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膝の痛みの原因は「腰」かも?神経圧迫による症状と正しい対処法を専門医が解説

膝の痛みの原因は「腰」かも?神経圧迫による症状と正しい対処法を専門医が解説

はじめに:膝の治療をしているのに、痛みが引かないあなたへ

先生、膝のヒアルロン酸注射をもう5回も打ったんですが、全然痛みが取れないんです 膝のレントゲンはきれいだと言われたのに、どうしてこんなに痛いんでしょうか

私のクリニックには、他の病院で治療を受けていても症状が改善せず、不安な表情を浮かべて来院される患者様がたくさんいらっしゃいます。 特に50代から80代の方に多いのが、膝そのものを一生懸命治療しているのに、痛みの原因が別の場所にあるというケースです。

もし、あなたが「膝の治療をしているのに良くならない」「膝だけでなく、太ももやふくらはぎもしびれるような感じがする」といった症状でお悩みなら、それは膝の病気ではないかもしれません。 実は、腰からきている神経の痛みが、膝に悪さをしている可能性があるのです。

これを専門的には「関連痛」や「神経根症状」と呼びますが、一般の方にはあまり知られていません。 原因が違えば、当然治療法も変わってきます。 このコラムでは、関節の専門医としての視点から、意外と多い「神経の圧迫による膝の痛み」の正体と、その見分け方、そして正しい対処法について、できるだけ専門用語を使わずにお話ししていきたいと思います。 正しい原因を知ることが、長年の痛みを解決する第一歩になります。一緒に確認していきましょう。

膝そのものではない?「神経のいたずら」が起こる仕組み

膝が痛いと、どうしても膝関節の中で何かが起きていると考えがちです。 軟骨がすり減っているのかな、炎症が起きているのかな、と心配になりますよね。 もちろん、変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)は非常に多い病気ですが、それだけが原因とは限りません。

ここで、わかりやすい例え話をしましょう。 あなたの家のリビングの電球がチカチカと点滅していたとします。 あなたはまず、電球が切れかかっていると思って新しいものに交換しますよね。 でも、新しい電球に替えてもまだチカチカしていたらどうでしょう? その場合、原因は電球そのものではなく、壁の中を通っている配線や、大元のブレーカーにあるかもしれません。

人間の体もこれと同じです。 脳からの命令を伝える「神経」は、電線のようなものです。 この神経は、腰の骨(腰椎)の中を通って、枝分かれしながら太ももを通り、膝、そして足先へと伸びています。

もし、大元である「腰」の部分で神経が圧迫されたり、傷ついたりすると、その信号が乱れてしまいます。 すると、実際には膝に異常がなくても、脳が「膝が痛い!」と勘違いをしてしまうのです。 これが、神経の圧迫による膝の痛みの正体です。 まるで神経がいたずらをして、痛みの信号を間違った場所に飛ばしているような状態と言えるでしょう。

50代〜80代に多い、神経を圧迫する主な原因

では、具体的にどのような病気が神経を圧迫するのでしょうか。 中高年の方に特に多いのが、以下の2つのパターンです。

1. 腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)

これは、加齢によって背骨が変形したり、靭帯が分厚くなったりすることで、神経の通り道である「脊柱管」というトンネルが狭くなってしまう病気です。 50代以降から徐々に増え始めます。 この病気の特徴的な症状として、少し歩くと足がしびれたり痛くなったりして歩けなくなるけれど、しゃがんで少し休むとまた歩けるようになる「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」というものがあります。 この際、圧迫される神経の場所によっては、膝の周りに強い痛みやしびれを感じることがあるのです。

2. 腰椎椎間板ヘルニア

こちらは若い方にも多いですが、50代以上でも見られます。 背骨の骨と骨の間にあるクッション(椎間板)の中身が飛び出し、神経を直接圧迫してしまう病気です。 急に重いものを持ったり、くしゃみをしたりした拍子に痛みが強くなることが多く、お尻から太ももの裏、膝の外側にかけて電気が走るような痛みが出ることがあります。

あなたの痛みはどっち?「膝の病気」と「神経痛」の見分け方

痛みの原因が「膝そのもの」なのか、それとも「腰の神経」なのかを見分けることは、治療方針を決める上で非常に重要です。 もちろん最終的にはMRIなどの精密検査が必要ですが、ご自身でチェックできるポイントをいくつか挙げてみます。 当てはまる項目が多いほど、神経が原因である可能性が高くなります。

神経の圧迫が疑われるサイン

太ももの裏側や外側、ふくらはぎにも痛みやしびれがある 膝の痛む場所が日によって変わる、または漠然としている(ここ、と指でさせない) 膝を動かしていなくても、じっとしている時に痛むことがある 腰を反らしたり、前かがみになったりすると膝の痛みが変わる お尻を叩くと響くような感じがする 両足の膝や足先がしびれている

膝関節そのものの異常(変形性膝関節症など)が疑われるサイン

階段の上り下りや、正座をした瞬間に痛む 膝が腫れていて、熱を持っている 膝を曲げ伸ばしすると「ゴリゴリ」と音がする 痛い場所を指一本でピンポイントにさせる(内側の隙間など)

いかがでしょうか。 「膝も痛いし、腰も痛い」というように、両方が合併しているケースも実は少なくありません。これを専門的には「ダブルクラッシュ症候群(二重圧迫)」と呼ぶこともありますが、要は膝と腰の両方をケアしてあげる必要がある状態です。

専門医が教える、正しい診断と治療の進め方

もし「腰が原因かもしれない」と思ったら、どうすれば良いのでしょうか。 まずは、整形外科でそのことを医師に伝えてください。 「膝が痛いので膝を見てください」と言うだけでなく、「実はお尻や太ももの裏もしびれるんです」「腰痛もあります」と伝えていただけると、私たち医師は「おや、これは腰の検査も必要だな」とすぐに気づくことができます。

診断では、腰のレントゲン撮影に加えて、必要に応じてMRI検査を行い、神経がどこで圧迫されているかを詳しく調べます。 原因がはっきりすれば、いよいよ治療のスタートです。

基本は「保存療法」から

いきなり手術を勧められることは稀です。まずは以下のような保存療法を行います。

お薬による治療 一般的な痛み止めだけでなく、神経の過敏な興奮を抑えるお薬や、血流を良くするお薬(プロスタグランジン製剤など)を使います。神経の血流が良くなると、圧迫によるダメージが回復しやすくなります。

ブロック注射 痛みが強い場合は、腰の神経の近くに麻酔薬や抗炎症薬を注射する「ブロック注射」を行うことで、興奮した神経を鎮めます。これにより、嘘のように膝の痛みが引くこともあります。

リハビリテーションと運動療法 腰周りの筋肉を柔らかくし、背骨を支える力をつけることが根本的な解決には不可欠です。理学療法士の指導のもと、無理のない範囲でストレッチや筋力トレーニングを行います。

自宅でできるセルフケアと予防法

病院での治療と並行して、ご自宅でもできる工夫があります。 神経をいたわり、痛みを悪化させないためのポイントをお伝えします。

姿勢を見直す 台所仕事や洗面所での前かがみの姿勢は、腰への負担が大きくなります。少し足台を使ったり、膝を軽く曲げて作業したりする工夫をしましょう。また、座るときは深く腰掛け、骨盤を立てるイメージを持つことが大切です。

体を冷やさない 冷えは神経痛の大敵です。血流が悪くなると神経が酸欠状態になり、痛みが増してしまいます。夏場でもエアコンの風が直接当たらないようにひざ掛けを使ったり、入浴時は湯船にゆっくり浸かって腰から下を温めたりしてください。

無理のないストレッチ 痛みのない範囲で、太ももの裏側(ハムストリングス)やお尻の筋肉を伸ばすストレッチを行いましょう。これらの筋肉が硬いと骨盤の動きが悪くなり、腰の神経への負担が増してしまいます。

よくある質問(Q&A)

患者様からよくいただく質問にお答えします。

Q. 膝のサポーターはしたほうがいいですか?
A. 膝関節そのものがグラグラしている場合は有効ですが、原因が腰の神経にある場合は、膝にサポーターをしてもあまり効果が感じられないかもしれません。むしろ、腰用のコルセットを使ったほうが楽になることがあります。試してみて、楽になる方を使ってください。

Q. 温めるのと冷やすの、どっちが正解ですか?
A. 神経による痛み(慢性的な痛み)の場合は、基本的には「温める」のが正解です。温めて血流を良くすることで、神経の修復が促されます。ただし、急に激痛が出た直後で熱感がある場合は、一時的に冷やしたほうが良いこともあります。

Q. 手術は怖いので避けたいのですが…
A. 多くの方は、手術以外の方法(保存療法)で症状をコントロールできます。排尿障害(おしっこが出にくい・漏れる)や、足に力が入らず転んでしまうほどの麻痺がない限り、すぐに手術が必要になることはありません。まずは焦らず、適切な保存療法を続けることが大切です。

再生医療という新しい選択肢

近年では、従来の治療に加えて再生医療という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療PRP(多血小板血漿)治療といった方法は、体の自然治癒力を引き出して関節の修復を促す治療法として注目されています。

例えば、脂肪から採取した幹細胞を関節に注入する治療では、変性した軟骨の修復や再生が期待できます。これにより、「もう正座はできないかも…」とあきらめていた方が、再び正座ができるようになったケースもあります。

ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無をしっかり診断してもらうことが重要です。

まとめ:原因がわかれば、対策は見えてきます

「膝が痛いのは歳のせいだから仕方がない」 「手術をするしかないと言われたらどうしよう」 そんなふうに悩んで、やりたいことを諦めてしまっていませんか?

膝の痛みだと思っていたものが、実は腰の神経から来ていた。 この事実を知るだけで、気持ちが少し楽になったという患者様もいらっしゃいます。 なぜなら、原因がわかれば、正しい対策が打てるからです。

痛みは体からのサインです。 「ここがおかしいよ」と教えてくれているその声に耳を傾け、正しい通訳(診断)をしてくれる医師を見つけることが重要です。 整形外科の専門医であれば、膝だけでなく、腰や神経の状態も含めて全身を診ることができます。

もし今の治療に行き詰まりを感じているなら、ぜひ一度、「腰からきている可能性はありませんか?」と相談してみてください。 痛みのない、軽やかな足取りを取り戻すために、私たちは全力でサポートします。 あなたのこれからの人生が、痛みによって制限されることなく、笑顔で満たされることを心から願っています。

札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。

院長 川上公誠

プロフィール


監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長

岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。

この記事を書いたのは

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