多くの方が不安に思う「膝の靭帯損傷」について、整形外科専門医がよくある質問にやさしくお答えします。正しい知識を知ることで、安心して治療や予防に取り組む第一歩になります。

Q1. 膝の靭帯損傷とはどんなけがですか？

膝の靭帯損傷とは、膝を安定させるための靭帯が強い衝撃やねじれで部分的または完全に切れるけがです。スポーツや転倒で起こりやすく、腫れや不安定感が出ます。

Q2. 膝の靭帯損傷の症状にはどんなものがありますか？

受傷直後は強い痛みや腫れが出ることが多く、膝がぐらつくような不安定感を感じる方もいます。特に歩行や階段の上り下りで違和感が目立ちます。

Q3. 膝の靭帯損傷はどのように診断されますか？

診察での徒手検査に加えて、MRIやX線を用いて損傷の程度を確認します。MRIでは靭帯の断裂の有無や合併する半月板の損傷も評価できます。

Q4. 膝の靭帯損傷は自然に治りますか？

部分断裂の場合は保存療法で改善することもありますが、完全断裂は自然にくっつくことはほとんどありません。適切なリハビリや場合によっては手術が必要です。

Q5. 膝の靭帯損傷の治療方法は？

保存療法ではリハビリや装具で安定性を保ちます。重度の断裂やスポーツ復帰を希望する場合は靭帯再建術が検討されます。再生医療による治療も選択肢の一つです。

Q6. 膝の靭帯損傷からの回復にはどれくらいかかりますか？

部分損傷であれば数週間から数か月のリハビリで改善することがあります。手術を受けた場合は、スポーツ復帰までに6か月から1年ほど必要です。

Q7. 膝の靭帯損傷を予防するにはどうすればよいですか？

太ももや体幹の筋力を強化し、柔軟性を保つことが大切です。ジャンプや着地動作を正しく行う練習も有効で、膝に過度な負担をかけない生活習慣が予防につながります。

膝の靭帯損傷は放置すると関節の不安定性や変形性膝関節症の原因になることもあります。正しい理解と早めの対応で、安心して生活やスポーツを続けられるようにしましょう。

再生医療という新しい選択肢

近年では、従来の治療に加えて再生医療という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療やPRP（多血小板血漿）治療といった方法は、体の自然治癒力を引き出して関節の修復を促す治療法として注目されています。

例えば、脂肪から採取した幹細胞を関節に注入する治療では、変性した軟骨の修復や再生が期待できます。これにより、「もう正座はできないかも…」とあきらめていた方が、再び正座ができるようになったケースもあります。

ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無をしっかり診断してもらうことが重要です。