
コラム COLUMN
スポーツ外傷膝 ゴルフを長く続けたい人のための膝のメンテナンス方法

ゴルフは年齢を問わず楽しめるスポーツとして人気がありますが、一方で「最近、膝が痛くてスイングがつらい」「18ホールまわると翌日ひざが腫れてしまう」といった悩みを抱える方も少なくありません。とくに50代以降のゴルファーにとって、膝のコンディション維持はスコアにも、そして健康寿命にも大きく関わります。
今回は、整形外科専門医の視点から、ゴルフを長く楽しむために知っておきたい「膝のメンテナンス方法」をわかりやすく解説します。
なぜゴルフで膝を痛めやすいのか?
ゴルフは一見すると身体への負担が少ないスポーツに思われがちですが、実際には膝に大きな負荷がかかります。
スイング時には体重移動にともなうねじれの動きがあり、膝関節にねじれ+圧縮のストレスが加わります。また、長時間のラウンドによる歩行や、カートに乗らず傾斜を歩くことによって、膝周囲の筋肉や関節に疲労が蓄積します。
さらに年齢とともに軟骨の弾力性が失われていくことで、膝関節のクッション性が低下し、痛みや炎症を起こしやすくなるのです。
ゴルフを続けるために必要な「膝の3つのセルフケア」
ゴルフによる膝のトラブルを防ぐには、日々のメンテナンスが非常に重要です。以下の3つのポイントを意識してみましょう。
① 太ももの筋力を鍛える
膝への負担を減らすには、太ももの前側にある「大腿四頭筋」の筋力が不可欠です。スクワットやレッグエクステンションなど、自宅でもできる筋トレを無理のない範囲で継続しましょう。筋肉がしっかりしていると、膝関節の安定性が高まり、ねじれや衝撃にも耐えやすくなります。
② ストレッチで柔軟性をキープ
スイング動作に必要な股関節やふくらはぎの柔軟性が低下すると、その分膝に無理な力がかかります。太ももの裏(ハムストリング)やふくらはぎ、股関節まわりのストレッチを毎日の習慣にしましょう。ストレッチは、筋肉や腱への血流もよくし、回復力も高めてくれます。
③ 体重コントロール
体重が増えると、その分だけ膝への負荷も増えます。例えば、体重が1kg増えると、歩行時にはその3〜5倍の負荷が膝にかかると言われています。暴飲暴食を避け、適正体重を維持することで、膝の負担を軽減できます。
「膝の痛み」が出たら無理は禁物
プレー中やプレー後に膝の違和感や痛みが出たときは、まずは安静が第一です。痛みが続く場合は、湿布やアイシングだけで済まさず、整形外科を受診しましょう。
痛みを我慢してゴルフを続けると、炎症が広がり、軟骨や半月板にさらなるダメージを与えてしまう可能性があります。早めの対応が、長くゴルフを楽しむための秘訣です。
近年注目される「再生医療」という選択肢
変形性膝関節症の初期や中期の段階では、近年注目されている「再生医療」によって、膝の機能改善を目指すこともできます。
たとえば、「PRP治療(多血小板血漿)」や「脂肪由来幹細胞治療」は、体に負担の少ない方法で、痛みの軽減や組織の修復が期待できます。
これらの治療は、軟骨のすり減りを抑えつつ、手術を回避してアクティブな生活を続けたい方にとって、有力な選択肢のひとつとなっています。
ゴルフを長く楽しむために、膝をいたわる習慣を
「まだプレーできるから大丈夫」と思っているうちに、知らず知らずのうちに膝への負担は積み重なっていきます。
大切なのは、“痛くなってから治す”のではなく、“痛くならないように守る”こと。定期的な筋トレやストレッチ、そして医師によるチェックを受けながら、膝の状態を把握しておくことで、より長く、快適にゴルフを楽しむことができます。
膝の健康を守ることは、ゴルフ人生を守ることでもあります。どうか、今からでも遅くありません。膝のメンテナンス、始めてみませんか?


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