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腰 腰椎椎間板ヘルニアの痛みを和らげる方法|姿勢・筋トレ・生活改善でできる対策とは?

この記事の内容
腰椎椎間板ヘルニアとは
腰椎椎間板ヘルニアとは、背骨の腰部分に加わる衝撃を緩和するためのクッションとして働く「椎間板」という組織が何らかの原因で外に飛び出てしまった状態を指します。外に飛び出した椎間板が神経を圧迫し、強い痛みやしびれが現れます。若年層の「坐骨神経痛」の原因になりやすいため注意が必要です。

腰椎椎間板ヘルニアの原因
腰椎椎間板ヘルニアは20代から40代に多く発症する傾向がありますが、主な原因として以下が挙げられます。
- 加齢: 椎間板の水分量が減少し、変性が進行することが原因の一つです。
- 姿勢: 長時間の前かがみや中腰、座ったままの姿勢が影響します。
- 重いものを持つ動作の反復: 重いものを持ち上げる動作が椎間板に強い圧力をかけます。
- スポーツによる激しい体動: 特定のスポーツが椎間板に負担をかけることがあります。
- 肥満や喫煙: これらも腰椎椎間板ヘルニアのリスクを高める要因です。
腰椎椎間板ヘルニアの症状
腰椎は5つの椎骨で構成されており、どの箇所にヘルニアが発症したかによって症状が変わります。主な症状として以下が挙げられます。

- 坐骨神経痛: お尻から足にかけての痛み
- しびれ: 腰や足のしびれ
- 腰痛: 腰の痛み
- 足首の可動制限: 足首が動きにくくなる
- 特定の足の指に力が入らない
- 足の筋力低下
排尿や排便障害が出ることもあり、この場合は緊急処置が必要ですので、すぐに医療機関を受診しましょう。
腰椎椎間板ヘルニアの治療方法
腰椎椎間板ヘルニアの治療は、潰れた部分が自然に治ることも多いため、痛みがなければ基本的に治療の必要はありません。しかし、痛みやしびれが現れている場合は、以下のような治療が必要です。
- 注射療法(ブロック注射): 圧迫されている神経の周囲に薬を注入し、痛みを軽減します。
- 薬物療法(痛み止め): 消炎鎮痛剤の内服薬や湿布などを使用します。
- 理学療法: 医師や理学療法士の指導のもと運動やストレッチを行います。
ブロック注射は、痛みの軽減とともに神経の興奮を鎮める効果があり、繰り返す痛みを抑制することも期待できます。保存療法でどうしても痛みが取れない場合や排尿排便障害がある場合には、手術療法が行われることもあります。
腰椎椎間板ヘルニアの痛みを和らげるセルフケア
椎間板ヘルニアで痛みが生じている場合は、まず痛みを軽減することが重要です。治療とともに自宅でできるセルフケアで痛みを和らげるために対策することも大切です。
負担の少ない姿勢をつくる
腰椎は立位でも座位でも上半身の重みを支えているため、常に負担がかかりやすいです。以下の方法で姿勢を改善しましょう。
- デスクワークや運転の合間に休憩をとる: 1時間以上継続したら体を伸ばす。
- 体格に合った椅子を選び、クッションを使用する: まっすぐ座れるようにサポートします。
- 重いものを持ち上げる際の注意: 膝を曲げた状態から持ち上げるようにします。
インナーマッスルを鍛える
腰椎にかかる負担を軽減して痛みを抑えるためには、腹筋と背筋の深部に位置する「インナーマッスル」を鍛えることが大切です。
- 腹横筋の鍛え方: 横になり膝を90度に曲げ、両手をおへその下あたりに添えてお腹を膨らませて鼻から息を吸い、10秒かけて口から息を吐く呼吸を1日3分程度継続します。
- 多裂筋の鍛え方: 多裂筋とは背骨の深いところにある小さな筋肉でそれが連なり背骨を支えています。四つん這いになり肩の真下に手がくる姿勢で、片足をゆっくり床から離してまっすぐ伸ばし、反対側の手も床から離してまっすぐ伸ばした状態を10秒キープします。
食生活や嗜好品の見直し
腰椎椎間板ヘルニアになりやすい要因として、肥満と喫煙が挙げられます。予防や再発防止のためにもダイエットと禁煙を始めましょう。
- BMI管理: 山形大学医学部の研究によると、BMI25以上の体重過多及び肥満者に対して、10%以上のBMI減少が腰痛減少の目安とされています。
- 禁煙: 日本整形外科学会の腰痛診療ガイドラインによると、喫煙は腰痛の有訴率が高く、若年者に強い傾向があるとされています。
再生医療という新しい選択肢
近年では、従来の治療に加えて「再生医療」という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療やPRP(多血小板血漿)治療といった方法は、体が本来持つ自然治癒力を引き出し、関節や組織の修復を促す治療法として注目されています。
例えば、脂肪から採取した幹細胞を点滴で投与することで、膝や股関節だけでなく、腰痛などの慢性疼痛に対しても炎症を抑えたり、組織の修復を促したりする効果が期待されています。
ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無を医師がしっかり診断したうえで治療を検討することが大切です。
まとめ
腰椎椎間板ヘルニアは、保存療法で50〜80%が改善すると言われています。痛みが出たらすぐに適切な治療を受けることが大切です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 腰椎椎間板ヘルニアの痛みを和らげるにはどうすればよいですか?
A. 姿勢の見直しや、インナーマッスル(腹横筋・多裂筋)を鍛えることが有効です。また、無理のない範囲でストレッチを行い、体に負担をかけない生活習慣を心がけましょう。
Q2. 椎間板ヘルニアのときにしてはいけない動きは?
A. 前かがみや急なひねり動作、重い物を中腰で持ち上げる動作は避けましょう。腰に大きな負担がかかり、症状が悪化する恐れがあります。
Q3. 保存療法だけで本当に治るのでしょうか?
A. 多くの椎間板ヘルニアは、保存療法(薬物・運動療法など)で自然治癒します。症状が改善しない場合や麻痺がある場合は手術も検討されます。
札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。
院長 川上公誠
(プロフィール)
監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長
岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。


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