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膝 膝がこわばる原因は?再生医療で改善できるのか|整形外科専門医が解説

「朝起きると膝がこわばって動かしづらい」「しばらく座っていると立ち上がるときに膝が固まったようになる」――そんなお悩みを抱えていませんか?
50代以降になると、関節に関する不調を訴える方が増えてきます。特に「膝がこわばる」という症状は、痛みが強いわけではなくても、日常生活の中でじわじわと不便を感じるため、見過ごされがちです。
今回は、整形外科専門医の立場から「膝のこわばり」の原因とその対処法、そして近年注目される再生医療についてもわかりやすくお伝えします。
この記事の内容
こんなときに「膝のこわばり」を感じませんか?
患者さんからよく聞く「こわばり」のシーンは次のようなものです。
- 朝起きた直後、膝が動きにくい
- 正座やしゃがみ動作のあと、スムーズに立ち上がれない
- 車の運転後、膝が固まったような感じがする
- 階段を下りるとき、膝がスムーズに曲がらない
このような状態が続くと、外出がおっくうになったり、膝をかばうことで他の関節に負担がかかったりすることもあります。
膝がこわばる主な原因とは?
膝のこわばりにはいくつかの原因があり、年齢や体の状態によっても異なります。代表的なものを紹介します。
1. 関節内の炎症(変形性膝関節症など)
中高年に多いのが「変形性膝関節症」です。膝の軟骨がすり減ることで、関節内に炎症が起こり、関節液がたまったり、滑膜(かつまく)という膜が腫れたりします。この炎症によって、朝や長時間動かしていないときに膝がこわばるのです。
2. 関節周囲の筋肉や靭帯の硬化
加齢や運動不足、姿勢の悪さなどにより、膝まわりの筋肉や靭帯が硬くなると、関節の動きが悪くなり、こわばりを感じやすくなります。
3. 関節リウマチ
リウマチは自己免疫によって関節に慢性的な炎症が起こる病気で、特に朝のこわばりが強く出やすいのが特徴です。左右の膝に同時に症状が出る場合は要注意です。
4. 関節の水腫(膝に水がたまる)
関節内に水がたまると、関節の動きが制限され、「動かしにくさ」や「突っ張り感」として現れることがあります。痛みがそれほどなくても、違和感やこわばりの原因になります。
膝のこわばりに対する治療法と対策
こわばりの原因によって、治療法は異なりますが、多くの場合は以下のような方法で改善が期待できます。
● 保存療法(手術以外の治療)
- 消炎鎮痛薬の内服や外用薬:炎症を抑えることで、こわばりの緩和が期待できます。
- ヒアルロン酸注射:関節の滑りを良くし、痛みやこわばりの改善に用いられます。
- リハビリ・ストレッチ:筋肉の柔軟性を保ち、関節の動きをスムーズにする効果があります。
- 温熱療法:関節を温めることで血流が良くなり、こわばりが和らぐことがあります。
● 再生医療という新たな選択肢
近年では、PRP(多血小板血漿)治療や脂肪由来幹細胞治療といった再生医療が、関節の機能改善や炎症抑制を目的に注目されています。
特に、軟骨のすり減りが進んだ方や、従来の治療で効果が得られなかった方にとって、新たな希望となり得る治療法です。
当院でも、再生医療によりこわばりや痛みが軽減し、日常生活の質が改善したという例が多くあります。もちろんすべての方に適応できるわけではありませんが、気になる方はご相談ください。
よくあるご質問(Q&A)
Q. 膝がこわばっているときは、無理に動かさない方がいい?
A. 痛みが強いときは安静が基本ですが、こわばりだけであれば軽いストレッチやウォーキングなどで血流を促すことが大切です。無理のない範囲で動かしましょう。
Q. こわばりは年齢のせいで仕方ない?
A. 年齢が影響することはありますが、適切な治療や運動習慣で改善するケースは多いです。「仕方ない」と諦めず、まずは原因を知ることから始めましょう。
Q. 再生医療はどんな人に向いていますか?
A. 変形性膝関節症の進行が比較的軽度〜中程度の方で、手術を避けたいという方に適しています。ただし個別に適応判断が必要ですので、医師にご相談ください。
まとめ|膝のこわばりは、放置せず相談を
膝のこわばりは、毎日の生活にじわじわと影響を与えるもの。
「年齢のせいかな」と自己判断で済ませてしまう方も多いですが、原因を正しく知って対処することで、改善は十分に期待できます。
もし膝の違和感やこわばりが気になってきたら、早めに整形外科を受診してみてください。
あなたの「動きたい」を支えるお手伝いができれば幸いです。
札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。
院長 川上公誠
(プロフィール)
監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長
岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。


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