
コラム COLUMN
膝 膝がガクッとする?再発を防ぐための運動療法

「歩いていると急に膝がガクッと力が抜ける」「階段を下りるときに不安で手すりが欠かせない」――そんな経験をされた方は少なくありません。特に50代以降の方から多く聞かれる症状で、膝の安定性が低下しているサインかもしれません。本記事では、膝がガクッとする原因と、それを防ぐための運動療法について、整形外科専門医の立場からわかりやすく解説します。
この記事の内容
膝がガクッとする場面とは?
多くの方が「膝が抜けるような感覚」を訴えるのは以下のような場面です。
・階段を下りるとき
・椅子から立ち上がるとき
・長時間歩いた後にふとした拍子で
・坂道や段差を降りるとき
このような症状があると、外出が怖くなり、活動量が減ってしまう方も少なくありません。
なぜ膝がガクッとするのか?医学的な原因
膝の不安定感にはいくつかの原因が考えられます。
- 筋力の低下:特に太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)が弱ると膝が支えられなくなります。
- 靭帯や半月板の損傷:昔のケガが原因で膝の安定性が低下していることもあります。
- 変形性膝関節症:軟骨のすり減りによって関節が不安定になり、ガクッとした感覚につながります。
- 神経や感覚の異常:高齢の方では神経伝達や感覚が鈍ることで、足元が不安定になることもあります。
いずれにしても「年齢だから仕方ない」と思い込む必要はありません。改善のための手段はあります。
再発を防ぐための運動療法
膝のガクッと感を予防するには、筋肉と関節の動きを取り戻すことが大切です。以下の運動療法は、自宅でも取り組みやすくおすすめです。
1. 太もも前の筋肉を鍛える(大腿四頭筋トレーニング)
椅子に座り、片足を伸ばして10秒間キープする運動です。左右交互に10回ずつ行いましょう。膝の支えとなる筋肉を効率よく強化できます。
2. お尻と太もも裏の筋肉を鍛える(ブリッジ運動)
仰向けに寝て膝を立て、お尻をゆっくり持ち上げて5秒キープ。太もも裏やお尻の筋肉も膝の安定性に欠かせません。
3. ストレッチで柔軟性を維持
太ももやふくらはぎの筋肉をゆっくり伸ばす習慣をつけましょう。筋肉が硬いと膝への負担が増え、不安定感につながります。
4. バランス訓練
転倒予防にも効果的です。壁や椅子に手を添えて片足立ちを10秒間。無理のない範囲で継続してください。
医療機関での治療・サポート
運動療法で改善しない場合や痛みが強い場合は、整形外科での診察が必要です。
・関節注射(ヒアルロン酸など)で炎症を抑える
・装具やサポーターで膝を安定させる
・必要に応じてリハビリを継続
再生医療という新しい選択肢
近年では、従来の治療に加えて再生医療という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療やPRP(多血小板血漿)治療といった方法は、体の自然治癒力を引き出して関節の修復を促す治療法として注目されています。
例えば、脂肪から採取した幹細胞を関節に注入する治療では、変性した軟骨の修復や再生が期待できます。これにより、「もう正座はできないかも…」とあきらめていた方が、再び正座ができるようになったケースもあります。
ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無をしっかり診断してもらうことが重要です。
よくある質問Q&A
Q. 膝が痛いときは運動してはいけないのですか?
A. 強い痛みがあるときは休養が必要ですが、安静にしすぎると筋力低下を招きます。医師の指導のもと、無理のない範囲で運動することが大切です。
Q. 膝サポーターは毎日使っていいですか?
A. 長時間にわたって常用すると筋力が落ちることもあります。外出時や不安な場面での使用がおすすめです。
Q. 運動を始めてから膝が余計に痛くなった気がします。
A. 最初は筋肉痛や違和感が出ることがあります。痛みが強い場合は一度中止し、専門医に相談してください。
Q. 再生医療は誰でも受けられますか?
A. 全員が対象ではなく、年齢や膝の状態によって適応が決まります。詳細は医師による診察が必要です。
まとめ
膝がガクッとする症状は、多くの方が悩む身近な問題です。しかし、適切な運動療法や生活改善で再発を防ぎ、安心して歩ける日常を取り戻すことは可能です。「もう年だから」と諦めず、少しずつ体を動かしてみてください。気になる方は早めに専門医に相談し、自分に合った方法を見つけましょう。
札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。
院長 川上公誠
(プロフィール)
監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長
岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。


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