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膝 膝裏が痛いのはなぜ?曲げたときの原因と対策を専門医が解説

日常生活の中で「膝裏を曲げると痛い」と感じることはありませんか?膝は私たちの体重を支え、歩行や動作を助ける重要な関節です。その裏側の痛みは、放置していると悪化する可能性もあるため、原因をしっかり理解し、適切な対処を行うことが大切です。この記事では、膝裏の痛みの主な原因や考えられる病気、簡単にできる対策方法をご紹介します。
この記事の内容
膝裏が痛い原因
膝裏の痛みはさまざまな要因で引き起こされます。以下に、代表的な原因と特徴を挙げます。
ベーカー嚢腫(のうしゅ)
膝裏にしこりや腫れを伴う場合は、ベーカー嚢腫の可能性があります。関節液が過剰に分泌され、膝裏にある滑液包という袋状の組織に溜まることで発症します。腫れが大きくなると、膝を曲げる動作で痛みが強くなります。
特徴的な症状
- 膝裏がぽっこり腫れる
- 膝を曲げると痛む
- ふくらはぎや太もも裏にも違和感
対策:症状が軽度の場合は安静にして経過を見ることが多いですが、痛みや腫れがひどい場合は整形外科で診断を受けましょう。場合によっては関節液を抜く処置が必要です。
変形性膝関節症
加齢や肥満、長年の膝の酷使によって膝の軟骨がすり減ると、変形性膝関節症を引き起こす可能性があります。初期には膝裏の違和感や痛みとして現れることが多いです。
特徴的な症状
- 膝の曲げ伸ばしで痛み
- 階段の昇り降りや立ち上がりで痛みが強まる
- 膝が腫れて熱を持つことがある
対策:体重管理や太ももの筋力を鍛える運動が有効です。重症の場合は整形外科で治療を受けましょう。
半月板損傷
スポーツ中の急な動きや体重のかけ方が原因で、膝内の半月板が損傷することがあります。この損傷が膝裏の痛みとして現れることがあります。
特徴的な症状
- 膝の曲げ伸ばし時に痛み
- 「引っかかる感じ」や「ガクッとする動き」の違和感
- 痛みが増すと膝を動かせなくなる
対策:早期診断が重要です。症状が軽ければリハビリや運動療法で改善しますが、損傷がひどい場合は手術が必要なこともあります。
筋肉や腱の炎症
膝裏を支える筋肉や腱が炎症を起こすことで痛みが発生します。特に、過度な運動や長時間のデスクワークが原因となることが多いです。
特徴的な症状
- 膝裏に鈍い痛みや張り感
- 長時間の座位や立ち仕事で症状が悪化
- 運動後に膝裏が腫れることがある
対策:適切なストレッチや休息が重要です。痛みが続く場合は医師に相談しましょう。
関節リウマチ
関節リウマチは自己免疫疾患の一つで、膝裏を含む関節に炎症が起こる病気です。全身の関節に影響を及ぼすことがあり、早期の診断と治療が必要です。
特徴的な症状
- 膝裏の痛みと腫れ
- 朝のこわばり(動きが硬い感覚)
- 全身のだるさや発熱
対策:免疫調整薬やリハビリ治療を組み合わせた治療が行われます。専門医の診察を受けることが最優先です。
膝裏の痛みへの簡単な対策
膝裏の痛みを軽減するために、以下の対策を試してみましょう。
- 安静にする :痛みがあるときは、膝を使いすぎないように安静を心がけましょう。
- アイシング :膝裏が腫れている場合は、冷却することで炎症を抑えられます。
- ストレッチ :太ももやふくらはぎの筋肉をほぐすストレッチが効果的です。ハムストリングスを優しく伸ばす動きを取り入れましょう。
- 体重管理 :膝への負担を減らすために、適正体重を保つことが大切です。
- 適度な運動 :筋力を強化することで、膝関節の安定性を向上させられます。ただし、痛みが強いときは無理をせず、医師の指導を受けることが推奨されます。
再生医療という新しい選択肢
近年では、従来の治療に加えて再生医療という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療やPRP(多血小板血漿)治療といった方法は、体の自然治癒力を引き出して関節の修復を促す治療法として注目されています。
例えば、脂肪から採取した幹細胞を関節に注入する治療では、変性した軟骨の修復や再生が期待できます。これにより、「もう正座はできないかも…」とあきらめていた方が、再び正座ができるようになったケースもあります。
ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無をしっかり診断してもらうことが重要です。
まとめ
膝裏の痛みは、日常生活に大きな影響を与える可能性があります。しかし、適切なケアと早期治療を行うことで症状の改善が期待できます。痛みを感じたら、まずは原因を特定し、必要に応じて専門医の診察を受けましょう。日頃からストレッチや筋力トレーニングを心がけ、膝への負担を減らすことが健康な膝を保つ鍵となります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 膝裏を曲げると痛い原因は何ですか?
A. 主な原因にはベーカー嚢腫、変形性膝関節症、半月板損傷、筋肉や腱の炎症、関節リウマチなどがあります。症状により異なるため、早期の診察が重要です。
Q2. ベーカー嚢腫とは何ですか?
A. 関節液が膝裏にたまって腫れる病態で、膝を曲げたときに痛みを感じやすくなります。安静や注射、必要に応じて液を抜く治療が行われます。
Q3. 膝裏の痛みをやわらげる対策はありますか?
A. 安静、アイシング、太ももやふくらはぎのストレッチ、体重管理、適度な運動などが有効です。痛みが強い場合は無理せず医療機関を受診しましょう。
札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。
院長 川上公誠
(プロフィール)
監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長
岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。


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