「膝を曲げ伸ばしするとポキッと音がする」「階段を上がるたびにカクッと鳴る」など、膝の音に不安を感じる方は多くいらっしゃいます。ここでは、膝の曲げ伸ばしで音が鳴るときによくある質問に、整形外科専門医の立場からわかりやすくお答えします。

Q1. 膝の曲げ伸ばしでポキポキ音がするのはなぜですか？

膝の関節内で関節液中の気泡がはじける音や、腱・靭帯が骨の出っ張りに引っかかることで音が鳴ることがあります。痛みがなければ多くの場合は心配いりませんが、頻繁に鳴る場合は関節のバランスが崩れている可能性もあります。

Q2. 音がしても痛みがなければ放っておいていいですか？

痛みや腫れがなければ心配はいりません。ただし、筋力低下や姿勢のくせで関節に負担がかかっている場合もあるため、軽いストレッチや太ももの筋肉を鍛える運動を取り入れると予防になります。

Q3. 膝を動かすと「ギシギシ」や「ミシミシ」と鳴るのはなぜ？

加齢や使いすぎで軟骨がすり減ると、関節の動きが滑らかでなくなり音が出ることがあります。変形性膝関節症の初期症状であることもあるため、痛みやこわばりを伴う場合は早めの診察をおすすめします。

Q4. 膝を曲げ伸ばしすると痛みと音が同時にあります。原因は何ですか？

半月板の損傷や膝蓋骨（しつがいこつ）の動きのずれ、関節炎などが考えられます。炎症や軟骨の摩耗がある場合は、音とともに痛みが出るのが特徴です。早めに整形外科で原因を調べることが大切です。

Q5. 運動すると膝がよく鳴ります。やめた方がいいですか？

音がするだけで痛みがなければ運動を続けても構いません。運動不足による筋力低下はむしろ膝に負担をかけます。ただし、痛みや腫れを感じた場合は一度休み、ストレッチ中心に切り替えましょう。

Q6. 膝の音は加齢によるものですか？

加齢によって筋肉や軟骨の弾力が低下することで、膝が鳴りやすくなることがあります。ただし、若い方でも筋肉のアンバランスや姿勢の崩れがあると音が鳴るため、年齢だけが原因ではありません。

Q7. 再生医療は膝の音や痛みに効果がありますか？

軟骨のすり減りや炎症が原因で音が出ている場合、PRP療法や幹細胞治療といった再生医療で炎症を抑え、軟骨の修復を促すことが期待できます。進行を抑える治療法として検討する価値があります。

膝の曲げ伸ばしで音がするのは多くの方が経験する症状ですが、痛みや腫れを伴う場合は早めの診察が大切です。適切な運動と治療で、関節の健康を長く保ちましょう。

再生医療という新しい選択肢

近年では、従来の治療に加えて再生医療という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療やPRP（多血小板血漿）治療といった方法は、体の自然治癒力を引き出して関節の修復を促す治療法として注目されています。

例えば、脂肪から採取した幹細胞を関節に注入する治療では、変性した軟骨の修復や再生が期待できます。これにより、「もう正座はできないかも…」とあきらめていた方が、再び正座ができるようになったケースもあります。

ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無をしっかり診断してもらうことが重要です。