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膝の痛みを1分でチェック!変形性膝関節症の初期症状5選と将来の歩行を守るための対策

膝の痛みを1分でチェック!変形性膝関節症の初期症状5選と将来の歩行を守るための対策

最近、立ち上がるときに「よいしょ」と声が出てしまったり、階段の下りでふと膝に手を添えたくなったりすることはありませんか。

私のクリニックには、毎日多くの方が膝の相談にいらっしゃいます。その中で最も多いのが「痛いというほどではないけれど、なんとなくおかしい」という声です。

以前担当した70代の女性は、数年前から朝起きたときに膝がこわばる感じがあったそうです。でも、しばらく動くと楽になるからと「年のせいね」と放っておかれました。ところが半年後、大好きだった旅行で長時間歩いた際に急激な痛みを感じ、慌てて来院されたのです。

診断は「変形性膝関節症」の初期段階でした。

この病気は、早く気づいて適切なケアを始めれば、進行を遅らせ、痛みをコントロールすることが十分に可能です。まずはご自身の膝がどのような状態なのか、1分でできるセルフチェックから始めてみましょう。

1分でチェック!変形性膝関節症の初期症状5選

変形性膝関節症とは、膝のクッションである軟骨がすり減り、関節に炎症が起きたり骨が変形したりする病気です。初期の段階では、痛みは一時的で、休むと消えてしまうことが多いため見逃されがちです。

次の5つの症状に心当たりはありませんか。

1. 朝起きたときに膝がこわばる

布団から出ようとしたとき、あるいは椅子から立ち上がろうとしたとき、膝が「重だるい」「スムーズに動かない」と感じることはありませんか。これは初期の代表的なサインです。しばらく動いていると関節液が馴染んで動けるようになるため、「気のせいかな」と思ってしまいやすいのが特徴です。

2. 動き出しのときにだけ痛む

椅子から立ち上がるとき、歩き始めるときなど、動作の開始時に「ズキッ」と痛みます。しかし、数歩歩くと痛みが和らぐのが初期症状の大きな特徴です。逆に、長時間歩き続けてずっと痛い場合は、症状が少し進んでいる可能性があります。

3. 階段の下りで膝がガクガクする、あるいは痛む

上りよりも「下り」で痛みを感じる方が多いです。階段を下りる際、膝には体重の数倍の負荷がかかります。膝を支える力が弱まっていたり、軟骨が薄くなったりしていると、この大きな負荷に耐えられず、痛みや不安感(膝が抜けるような感覚)として現れます。

4. 正座がしにくくなった、膝が最後まで曲がらない

「以前は普通にできていた正座が、最近は膝の裏が詰まったような感じでしにくい」「左右で膝の曲がり具合が違う」というのも重要なサインです。関節の中に水(関節液)が溜まっていたり、炎症で腫れたりしていると、膝を深く曲げる動作に支障が出ます。

5. 膝を動かすと「ミシミシ」「パキッ」と音がする

膝を曲げ伸ばししたときに、以前はしなかったような音がすることはありませんか。これは、関節の表面が滑らかさを失い、摩擦が起きている証拠かもしれません。音と一緒に重い痛みを感じる場合は注意が必要です。

これら5つのうち、1つでも当てはまるものがあれば、膝のケアを考えるタイミングです。

なぜ膝が痛くなるの?原因を分かりやすく解説

膝の痛みについてお話しすると、多くの方が「骨がすり減っているのですか?」と質問されます。正確には、骨の表面を覆っている「軟骨(なんこつ)」が主役です。

膝関節を、車のタイヤと地面の関係に例えてみましょう。 新品のタイヤは溝がしっかりあり、クッション性も抜群です。しかし、何万キロも走り続けると、タイヤのゴムは徐々にすり減っていきます。膝の軟骨も同じで、長年体重を支えて歩き続けることで、少しずつ摩耗していくのです。

軟骨は「クッション」であり「潤滑油」

軟骨はスポンジのような弾力を持っていて、歩くときの衝撃を吸収してくれます。さらに、関節の中は関節液という潤滑油で満たされており、本来は驚くほど滑らかに動くようになっています。

しかし、加齢や筋力の低下、肥満、あるいは過去の怪我などが原因で軟骨が薄くなると、衝撃が直接骨に伝わるようになります。すると、体が「これは大変だ!」と反応して炎症を起こします。これが、膝の痛みの正体です。

膝が腫れて「水が溜まる」状態は、炎症を鎮めようとして体が一生懸命に潤滑油(関節液)を出しすぎている状態なのです。

膝の痛みを放置するとどうなる?

初期の変形性膝関節症は、いわば「黄色信号」です。ここで適切な対処をすれば、青信号に戻る、あるいは黄色信号のまま長く維持することができます。

もし放置してしまうと、軟骨の摩耗が進み、最終的には骨と骨が直接ぶつかり合うようになります。そうなると、歩くこと自体が苦痛になり、外出を控えるようになり、足腰の筋肉がさらに衰えるという悪循環に陥ってしまいます。

最終的な手段として「人工関節」にする手術もありますが、できれば自分の膝で一生歩き続けたいものですよね。そのためには、保存療法(手術をしない治療)を早めに始めることが大切です。

今日からできる!膝の痛みを和らげる保存療法と生活習慣

整形外科での治療の基本は、手術以外の方法で痛みを抑え、機能を維持する「保存療法」です。日常生活で気をつけるだけでも、膝への負担は大きく変わります。

1. 膝を支える「太ももの筋肉」を鍛える

膝の痛みがあるからといって安静にしすぎるのは逆効果です。膝を支える主役は、太ももの前側にある「大腿四頭筋(だいたいしとうきん)」という大きな筋肉です。

おすすめは、椅子に座ったままできる簡単なストレッチです。 椅子に深く座り、片方の足をゆっくりと水平に伸ばします。つま先を天井に向けた状態で5秒間キープし、ゆっくり下ろします。これを左右10回ずつ、1日3セット行うだけでも、膝を支える力がついてきます。

2. 体重管理と靴の選び方

体重が1キロ増えると、階段の下りでは膝に約3キロから4キロの負荷が増えると言われています。急激なダイエットは難しいですが、現状の体重を維持するだけでも膝への優しさになります。

また、靴選びも重要です。クッション性の高い靴底のものを選び、かかとがしっかりホールドされる靴を履きましょう。家の中でも、底の薄いスリッパではなく、クッション性のあるルームシューズを履くことで、膝への衝撃を和らげることができます。

3. 生活環境を「椅子式」に変える

和室での生活(床に座る、布団で寝る)は、立ち上がるときに膝に非常に大きな負担をかけます。

  • 食事はテーブルと椅子で行う
  • 寝るときはベッドを使う
  • トイレは洋式にする(立ち上がり用の手すりがあると理想的)

このように、生活を「洋式」にシフトするだけで、1日のうちに膝にかかる負担を劇的に減らすことができます。

4. 医療機関での適切な処置

痛みが強い場合は、無理をせずに整形外科を受診してください。 関節の中にヒアルロン酸(軟骨の成分に近い潤滑剤)を注射して滑りを良くしたり、炎症を抑える飲み薬や貼り薬を処方したりすることで、痛みの悪循環を断ち切ることができます。

最近ではリハビリテーションに力を入れているクリニックも多く、専門の理学療法士から、あなたに合った歩き方や運動の指導を受けることも非常に有効です。

よくある質問・誤解への回答

膝の悩みについて、診察室でよく受ける質問にお答えします。

膝が痛いときは、安静にして動かさないほうがいいのでしょうか?

痛みがあるときは無理をしてはいけませんが、「完全に動かさない」のは避けるべきです。 関節は動かさないとどんどん硬くなり、周囲の筋肉もあっという間に衰えてしまいます。筋肉が落ちると、膝を支える力が弱まり、さらに痛みが強くなるという悪循環に陥ります。

激痛があるときは別ですが、少し落ち着いているときは、先ほどお伝えした「足上げ運動」や、水中ウォーキングなど、膝に負担をかけない範囲で体を動かすことが、長期的な改善への近道です。

膝に溜まった水を抜くと、クセになると聞いたのですが本当ですか?

これは非常によくある誤解ですが、水を抜くことが原因で再び水が溜まるわけではありません。 水(関節液)が溜まるのは、関節の中で炎症が起きているからです。いわば、家の中で火事が起きているから、消火活動のために水が出ている状態です。

注射で水を抜くのは、溜まりすぎて圧迫感や痛みが出ているのを取り除くためであり、同時に「なぜ炎症が起きているのか」という原因を突き止めるためでもあります。炎症が治まれば、自然と水は溜まらなくなります。放置して炎症が長引くほうが膝には良くありません。

サポーターは毎日着けていても大丈夫ですか?

サポーターは膝を安定させ、保温する効果があるため、外出時や痛みが不安なときに使うのはとても良いことです。安心感から歩く距離が伸びれば、それはプラスになります。

ただし、24時間頼りきりになるのは考えものです。サポーターに頼りすぎると、自分の筋肉がサボってしまい、さらに筋力が低下してしまう恐れがあるからです。「家の中では外して、少しずつ筋肉を使う」「外出するときだけ装着する」といったように、上手に使い分けるのがコツです。

再生医療という新しい選択肢

近年では、従来の治療に加えて再生医療という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療PRP(多血小板血漿)治療といった方法は、体の自然治癒力を引き出して関節の修復を促す治療法として注目されています。

例えば、脂肪から採取した幹細胞を関節に注入する治療では、変性した軟骨の修復や再生が期待できます。これにより、「もう正座はできないかも…」とあきらめていた方が、再び正座ができるようになったケースもあります。

ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無をしっかり診断してもらうことが重要です。

まとめ:あなたの膝は、まだ変えられます

「もう年だから、膝が痛いのは当たり前」 もしそう思われているなら、今日でその考えは一度お休みにしましょう。

変形性膝関節症は、確かに加齢が大きな要因の一つではありますが、適切な知識を持ち、少しずつ生活習慣を変えていけば、痛みをコントロールし、自分の足で元気に歩き続けることは決して夢ではありません。

今回ご紹介した5つの初期症状に心当たりがあった方は、ぜひ一度、お近くの整形外科専門医に相談してみてください。早期発見は、将来のあなたへの最高のプレゼントになります。

膝の痛みが軽くなれば、行きたかった場所へ出かけたり、お孫さんと遊んだり、日々の生活がもっと明るくなります。私たちは、あなたが再び笑顔で一歩を踏み出せるよう、全力でサポートいたします。

まずは今日、テレビを見ている間の「足上げ運動」から始めてみませんか。小さな一歩が、10年後の大きな健康につながります。

もし、今の膝の状態についてさらに詳しく知りたい、あるいは自分に合った具体的な運動法を知りたいと思われましたら、いつでもお気軽にご相談くださいね。あなたに最適なケアを一緒に考えていきましょう。

札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。

院長 川上公誠

プロフィール


監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長

岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。

この記事を書いたのは

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