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膝 膝の痛みに対する注射治療とは?種類と効果を解説

膝の痛みで「歩くのがつらい」「正座ができない」と感じたことはありませんか。特に50代以降になると、関節の軟骨がすり減ることで痛みを感じる方が増えてきます。湿布や痛み止めでごまかしていたけれど効果が薄れてきた…そんなときに検討されるのが「注射による治療」です。今回は膝の痛みに対する注射治療の種類と、その効果についてわかりやすく解説します。
この記事の内容
膝の痛みはどんなときに起こるのか
膝の痛みは、階段の上り下りや立ち上がり動作、長時間歩いたときなど、日常生活のちょっとした場面で強く現れます。特に変形性膝関節症と呼ばれる状態では、膝の軟骨がすり減り、関節に炎症が起こるため、ズキズキした痛みや腫れを伴うことがあります。「年齢のせいだから仕方ない」と諦めてしまう方も少なくありません。
膝の痛みの原因を簡単に解説
膝の関節は、骨と骨の間に軟骨や半月板があり、クッションの役割を果たしています。加齢や過度の負担によって軟骨が傷み、関節液(潤滑液)が減少すると、骨同士が擦れやすくなり炎症や痛みが出てきます。このような状態に対して、関節内に薬剤を直接注入することで、痛みや炎症を和らげるのが「注射治療」です。
膝の注射治療の種類と効果
膝に対する注射にはいくつかの種類があります。それぞれ特徴や効果が異なるため、患者さんの症状に合わせて選択されます。
1. ヒアルロン酸注射
最も一般的な注射治療です。ヒアルロン酸はもともと関節液に含まれている成分で、潤滑油のように関節を滑らかにし、炎症を抑える働きがあります。注射することで膝の動きがスムーズになり、痛みの軽減が期待できます。特に初期から中期の変形性膝関節症に有効とされています。
2. ステロイド注射
炎症が強く、膝が腫れて熱を持っている場合に使われます。即効性があり、強い痛みを短期間で抑えることが可能です。ただし繰り返し使用すると副作用のリスクがあるため、長期的な連用は避ける必要があります。
3. 神経ブロック注射
痛みを感じる神経に直接作用する注射で、強い痛みに一時的な効果を発揮します。根本的な治療というよりも、痛みの緩和を目的とする場合に行われます。
4. 再生医療関連の注射(PRPや幹細胞治療)
まだ一部の医療機関で行われている治療ですが、自分の血液や脂肪由来の細胞を利用して関節の修復を促す方法も注目されています。保険適用外ではありますが、根本的な改善を目指す新しい選択肢となっています。
注射以外の治療と組み合わせることが大切
注射だけで膝の状態が完全に良くなるわけではありません。体重管理や太ももの筋肉を鍛える運動、ストレッチ、装具の使用などと組み合わせることで、治療効果を高め、再発予防につながります。注射治療はあくまで症状を和らげる一手段と考え、生活習慣や運動療法と並行して行うことが重要です。
よくある質問Q&A
Q. 注射は痛いですか?
A. 個人差はありますが、注射自体の痛みは一瞬で済むことが多いです。施術後に腫れや違和感が出ることもありますが、数日で落ち着きます。
Q. どのくらいの頻度で打つのですか?
A. ヒアルロン酸は週1回を数回続け、その後は症状に応じて間隔を空けていくのが一般的です。ステロイドは必要に応じて数ヶ月に1回程度が目安です。
Q. 注射すれば手術は不要になりますか?
A. 注射によって痛みが和らぎ、日常生活に支障がなければ手術を回避できる場合もあります。ただし関節の変形が進んだ重症例では、手術を検討する必要があります。
Q. 運動はしても大丈夫ですか?
A. 痛みが強いときは無理をしない方が良いですが、完全に動かさないのも関節に良くありません。医師の指導のもと、ストレッチや軽い筋トレを取り入れることが勧められます。
再生医療という新しい選択肢
近年では、従来の治療に加えて再生医療という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療やPRP(多血小板血漿)治療といった方法は、体の自然治癒力を引き出して関節の修復を促す治療法として注目されています。
例えば、脂肪から採取した幹細胞を関節に注入する治療では、変性した軟骨の修復や再生が期待できます。これにより、「もう正座はできないかも…」とあきらめていた方が、再び正座ができるようになったケースもあります。
ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無をしっかり診断してもらうことが重要です。
まとめ
膝の痛みに対する注射治療は、痛みの軽減や炎症の改善に役立つ有効な方法です。ヒアルロン酸やステロイド、ブロック注射、さらには再生医療まで、選択肢は広がっています。「年齢のせいだから仕方ない」と諦める必要はありません。注射を含めた治療を上手に取り入れながら、生活の質を保ち、好きなことを楽しめる膝を目指しましょう。
札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。
院長 川上公誠
(プロフィール)
監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長
岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。


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