膝のぐらつき感は、加齢や筋力低下、靭帯や半月板の損傷など、さまざまな原因で起こる症状です。歩行時や階段の昇り降りで不安定さを感じる方も多く、「放っておいても大丈夫？」と不安に思う方もいらっしゃいます。ここでは、多くの方が気になる「膝のぐらつき感」に関する質問に整形外科専門医がわかりやすくお答えします。

膝のぐらつき感は何が原因ですか？

膝のぐらつき感の多くは、大腿四頭筋（太ももの前の筋肉）の筋力低下や靭帯のゆるみ、半月板損傷などによって起こります。変形性膝関節症の初期症状として現れることもあり、早めの診察と筋力トレーニングが重要です。

歩いていると膝が抜けそうになるのは危険ですか？

膝が「ガクッ」と抜けるような感覚がある場合、靭帯や半月板の損傷、あるいは関節の不安定性が関係していることがあります。放置すると変形が進むこともあるため、早めに整形外科での評価をおすすめします。

膝のぐらつきは筋トレで治りますか？

軽度のぐらつきであれば、太ももやお尻の筋肉を鍛えることで安定感が改善することがあります。特にスクワットや膝伸ばし運動（膝伸展訓練）が効果的です。ただし、痛みを伴う場合は医師の指導のもとで行いましょう。

ぐらつき感は膝の変形と関係がありますか？

はい、関係があります。変形性膝関節症が進行すると、関節の軸がずれて安定性が低下し、ぐらつき感が強くなります。初期の段階で適切な治療を行うことで、変形の進行を遅らせることが可能です。

膝のぐらつきを感じたら受診すべきですか？

階段の昇り降りや立ち上がりで不安定さを感じる場合は、早めの受診をおすすめします。関節の不安定性は自然には改善しにくく、放置すると痛みや変形につながることがあります。

膝のぐらつきに再生医療は効果がありますか？

関節内の炎症や軟骨の損傷が原因でぐらつきが起きている場合、PRP療法や幹細胞治療などの再生医療が有効なケースがあります。組織の修復を促すことで、関節の安定性を高める効果が期待できます。

ぐらつき感を予防するにはどうすればいいですか？

予防には、太もも・お尻・体幹の筋力維持が欠かせません。ウォーキングや軽いスクワットを習慣にし、膝を冷やさないよう注意することも大切です。体重管理も関節の安定を保つうえで重要です。

膝のぐらつき感は「年齢のせい」と思われがちですが、原因を見極めて適切にケアすれば改善が期待できます。軽い症状のうちに専門医へ相談し、関節を長持ちさせる習慣を身につけましょう。

再生医療という新しい選択肢

近年では、従来の治療に加えて再生医療という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療やPRP（多血小板血漿）治療といった方法は、体の自然治癒力を引き出して関節の修復を促す治療法として注目されています。

例えば、脂肪から採取した幹細胞を関節に注入する治療では、変性した軟骨の修復や再生が期待できます。これにより、「もう正座はできないかも…」とあきらめていた方が、再び正座ができるようになったケースもあります。

ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無をしっかり診断してもらうことが重要です。