
コラム COLUMN
股関節 朝起きたときの股関節のこわばりは病気のサイン?

朝、ベッドから起き上がるときに「股関節がこわばって動きづらい」と感じたことはありませんか?しばらくすると自然に動けるようになる場合も多く、「歳のせいかな」とやり過ごしてしまいがちですが、実はこの“朝のこわばり”が体からの重要なサインであることもあります。本記事では、股関節のこわばりが示す可能性のある病気や原因、そして対処法について解説します。
股関節がこわばるってどういう状態?
「こわばり」とは、関節まわりの筋肉や靱帯、関節包が硬くなり、スムーズに動かしにくい状態を指します。特に朝起きた直後に感じるこわばりは、関節を動かさずに寝ていたことで関節液の循環が低下し、炎症の産物が関節内に溜まりやすくなっていることが関係しています。股関節は体の中心にある重要な関節で、こわばりがあると日常生活にも大きな影響を及ぼす可能性があります。
朝の股関節のこわばりが現れる主な原因
1. 変形性股関節症(へんけいせいこかんせつしょう)
中高年の方に多い股関節の疾患で、関節の軟骨がすり減ることで炎症が起き、痛みやこわばりが生じます。特に朝の動き出しや、長時間座った後の立ち上がり時に症状が強くなるのが特徴です。
2. 関節リウマチ
自己免疫の異常により関節に炎症が起こる病気です。朝のこわばりが30分以上続くことが多く、股関節を含め全身の関節に痛みや腫れが生じることもあります。女性に多く、40〜60代で発症することが多いです。
3. 滑液包炎(かつえきほうえん)
股関節まわりには「滑液包」という潤滑油のような役割を持つ袋があります。これに炎症が起こると、動かすときに痛みやこわばりを感じることがあります。特に長時間同じ姿勢でいた後に症状が出やすいのが特徴です。
4. 筋膜や筋肉のこわばり
中高年になると、股関節まわりの筋肉(特に腸腰筋や臀筋など)の柔軟性が低下しやすくなります。長時間の同じ姿勢や、運動不足、筋疲労などにより、起床時にこわばりを感じやすくなることがあります。
5. 股関節の滑膜炎
滑膜とは、関節の内側を覆う膜で、ここに炎症が起きると関節液が過剰に分泌され、こわばりや痛みの原因になります。特にウイルス感染後や過度な負荷の後に起こることがあります。
放っておいても大丈夫?受診の目安
一時的なこわばりで、数分で消失し、日常生活に支障がなければ様子を見てもよい場合があります。しかし、以下のような症状がある場合は、整形外科への受診をおすすめします。
- こわばりが毎日続く
- 30分以上続くことが多い
- 動き出し後も痛みがある
- 階段の上り下りがつらい
- 股関節に熱感や腫れがある
早期に病気を見つけて適切に治療すれば、進行を防ぐことが可能です。
どんな検査や治療が必要?
整形外科では、まず問診と身体診察を行い、股関節の動きや痛みの程度を評価します。そのうえで必要に応じて、レントゲンやMRI、血液検査などを行い、病気の有無や進行度を確認します。
治療法は原因によって異なりますが、主に以下のような選択肢があります。
- 薬物療法(消炎鎮痛薬や抗リウマチ薬など)
- リハビリテーション(ストレッチ、筋力強化)
- 注射(ヒアルロン酸、PRPなど)
- 再生医療(幹細胞治療など、変形性股関節症の初期〜中期に検討されることも)
- 手術療法(関節鏡や人工関節置換術など)
股関節の健康を保つためにできること
日々の生活習慣を見直すことで、股関節のこわばりや痛みを予防・軽減できる可能性があります。以下のポイントを意識してみましょう。
- 朝起きたら軽いストレッチを行う
- 座りすぎを避けて適度に体を動かす
- 股関節まわりの筋肉を鍛える(スクワットやヒップリフトなど)
- 適正体重を維持する
- クッション性のある靴を履く
まとめ|朝のこわばりを軽視しないで
朝の股関節のこわばりは、身体からの小さな警告かもしれません。放置せず、気になる症状が続く場合は早めに整形外科を受診し、適切な診断と治療を受けましょう。特に、変形性股関節症や関節リウマチなどは早期対応が重要です。将来の歩行や生活の質を守るためにも、早めのケアが何よりの予防になります。


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