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FAQスポーツ外傷膝 膝の靭帯再建術でよくある8つの質問に専門医がやさしく回答

膝の靭帯損傷、特に前十字靭帯(ACL)などの「再建術」を検討されている方にとって、手術の内容やその後の生活への不安は大きいこととお察しします。インターネット上には多くの情報がありますが、ご自身の状況に当てはまるのか判断に迷うことも多いでしょう。
ここでは、当院の診察室で患者様からよくいただくご質問を厳選し、整形外科専門医の視点で分かりやすく解説しました。皆様の不安を解消し、前向きな治療選択の一助となれば幸いです。
この記事の内容
膝の靭帯再建術とは、どのような手術ですか?
切れてしまった靭帯の代わりに、ご自身の他の部位から採取した腱(けん)を移植して、新しい靭帯を作る手術です。多くの場合、関節鏡という内視鏡を使って小さな傷口で行われます。単に縫い合わせるのではなく、新しい組織を植え込むことで、膝の安定性をしっかりと取り戻すことが目的です。将来的な軟骨の保護やスポーツ復帰のために非常に重要な手術といえます。
靭帯が切れたら、必ず手術をしなければいけませんか?
多くの方が気にされる点ですが、必ずしも全員が手術対象ではありません。活動性や膝のグラつきによります。しかし、不安定なまま生活を続けると、クッションである半月板や軟骨が傷つきやすく、将来的に「変形性膝関節症」に進行するリスクが高まります。スポーツを続けたい方や、階段で膝が抜ける感覚がある方は、再建術を検討することをお勧めします。
再建術に使う「自分の腱」はどこから持ってくるのですか?
一般的には、太ももの裏側にある「ハムストリング」の腱や、お皿の下にある「膝蓋腱(しがいけん)」の一部を使用します。これらは一部を採取しても、日常生活やスポーツに大きな支障が出にくいことが研究で分かっています。どの腱を使うかは、競技種目やライフスタイルに合わせて医師が慎重に判断します。ご自身の組織を使うため、拒絶反応の心配がなく、強度も安定しやすいのが特徴です。
手術のための入院期間はどのくらい必要ですか?
病院の体制や術後の経過にもよりますが、一般的には3日から2週間程度が目安です。最近では、早期リハビリテーションの重要性が高まっており、短期間で退院できるケースも増えています。当院では患者様の仕事や家庭の状況に合わせて最適なプランをご提案しています。退院後も通院でのリハビリが継続的に必要ですので、無理のないスケジュールを一緒に考えていきましょう。

術後の痛みはどのくらい続きますか?
手術直後は痛みがありますが、鎮痛剤や冷却、麻酔の工夫によって十分にコントロール可能です。多くの場合、激しい痛みは術後2〜3日がピークで、その後は徐々に落ち着いていきます。「手術が怖い」と感じる理由の多くは痛みへの不安ですが、現在は医学の進歩により、不必要な痛みを我慢していただくことはありません。リハビリも痛みの様子を見ながら段階的に進めていくので安心してください。
スポーツ復帰までにはどのくらいの期間がかかりますか?
競技の種類によりますが、ジョギング開始まで3ヶ月、本格的なスポーツ復帰には8ヶ月から1年程度かかるのが一般的です。移植した腱がしっかりとした靭帯に生まれ変わるには、生物学的な時間が必要です。焦って早く復帰しすぎると再断裂のリスクが高まってしまいます。専門の理学療法士と一緒に、筋力や膝のバランスを確認しながら、一歩ずつ着実にステップアップしていきましょう。
手術の傷跡は目立ちますか?
関節鏡を用いた手術のため、傷跡は非常に小さく済みます。通常、1センチ程度の傷が数か所と、腱を採取するための数センチの傷が1つです。これらは時間の経過とともに目立たなくなり、多くの方がそれほど気にならなくなります。機能の回復はもちろん、見た目の負担も最小限にするよう努めています。美容面が気になる方には、術後のケアについても詳しくご説明しています。
高齢でも靭帯再建術を受けることは可能ですか?
はい、可能です。以前は若いスポーツ選手が中心でしたが、現在は「元気に自力で歩き続けたい」という活動的な高齢の方も受けるケースが増えています。大切なのは実年齢よりも、膝の状態や全身の健康状態です。靭帯を再建して膝のグラつきを抑えることが、結果として軟骨を守り、将来の寝たきり予防につながることもあります。年齢のせいと諦めず、まずは専門医に相談してみましょう。

膝の靭帯再建術は、決して小さな決断ではありませんが、将来にわたって自分の足で活動的に過ごすための大きな投資でもあります。リハビリの道のりは長く感じるかもしれませんが、専門スタッフが二人三脚で支えますので安心してください。
もし他にも不安なことや、今の自分の膝に手術が必要なのか知りたいということがあれば、一人で悩まずにいつでも診察室で声をかけてくださいね。一緒に最適な解決策を見つけていきましょう。
再生医療という新しい選択肢
近年では、従来の治療に加えて再生医療という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療やPRP(多血小板血漿)治療といった方法は、体の自然治癒力を引き出して関節の修復を促す治療法として注目されています。
例えば、脂肪から採取した幹細胞を関節に注入する治療では、変性した軟骨の修復や再生が期待できます。これにより、「もう正座はできないかも…」とあきらめていた方が、再び正座ができるようになったケースもあります。
ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無をしっかり診断してもらうことが重要です。

札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。
院長 川上公誠
(プロフィール)
監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長
岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。
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