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その他 関節がポキポキ鳴るのはなぜ?異音の原因と対処法

膝や肩、首などを動かすと「ポキポキ」「ゴリゴリ」と音が鳴ることはありませんか?一見すると無害のようにも思えますが、「関節の異音が気になる」「病気のサインかも」と不安になる方も多いようです。この記事では、関節が鳴る原因や種類、その見分け方と対処法について、整形外科専門医の立場からわかりやすく解説します。
関節が鳴る音の正体とは?
関節が鳴る音の多くは、「関節内に生じる気泡の破裂音」や「腱や靭帯が骨に引っかかってはずれる音」とされています。日常生活で感じる軽い「ポキッ」という音は、たいてい病的なものではありません。
しかし、同じ部位で繰り返し異音がする場合や、音に痛みや腫れが伴う場合には、何らかの異常がある可能性も考えられます。
よくある関節の音のタイプと原因
1. ポキポキ音(気泡の破裂)
関節の中には滑液(関節液)と呼ばれる潤滑液があり、この中に気泡ができることがあります。急に関節を動かすと、圧力の変化でこの気泡が弾け、「ポキッ」と音が鳴る現象です。特に指の関節などで多く見られます。
特徴
- 痛みなし
- 一度鳴るとしばらく鳴らない
- 繰り返しても基本的に害はない
2. ゴリゴリ・ギシギシ音(関節面のすり減り)
加齢や関節疾患(変形性関節症など)によって軟骨がすり減ると、関節の動きが滑らかでなくなり、ギシギシとした摩擦音が聞こえることがあります。
特徴
- 膝や肩などによくみられる
- 動作時に毎回鳴る
- 痛みや腫れを伴うことがある
3. パキッ・コリッという音(腱の引っかかり)
肩や膝の関節周囲では、筋肉の腱や靭帯が骨の出っ張りに引っかかって一時的にズレ、その後元に戻る際に「パキッ」と音を立てることがあります。
特徴
- 特定の動きで鳴る
- 引っかかり感がある
- 繰り返し鳴るが、痛みはないことも
病気が隠れているケースもある?
関節音そのものは必ずしも病気ではありませんが、以下のような症状を伴う場合は、整形外科での診察をおすすめします。
- 音と同時に痛みがある
- 動かすと引っかかる感じがする
- 腫れや熱感がある
- 音が頻繁で日常生活に支障がある
例えば、変形性関節症では、関節の変形や軟骨の摩耗によりゴリゴリ音が生じます。また、関節リウマチの初期にも関節音と違和感が現れることがあります。
異音が気になるときの対処法
関節音があるからといって、無理に鳴らさないようにする必要はありませんが、日常的にできる対策を以下にご紹介します。
ストレッチと軽い運動
関節まわりの筋肉をほぐすことで、腱の引っかかりや可動域の制限を改善できます。無理のない範囲で、毎日肩回しやスクワット、首のストレッチなどを行いましょう。
関節を冷やさない・温める
冷えると筋肉や腱が硬くなり、異音の原因になることがあります。特に入浴や温湿布などで温めるのは効果的です。
姿勢を正す
デスクワークやスマホの見過ぎで猫背になると、肩や首に負担がかかり異音が起こりやすくなります。正しい姿勢を意識し、30〜60分ごとに姿勢をリセットしましょう。
過剰な負荷をかけない
ジムでのトレーニングなどで重い負荷をかけすぎると、腱や靭帯に炎症を起こしやすくなります。異音が気になる場合は、トレーニング内容を見直してみましょう。
先進的な治療法 ― 再生医療の選択肢
もし関節の痛みを伴う異音が長引いている場合には、再生医療による治療が選択肢の一つになります。
たとえば、PRP療法(多血小板血漿療法)では、患者自身の血液から修復因子を抽出し、関節に注射して自然治癒力を高めます。幹細胞治療では、軟骨や腱の再生を促すため、すり減った組織の修復にも期待が持てます。
再生医療はメスを使わず、身体への負担が少ないのが特長です。「手術は避けたいけど、なんとか改善したい」という方に向いています。
まとめ
関節がポキポキ鳴るのは、必ずしも病気ではありませんが、異音の種類や頻度、伴う症状によっては、体からのSOSかもしれません。ストレッチや姿勢の改善といった日常ケアに加え、必要に応じて医療機関での検査や再生医療など、適切な対処を行いましょう。
自分の関節の音をただの「クセ」で片づけず、違和感があるときは専門医にご相談ください。


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