
コラム COLUMN
スポーツ外傷股関節 ゴルフで股関節が硬くなる?回旋制限と予防ストレッチ

「最近、スイングのときに腰や股関節が回らなくなってきた」
「以前より体が硬くて、スコアにも影響している気がする」
ゴルフを楽しむ50代〜80代の方から、このような相談をよく受けます。特に股関節の「回旋制限(ひねりにくさ)」は、ゴルフ特有の動作で大きな影響を及ぼします。股関節が硬いと、無理なスイングになり腰痛や膝痛につながることもあります。
この記事の内容
症状や悩みの背景
股関節が硬くなると、次のような場面で困ることがあります。
- スイング時に上半身が回らず、腕だけでクラブを振ってしまう
- フィニッシュでバランスを崩す
- 長時間のラウンド後に股関節や腰が重だるい
- 歩行や階段昇降でも違和感を覚えるようになる
こうした変化は「年齢のせい」と思われがちですが、実際には股関節周囲の筋肉や関節自体の柔軟性低下が関係しています。
原因や医学的な解説
股関節は体の中で最も大きな関節のひとつで、前後・左右・回旋と幅広い動きが可能です。しかし、加齢や運動不足により周囲の筋肉(お尻や太もも、股関節の前側)が硬くなると、動きが制限されます。
特にゴルフでは「内旋」「外旋」といったひねりの動きが重要ですが、この可動域が狭くなると腰椎(腰の骨)や膝に負担が集中しやすくなります。
また、股関節の関節軟骨がすり減る「変形性股関節症」や、筋肉や腱の炎症が原因となる場合もあります。早めに対策することで進行を防げるケースも少なくありません。
具体的な対策・予防法
股関節の硬さや回旋制限を改善するには、次の方法が有効です。
1. 保存療法
- 温めることで筋肉の血流を促進し、柔軟性を回復
- 鎮痛薬や湿布で炎症を抑える
2. ストレッチと運動
股関節の柔軟性を取り戻すには、日常的なストレッチが効果的です。
- お尻のストレッチ:椅子に座って片足をもう一方の太ももにのせ、上体を前に倒す
- 股関節前側のストレッチ:片膝をついて腰を前に押し出す
- 回旋ストレッチ:仰向けで膝を立て、片側に倒す
無理のない範囲で、毎日5〜10分続けることが大切です。
3. 生活習慣の見直し
- 長時間同じ姿勢を避ける
- 歩行や軽いスクワットで下半身を鍛える
- 体重管理をして股関節への負担を減らす
4. 医療機関での治療
症状が強い場合や変形性股関節症の進行が疑われる場合は、整形外科での検査をおすすめします。関節注射やリハビリ、装具療法などで改善が期待できます。再生医療(PRPや幹細胞治療)を選択できる施設もあり、将来的な選択肢のひとつとなっています。
よくある質問・誤解への回答
Q. 痛みがあるときは動かさないほうがいいですか?
A. 強い痛みがあるときは安静も大切ですが、完全に動かさないとさらに硬くなります。痛みのない範囲でストレッチや歩行を続けることが予防につながります。
Q. ゴルフはやめたほうがいいのでしょうか?
A. 症状の程度によりますが、多くの方はストレッチや体の使い方を工夫することで継続可能です。フォーム改善や練習量の調整も大切です。
Q. 手術が必要になるケースもありますか?
A. 変形性股関節症が進行し、日常生活に支障が大きい場合は手術が選択されることもあります。ただし早めの対応で手術を回避できる可能性もあります。
再生医療という新しい選択肢
近年では、従来の治療に加えて再生医療という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療やPRP(多血小板血漿)治療といった方法は、体の自然治癒力を引き出して関節の修復を促す治療法として注目されています。
例えば、脂肪から採取した幹細胞を関節に注入する治療では、変性した軟骨の修復や再生が期待できます。これにより、「もう正座はできないかも…」とあきらめていた方が、再び正座ができるようになったケースもあります。
ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無をしっかり診断してもらうことが重要です。
まとめ
ゴルフで股関節が硬くなるのは、多くの方が経験する悩みです。しかし、ストレッチや生活習慣の見直しで改善できるケースがほとんどです。
「年齢だから仕方ない」と諦める必要はありません。正しい知識とケアで股関節の柔軟性を取り戻せば、ゴルフを長く楽しむことができます。もし痛みが強い場合は、早めに専門医へ相談してください。
札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。
院長 川上公誠
(プロフィール)
監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長
岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。


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