとは限りません。種類によって支える力が異なり、原因の治療の代わりにはなりません。装着しても膝崩れが出る場合は無理に歩かず、杖などの併用や治療方針を相談しましょう。

膝がガクッとする症状があるとき、車を運転してもよいですか?

ペダルを踏む力や素早い踏み替えに不安がある間は、運転を控えてください。特に右膝の症状や、突然力が抜ける状態は注意が必要です。痛みの有無だけで判断せず、再開の目安を医師に確認しましょう。

参考文献・参考情報

札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。

院長 川上公誠

(プロフィール)


監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長

岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。

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