「ひざの痛みが続いている」「手術は避けたいけれど、他に方法がないのだろうか？」
こうした悩みを抱えている方に、近年注目されているのが再生医療です。PRP療法や幹細胞治療といった先進的な技術は、関節の痛みや変形に対して手術に頼らない新たな治療の選択肢として広がりを見せています。

ただし、再生医療はクリニックによって治療の質や方針に違いがあります。今回は、再生医療を受けたいと考えている方に向けて、信頼できるクリニックの選び方と注意点を、整形外科専門医の立場からわかりやすく解説します。

再生医療とは？基本を知っておこう

再生医療とは、自分自身の細胞や血液などを使って、傷んだ組織の修復や再生を促す医療です。ひざ関節を中心に、スポーツ障害や慢性関節痛などに対して利用されています。

代表的な治療には次の2つがあります。

• PRP療法（多血小板血漿療法）：自分の血液から血小板を濃縮し、患部に注射することで痛みや炎症を抑える治療
• 幹細胞治療：脂肪や骨髄から取り出した幹細胞を関節に注入し、損傷した軟骨や組織の再生を期待する治療

どちらも手術をせずに痛みを軽減できる可能性がある治療法として注目されています。

クリニック選びで失敗しないための5つのポイント

再生医療を安全に、そして効果的に受けるためには、クリニック選びがとても重要です。以下のポイントを必ず確認しましょう。

1. 再生医療の「届出」がされているか

再生医療は、国が定めた「再生医療等安全性確保法」によって厳しく管理されています。
そのため、治療を行うには厚生労働省への届出と、必要な許可・認可が必須です。
「再生医療等提供計画番号」や「特定細胞加工物製造施設番号」などが明示されているかを確認しましょう。

2. 医師の専門性と実績

治療を行う医師が、整形外科や再生医療の専門知識を持っているかどうかも重要です。
実際にどのくらいの患者さんに再生医療を行ってきたか、どのような症例に対応してきたかといった実績も判断材料になります。

3. 治療前の診断と検査の質

信頼できるクリニックは、治療の前に画像検査（MRIやX線）や血液検査などをしっかりと行い、患者に適した治療を見極めます。安易に「誰でも受けられる」といった説明をする施設は注意が必要です。

4. アフターケアやリハビリの体制

治療後のフォローアップ体制も見逃せません。再生医療は一度注射をすれば終わりというものではなく、その後の経過観察やリハビリが治療効果に影響することもあります。定期的な診察や回復をサポートする体制が整っているかを確認しましょう。

5. 費用の明確さ

再生医療は基本的に**自由診療（保険適用外）**です。費用が高額になることもあるため、治療費の内訳や支払い方法を事前にしっかりと説明してくれるクリニックを選びましょう。
料金が明確に提示されていない場合は要注意です。

再生医療を受ける前に知っておきたいこと

再生医療は魅力的な選択肢ですが、すべての人に効果があるわけではありません。
特に以下の点は事前に理解しておく必要があります。

• 即効性は期待しすぎないこと：効果が出るまでに数週間〜数ヶ月かかる場合があります
• 重度の変形には効果がでにくいことも：関節の状態によっては効果が出にくいケースもあります
• すべてのクリニックが同じ質の治療をしているわけではない：治療内容や経験に大きな差があります

これらを理解したうえで、納得できる説明と対応をしてくれる医療機関を選ぶことが、再生医療の成功に直結します。

自分に合ったクリニックで、痛みのない日常を取り戻そう

ひざの痛みや関節のトラブルに悩む方にとって、再生医療は手術以外の有力な選択肢です。ただし、効果を最大限に引き出すためには、信頼できるクリニックを選び、正しい知識を持って治療に臨むことが不可欠です。

札幌をはじめ全国には再生医療を提供するクリニックがありますが、「誰が治療をするか」「どんなサポートが受けられるか」を基準に選ぶことで、治療後の満足度も大きく変わってきます。

再生医療を前向きに検討している方は、ぜひ一度、専門のクリニックでの相談をおすすめします。正しい情報と、丁寧な医師の対応が、あなたの治療の第一歩となるはずです。