「最近、正座がつらい」「階段の上り下りで膝が痛む」――50代以降になると、こうした膝の痛みに悩む方が一気に増えてきます。特に変形性膝関節症は高齢者に多い病気で、進行すると歩くのも大変になり、日常生活の質を大きく下げてしまいます。
しかし、「年齢のせいだから仕方ない」と諦める必要はありません。膝痛にはいくつかの治療法があり、近年では再生医療という新しい選択肢も注目されています。

どんなときに膝痛は起こるのか

膝の痛みは、日常生活のさまざまな場面で現れます。

• 階段を下りるときにズキッと痛む
• 長時間歩いたあとに膝が腫れる
• 正座やしゃがむ姿勢が難しい
• 起き上がるときに膝がこわばる

このような症状が徐々に強くなり、「放っておけば治るだろう」と思っているうちに悪化してしまうケースが少なくありません。

変形性膝関節症とは？

膝痛の代表的な原因が「変形性膝関節症」です。これは、膝の軟骨がすり減り、関節に炎症や変形が起こる病気です。加齢や肥満、過去のケガなどが要因となり、特に女性に多いのが特徴です。
軟骨には血管がなく、一度傷むと自然に再生する力が弱いため、治療や生活習慣の工夫が大切になります。

膝痛に対する一般的な治療法

膝の痛みには、症状の程度に応じていくつかの治療法があります。

保存療法（手術をしない治療）

• 運動療法：太ももの筋肉を鍛えることで膝への負担を減らします。スクワットやストレッチが有効です。
• 装具療法：サポーターやインソールを使い、関節への負担を軽減します。
• 薬物療法：痛み止めや消炎剤、ヒアルロン酸注射などが使われます。

手術療法

進行が進んでしまった場合には、人工関節置換術が行われます。確実に痛みを取れる一方、入院やリハビリが必要となります。

再生医療という新しい選択肢

近年では、従来の治療に加えて再生医療という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療やPRP（多血小板血漿）治療といった方法は、体の自然治癒力を引き出して関節の修復を促す治療法として注目されています。

例えば、脂肪から採取した幹細胞を関節に注入する治療では、変性した軟骨の修復や再生が期待できます。これにより、「もう正座はできないかも…」とあきらめていた方が、再び正座ができるようになったケースもあります。

ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無をしっかり診断してもらうことが重要です。

よくある質問と誤解への答え

Q1. 膝が痛いときは動かさないほうがいいですか？

A. 動かさないと筋力が落ちて、かえって症状が悪化します。痛みのない範囲での運動が大切です。

Q2. 正座ができなくなったら手術しかありませんか？

A. 保存療法や再生医療で改善するケースもあります。すぐに手術とは限りません。

Q3. ヒアルロン酸注射と再生医療はどう違いますか？

A. ヒアルロン酸は関節を潤す働き、再生医療は修復や炎症抑制を狙う点が異なります。

Q4. 再生医療は高齢でも受けられますか？

A. 年齢だけで制限はありませんが、全身の健康状態や既往歴によって判断します。

まとめ：膝痛はあきらめないで

膝の痛み、とくに変形性膝関節症は多くの方が悩む病気ですが、治療法は一つではありません。運動や装具での工夫から、注射、手術、そして再生医療まで、選択肢は広がっています。
「年齢のせいだから」と諦めずに、適切な治療を受ければ日常生活を取り戻すことは可能です。膝痛でお困りの方は、ぜひ専門医に相談してみてください。