
コラム COLUMN
腰 ゴルフで腰が痛くなるのはなぜ?体幹の使い方がカギ

「ゴルフのラウンド中は楽しいのに、終わったあと腰が痛くて立ち上がるのもつらい」
「スイングのたびに腰に負担がかかっている気がする」
このように、ゴルフと腰痛は切っても切れない関係にあります。特に50代以降の方からは、「腰が痛いけど、ゴルフはやめたくない」という声をよく伺います。ゴルフを長く続けるためには、腰痛の原因を理解し、体幹の使い方を工夫することが大切です。
この記事の内容
どんなときに腰が痛くなる?
ゴルフで腰痛が出やすいのは、以下のような場面です。
- ドライバーなどで力いっぱいスイングした後
- バンカーやラフから無理な体勢で打ったとき
- 長時間のラウンド後、カートの乗り降りや歩行のとき
- 翌朝、腰が固まったように感じるとき
「スイング中だけでなく、ラウンド後や翌日に痛みが出る」という方も少なくありません。これは、腰回りの筋肉や関節に小さな負担が積み重なっているサインです。
ゴルフ腰痛の原因を医学的に解説
腰痛の原因は一つではなく、複数の要素が重なっています。
1. 体幹の筋力不足
スイングは全身を使う動作ですが、体幹(お腹や背中の深い筋肉)が弱いと、腰椎(背骨の腰の部分)に余計なねじれや衝撃が加わります。これが慢性的な腰痛につながります。
2. 柔軟性の低下
股関節や胸椎の動きが硬いと、本来分散されるはずの回旋(ひねり)や前屈・後屈の動きが腰だけに集中します。その結果、腰の椎間板や筋肉に負担がかかりやすくなります。
3. スイングフォームの問題
腰を軸に「力で振る」フォームは危険です。体幹をうまく使えていない場合、腰だけで回ろうとしてしまい、痛みが出やすくなります。
4. 加齢による変化
50代以降では、椎間板のクッション性や筋肉の回復力が低下してきます。軽い負担でも炎症や痛みにつながりやすいのです。
治療法・対策・予防法
腰痛を和らげ、ゴルフを楽しみ続けるための方法をご紹介します。
保存療法
まずは痛みが強いときには無理をせず、安静や消炎鎮痛剤(湿布や内服薬)を活用します。整形外科では必要に応じて注射やリハビリを組み合わせて治療します。
運動療法(ストレッチ・体幹トレーニング)
- 股関節のストレッチ:開脚やもも裏のストレッチで腰の負担を分散
- 体幹の筋トレ:プランクや腹式呼吸で体の軸を安定
- スイングに近い動作練習:軽いクラブで体幹主導の動きを確認
毎日少しずつ行うことで、スイング中の腰の動きがスムーズになり、再発予防につながります。
装具の活用
腰痛ベルトや骨盤ベルトを使うと、ラウンド中の負担を軽減できます。特に痛みが出やすいときのサポートとして有効です。
生活習慣の工夫
- 長時間同じ姿勢で座らない
- ラウンド後はストレッチで筋肉をほぐす
- 体重管理で腰への負担を減らす
医療機関での治療
痛みが長引く場合は、椎間板や関節に異常がないか確認が必要です。場合によっては再生医療(PRP治療や幹細胞治療)なども選択肢となりますが、まずは保存療法から始めることが一般的です。
よくある質問と誤解
Q. 腰が痛いときはゴルフをやめたほうがいいですか?
完全にやめる必要はありませんが、痛みが強いときは無理にプレーせず休養しましょう。軽度の痛みであれば、体幹を意識したスイングやストレッチを取り入れることで改善するケースもあります。
Q. 腰痛があるときは安静が一番ですか?
安静にしすぎると筋力や柔軟性が低下し、かえって痛みが長引くこともあります。痛みが落ち着いたら、無理のない範囲での運動が大切です。
Q. ゴルフによる腰痛は年齢のせいですか?
年齢は一因ですが、体幹の使い方やフォームの改善で多くの方が腰痛を軽減できます。「もう歳だから仕方ない」と諦める必要はありません。
再生医療という新しい選択肢
近年では、従来の治療に加えて「再生医療」という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療やPRP(多血小板血漿)治療といった方法は、体が本来持つ自然治癒力を引き出し、関節や組織の修復を促す治療法として注目されています。
例えば、脂肪から採取した幹細胞を点滴で投与することで、膝や股関節だけでなく、腰痛などの慢性疼痛に対しても炎症を抑えたり、組織の修復を促したりする効果が期待されています。
ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無を医師がしっかり診断したうえで治療を検討することが大切です。
まとめ:腰痛と付き合いながらゴルフを楽しむために
ゴルフで腰が痛くなる原因は、「体幹の使い方」に大きく関わっています。筋力不足や柔軟性の低下、スイングフォームの癖を改善することで、腰痛は予防・改善できます。
腰痛はゴルファーにとって大きな悩みですが、「年齢だから仕方ない」と諦める必要はありません。正しい知識と工夫で、これからも長くゴルフを楽しむことができます。もし痛みが長引く場合は、早めに整形外科を受診して原因を確認しましょう。
札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。
院長 川上公誠
(プロフィール)
監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長
岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。


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