「関節が痛い」「動かすと腫れてつらい」そんな症状に悩まされていませんか？中高年に多い「関節の炎症」は、単なる老化現象だけでなく、病気が隠れていることもあります。この記事では、関節炎の基本的な仕組みから、代表的な種類、そして治療法までをわかりやすくご紹介します。

関節炎とは？

関節炎とは、関節の中にある組織（主に滑膜や軟骨）に炎症が起こり、痛みや腫れ、こわばり、熱感、動かしにくさなどの症状が出る状態を指します。関節には本来、滑液という潤滑液があり、スムーズに動かすことができます。しかし、炎症が起こるとその滑液の量が増えて腫れたり、周囲の組織が損傷したりして痛みが生じます。

関節炎は一つの病名ではなく、さまざまな病気の一症状として現れることが多く、原因や治療法も多岐にわたります。

代表的な関節炎の種類

1. 変形性関節症（へんけいせいかんせつしょう）

もっとも多い関節炎の一つで、中高年に多くみられます。加齢や使いすぎによって関節の軟骨がすり減り、炎症が起きます。膝や股関節、手指、脊椎などに多く発症し、特に「膝の痛み」として来院される患者さんが多いです。

特徴的なのは「朝のこわばりは短く、動くと改善する」こと。歩き出しに痛みが出たり、階段の昇降がつらくなったりします。

2. 関節リウマチ

自己免疫の異常によって関節の滑膜に炎症が起こる病気で、手指や手首、足の関節に左右対称に発症することが多いです。女性に多く、30代〜50代で発症することが多いのも特徴です。

朝のこわばりが30分以上続いたり、関節が赤く腫れたりする場合はリウマチを疑います。放っておくと関節が破壊される可能性があるため、早期診断・治療が重要です。

3. 痛風（つうふう）

尿酸が体内にたまることで関節内に結晶が沈着し、それを異物とみなして炎症が起こる病気です。突然の激しい関節痛が特徴で、特に足の親指の付け根に発症しやすいです。

暴飲暴食やアルコール、プリン体の多い食事が原因となることが多く、生活習慣病とも関連があります。

4. 偽痛風（ぎつうふう）

痛風と似た症状を起こしますが、原因となる結晶が異なります。ピロリン酸カルシウムという成分が関節内に沈着し、炎症を引き起こします。膝に起こりやすく、70代以降の高齢者に多くみられます。

5. 感染性関節炎

細菌やウイルスが関節に感染して炎症を引き起こす、緊急性の高い関節炎です。高熱や激しい痛み、関節の赤みや腫れが特徴で、治療が遅れると関節が破壊される可能性があるため、早急に病院を受診する必要があります。

関節炎の診断方法

診察では、関節の腫れや熱感、可動域の確認に加え、レントゲンやMRI、血液検査を行います。関節液を採取して分析することもあります。

リウマチ因子や尿酸値、CRP（炎症マーカー）などの血液検査は、原因を特定するうえで重要です。

関節炎の治療法

関節炎の種類や重症度に応じて、治療法が異なります。

保存療法（薬物・物理療法）

・消炎鎮痛薬（NSAIDs）：痛みと炎症を抑える基本的な薬です。
・ヒアルロン酸注射：関節内に注射して滑液の潤滑性を高めます（変形性関節症など）。
・抗リウマチ薬（DMARDs）：関節リウマチに用いられ、進行を抑える効果があります。
・コルヒチン・尿酸降下薬：痛風の管理に使います。

リハビリ・運動療法

適度な運動や筋力トレーニングで関節を支える筋肉を強化することで、関節への負担を減らし、痛みを緩和できます。理学療法士の指導のもと、無理のない範囲で継続することが大切です。

再生医療（PRP・幹細胞治療）

近年注目されているのが、PRP療法（多血小板血漿）や幹細胞治療といった再生医療です。関節に自己の血液や脂肪から抽出した治癒成分を注入することで、炎症を抑え、組織の修復を促進します。

手術を避けたい方や、薬での効果が不十分な方にとって有力な選択肢となりつつあります。

手術療法

重度の関節変形や機能障害がある場合は、関節鏡手術や人工関節置換術が検討されます。ただし、早期であれば再生医療で進行を食い止められることも多いため、症状が出たら早めの受診が重要です。

まとめ

関節炎は年齢や体質により誰にでも起こり得るものですが、早期に対策すれば進行を遅らせたり、痛みを軽減することができます。変形性関節症やリウマチ、痛風など、自分の症状に合った対処法を知ることが大切です。

また、再生医療という選択肢も広がっており、関節の悩みを手術以外の方法で改善できる可能性も増えています。関節に不調を感じたら、まずは専門医に相談してみましょう。

参考文献
https://sincellclinic.com/column/Rheumatoi-Arthritis