
コラム COLUMN
肩 肩関節の痛みは加齢だけじゃない?意外な原因と対処法

「最近、肩が痛くて腕が上がらない」「寝返りを打つたびに肩がズキズキする」。こうした肩の不調を「年齢のせい」と思い込んでいませんか?確かに加齢は一因ですが、実は肩関節の痛みには意外な原因が隠れていることがあります。この記事では、肩の痛みの代表的な原因とその対処法を、整形外科専門医の視点からわかりやすく解説します。
肩関節は複雑な構造をもつ関節
肩関節は「肩甲上腕関節」「肩鎖関節」「胸鎖関節」「肩峰下滑液包」など、複数の構造が連動して動いています。また、腕を動かすたびに回旋筋腱板(ローテーターカフ)と呼ばれる筋肉群や腱が大きな役割を果たしています。
このため、肩関節は非常に可動域が広い一方で、構造が複雑で負担がかかりやすく、年齢や使いすぎによるトラブルが起こりやすい部位なのです。
加齢による「五十肩」だけじゃない?考えられる原因
肩の痛みというと、「五十肩(肩関節周囲炎)」が真っ先に思い浮かぶかもしれません。五十肩は、関節を包む袋(関節包)が硬くなることで動きが悪くなり、痛みが出る状態です。
しかし、実はそれ以外にも多くの原因が肩の痛みを引き起こします。以下に代表的な例を挙げます。
① 腱板断裂(けんばんだんれつ)
ローテーターカフと呼ばれる腱板が部分的、または完全に断裂してしまう状態です。40代以降に増えますが、若年層でもスポーツや事故によって起こることがあります。夜間の痛みや、特定の方向への腕の挙上が困難になるのが特徴です。
② 石灰沈着性腱板炎
肩の腱にカルシウムが沈着して強い炎症を起こす病気です。突然激しい痛みが現れ、夜も眠れないほどになることもあります。X線検査で石灰が確認されることが多いです。
③ インピンジメント症候群
肩を上げる動作のたびに、肩峰と腱板がぶつかって炎症を起こす状態です。繰り返しの肩の使用や姿勢の悪さが原因になることがあります。
④ 頚椎からの放散痛
肩の痛みと思っていたら、実は首の神経圧迫が原因だったというケースも少なくありません。頚椎椎間板ヘルニアや変形性頚椎症が原因のことがあります。
肩の痛みを放置するとどうなる?
「痛みは自然に治るだろう」と放置してしまうと、肩の可動域が狭まり、日常生活に大きな支障が出ることがあります。腱板断裂が進行して修復不能になるケースや、五十肩が慢性化してしまうこともあります。早期の診断と適切な治療がとても重要です。
病院へ行くべきサインとは?
以下のような症状がある場合は、整形外科の受診をおすすめします。
- 夜間に痛みが強くて眠れない
- 腕が肩より上に上がらない
- 肩を動かすと「ゴリゴリ」という音がする
- 数週間たっても痛みが改善しない
放っておくと治りにくくなることがあるので、早めに診察を受けましょう。
自分でできる対処法と予防法
軽度の肩の痛みであれば、日常生活でできる対処法もあります。ただし、自己判断で無理をしすぎるのは逆効果になることもあるため注意が必要です。
温める・冷やす
炎症が強い場合はアイシング、それ以外は温めて血流をよくすることで痛みが和らぐことがあります。
ストレッチと姿勢改善
猫背や巻き肩は肩の負担を増やします。軽いストレッチや肩甲骨を意識した姿勢の改善も予防に効果的です。
サポーターやテーピング
日中の負担を減らすために肩のサポーターやテーピングを活用するのもおすすめです。
再生医療という新しい選択肢
近年、肩の慢性的な痛みに対して「再生医療」が注目されています。特に腱板損傷や変性が進んだ場合、PRP(多血小板血漿)や脂肪由来幹細胞を用いた治療により、炎症の抑制や組織の修復促進が期待されています。
当院でも、手術を避けたい方や長引く肩の痛みに悩まれている方に対して、再生医療を用いた治療法を提案しています。従来の治療で改善しない場合でも、選択肢は広がっています。
まとめ
肩の痛みは年齢だけが原因ではありません。腱板の損傷や石灰の沈着など、さまざまな要因が関係しています。痛みを我慢せず、まずは専門医に相談することが早期回復の近道です。日常のケアや姿勢の見直しとあわせて、最新の治療法についても知っておくと安心ですね。


各種ご相談やご予約はこちら
- ひざの痛みに関する相談
- セカンドオピニオンの相談
- 再生医療に関する相談
- MRI検査のご予約