
コラム COLUMN
再生医療股関節 手術せずに股関節の痛みを改善する方法はある?

股関節の痛みは、日常生活に大きな支障をきたす厄介な症状です。階段の上り下りや長時間の歩行、立ち上がり動作などが困難になることで、活動量が減り、筋力も衰えてしまいます。特に「変形性股関節症」と診断されると、「いずれ人工関節の手術が必要かもしれない」と言われることも多く、不安を感じている方は少なくありません。
しかし、実は「手術をせずに股関節の痛みを改善する方法」も存在します。本記事では、整形外科専門医の視点から、手術以外で症状を改善するための選択肢について、わかりやすくご紹介します。
股関節の痛みの主な原因とは?
股関節の痛みの原因として最も多いのが「変形性股関節症」です。これは加齢や使いすぎ、遺伝的な要因などにより、関節の軟骨がすり減ったり、骨に変形が生じたりする病気です。特に女性に多くみられ、先天的に股関節の形に異常がある「臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)」がある場合、比較的若いうちから症状が現れることもあります。
そのほかにも、関節リウマチや大腿骨頭壊死(だいたいこっとうえし)など、股関節に炎症や血流障害が起こる病気でも痛みが出ることがあります。
手術を回避するための治療法とは?
痛みが強く、日常生活がままならない場合、整形外科では人工関節の手術をすすめられることがあります。しかし、「年齢的にまだ早い」「できれば手術を避けたい」と考える方も多いでしょう。そうした方のために、手術以外の選択肢として以下のような治療法があります。
1. 保存療法(リハビリ・運動療法)
初期~中等度の股関節の痛みに対しては、リハビリテーションが非常に有効です。股関節まわりの筋肉(とくに中臀筋や大腿四頭筋)を鍛えることで、関節にかかる負担を減らすことができます。水中ウォーキングやストレッチも効果的です。ただし、痛みを我慢して動くのではなく、専門家の指導のもとで無理のない範囲で行うことが大切です。
2. 投薬治療・注射
消炎鎮痛剤やヒアルロン酸の関節内注射なども症状緩和に用いられます。ただし、効果は一時的であり、根本的な解決にはなりにくいのが現状です。副作用や効果の持続性に課題があるため、漫然と続けるのではなく、他の治療と併用するのが望ましいです。
3. 再生医療(PRP療法・幹細胞治療)
近年注目されているのが、関節の再生を促す「再生医療」です。患者自身の血液や脂肪から抽出した成分を利用し、傷んだ関節の修復を促す治療法で、体への負担が少ないのが特徴です。
PRP療法(多血小板血漿注射)
PRP療法では、自分の血液から血小板を濃縮した成分(PRP)を関節に注射します。血小板には組織修復を促す成長因子が豊富に含まれており、炎症を抑え、痛みの緩和と機能改善が期待できます。アスリートの治療にも使われており、比較的軽度の変形性股関節症に有効です。
幹細胞治療(脂肪由来幹細胞)
さらに進んだ治療として、自分の脂肪から取り出した「幹細胞」を関節に注入する治療もあります。幹細胞は軟骨のような細胞に分化する能力があり、損傷した組織の再生を促します。手術を受けずに自分の関節機能を回復させたい方にとって、有望な選択肢です。
股関節の痛みで「歩けない」とあきらめないで
「もう歩けないかもしれない」「このまま寝たきりになってしまうのでは」と不安を感じている方でも、手術以外の選択肢があることを知っていただければ、少しでも希望が持てるはずです。再生医療を含めた治療法は日々進化しています。
当院では、整形外科専門医によるカウンセリングを行い、それぞれの症状に合わせた最適な治療プランをご提案しています。まずは一歩、相談から始めてみませんか?


各種ご相談やご予約はこちら
- ひざの痛みに関する相談
- セカンドオピニオンの相談
- 再生医療に関する相談
- MRI検査のご予約