
コラム COLUMN
肩 洗髪や着替えで肩が痛いときに考えられる疾患とは?整形外科専門医がやさしく解説

この記事の内容
「服が着にくい」「髪が洗えない」…それ、肩の病気かもしれません
「手を後ろに回してブラのホックが留めづらい」「頭の後ろに手を持っていくと肩がズキンと痛む」「洗髪中に手が止まってしまう」…こうした訴えは、当院にも非常によく寄せられます。
実際、こうした動作で肩の痛みを感じる方の多くが、何らかの肩の機能障害を抱えています。とくに50代以上の方に多く、日常生活に支障が出るほど痛みが強いケースも珍しくありません。
この記事では、洗髪や着替えで肩が痛む原因と考えられる疾患、そしてその対策や治療法について、整形外科専門医の立場からわかりやすく解説します。
どんなときに肩が痛む?日常生活の困りごと
肩の痛みは、ある日突然やってくることもあれば、徐々に悪化していくケースもあります。特に以下のような動作で痛みが強くなる方は要注意です。
- 髪を洗う、ドライヤーをかけるとき
- 服の脱ぎ着で腕を通すとき
- 洗濯物を干すときに腕を上げると痛む
- 背中に手が回らない
- 夜間に肩がズキズキして眠れない
このような痛みは、単なる「使いすぎ」や「年齢のせい」では片づけられない場合があります。
考えられる主な疾患とその特徴
四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)
もっとも多いのが「四十肩・五十肩」と呼ばれる肩関節周囲炎です。関節まわりの組織が炎症を起こし、肩の動きが制限されてしまう状態です。
- 特徴:動かすと痛い/夜間もズキズキする/徐々に動かなくなる
- 原因:加齢による組織の変性、血流低下、ストレスなど
腱板損傷(けんばんそんしょう)
肩を支える「腱板」という筋肉・腱の集まりが部分的または完全に断裂することで、痛みや力の入りづらさが生じます。
- 特徴:腕が上がらない/力が入りにくい/肩から腕にかけて重だるい
- 原因:加齢による変性、繰り返しの使用、転倒など
石灰沈着性腱炎
腱板に「石灰(カルシウム)」がたまり、急激な炎症と強い痛みを引き起こす疾患です。
- 特徴:急な激痛/関節がまったく動かせないほど痛い
- 原因:原因不明だが、中年女性に多い傾向があります
肩の痛みに対する治療法・対策
肩の痛みは、放置すると「動かなくなる」「筋力が低下する」「日常生活が制限される」といった悪循環に陥ります。以下のような治療や対策が効果的です。
保存療法(手術以外の治療)
- 薬物療法:痛みや炎症を抑える飲み薬・貼り薬
- 注射療法:関節内へのステロイド注射などで炎症を抑える
- リハビリ:痛みを和らげつつ、関節の可動域を保つ体操やストレッチ
- 温熱療法:肩周囲の血流を改善して、痛みを和らげる
日常生活の工夫
- 服の着脱は前開きのシャツを選ぶ
- 洗髪時は肘を支えるような工夫をする
- 長時間同じ姿勢を避け、肩をこまめに動かす
当院での対応
当院では、患者様の症状に応じて個別に治療方針を立てています。保存療法でも効果が出ない場合には、関節鏡による低侵襲手術や、必要に応じて**再生医療(幹細胞治療など)**も選択肢に入れています。治療の前に丁寧な問診と画像検査を行い、根本的な原因を特定することを大切にしています。
よくある質問・誤解への答え
Q. 痛いときは動かさないほうがいいですか?
A. 痛みが強い時期は安静が必要ですが、まったく動かさないのも逆効果です。適度に動かすことで関節の拘縮を防ぐことができます。医師の指導のもと、無理のない範囲で動かすのが理想です。
Q. 年齢のせいだから治らないですよね?
A. 年齢とともに発症しやすくはなりますが、「治らない」ということはありません。適切な診断と治療で、多くの方が改善を実感されています。
まとめ:肩の痛みは「がまんせず」に相談を
洗髪や着替えで感じる肩の痛みは、放っておいても自然に良くなるとは限りません。むしろ、放置することで関節が固まり、回復までに時間がかかることもあります。
「年齢のせいだから仕方ない」「我慢すればそのうち良くなる」と思わず、まずは専門医にご相談ください。正しい診断とケアで、痛みのない日常を取り戻すことは十分に可能です。
札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。
院長 川上公誠
(プロフィール)
監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長
岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。


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