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膝 しゃがむと膝が痛い|深く曲げる動作で痛む原因と負担を減らす工夫

しゃがむと膝が痛い|深く曲げる動作で痛む原因と負担を減らす工夫

しゃがむと膝が痛い原因には、変形性膝関節症、半月板損傷、お皿の周囲や腱のトラブルなどがあります。深く曲げながら体重を支える動作では、平地を歩くときとは異なる負担が膝にかかります。まずは痛む深さまで無理にしゃがまず、椅子や安定した支え、道具を使って生活動作を調整しましょう。ただし、急に強く痛んだ、膝が腫れた、体重をかけられない、膝が引っかかって伸びない場合は早めの受診が必要です。痛む場所だけで自己判断せず、症状が続く場合は整形外科で原因を確認することが大切です。

この記事の内容

しゃがむと膝が痛いのはなぜ?歩けても痛む理由

しゃがむ動作は、膝を大きく曲げた状態で体重を支えるため、半月板やお皿の周囲などに負担がかかります。そのため、普段の歩行では困らなくても、床の物を取るときや低い場所の掃除で痛みが出ることがあります。

半月板とは、太ももの骨とすねの骨の間にある、荷重を分散するクッション状の組織です。また、膝のお皿は太ももの骨と関節をつくり、膝を伸ばす働きを助けています。深く曲げる動作では、こうした部分の負担のかかり方が変わります。

ただし、しゃがむ動作自体が必ず膝を傷めるわけではありません。曲げる深さ、繰り返す回数、ひねりの有無、筋力、股関節や足首の動きなどが関係します。「何度まで曲げれば安全」と一律に決めることはできません。

しゃがむと膝が痛い主な原因

中高年では変形性膝関節症や半月板の変化が候補になりますが、若い方や運動量が多い方では、お皿周囲の痛みや腱の障害も考えます。年齢だけで診断せず、痛み始めたきっかけと診察所見を合わせて判断します。

変形性膝関節症

変形性膝関節症とは、関節の軟骨や半月板、骨などに変化が生じ、痛みや動かしにくさを起こす病気です。しゃがむときだけでなく、立ち上がり、歩き始め、階段でも痛みが出ることがあります。

関節に炎症が起きると水がたまり、深く曲げたときに張った感じが出る場合もあります。レントゲンで見える変形の程度と痛みの強さは、必ずしも一致しません。[1・2]

半月板損傷

半月板損傷とは、半月板に裂け目などが生じた状態です。スポーツやひねるけがのほか、加齢に伴って傷みやすくなり、日常の動作をきっかけに症状が出ることもあります。

膝の内側・外側の痛み、曲げ伸ばしでの引っかかり、腫れなどが手掛かりです。ただし、しゃがむと痛いという症状だけでは、半月板損傷とは診断できません。[3・4]

お皿の周囲や腱のトラブル

お皿の周囲や奥が痛む場合には、膝蓋大腿痛(しつがいだいたいつう)や、お皿と太ももの骨の間の関節症などを考えます。しゃがみ込みに加えて、階段や椅子からの立ち上がりでも痛むことがあります。

お皿の上や下が局所的に痛む場合には、筋肉と骨をつなぐ腱の障害も候補です。「筋力不足」「体の硬さ」だけが原因と決めつけず、活動量や痛む動作を確認します。

突然の強い痛みでは、別の病変にも注意

中高年で急に膝の内側から後ろが痛くなった場合には、半月板の後方の付け根が切れる「内側半月板後根断裂」や、軟骨の下の骨に小さな骨折が起こる「軟骨下脆弱性骨折」も考えます。

大きなけががなくても起こり、初期のレントゲンでは分かりにくい場合があります。急な強い痛みを「年齢のせい」と考えて、スクワットや長い歩行を続けないことが大切です。[5・6]

痛む場所・症状から考えられる原因

痛む場所は診断の手掛かりになりますが、同じ場所でも複数の原因が考えられます。以下の表は、受診時に症状を伝えるための目安です。

痛む場所・症状考えられる主な原因
膝の内側・外側が痛い変形性膝関節症、半月板損傷、靱帯や周囲の腱の障害など
お皿の周囲・奥が痛い膝蓋大腿痛、お皿の裏側の関節症など
お皿のすぐ上・下が痛い大腿四頭筋腱・膝蓋腱の障害など
膝の裏が張る・膨らんでいる関節液の貯留、膝の裏に液体がたまるベーカー嚢腫など
しゃがんだ後に引っかかり、伸ばせない半月板の一部などが関節の動きを妨げる状態
急に内側から後ろが強く痛み、歩行もつらい半月板後根断裂、軟骨下脆弱性骨折など

自分で確認するなら「場所・タイミング・その後」

痛みを無理に再現するより、普段の生活でいつ困るかを記録すると診察に役立ちます。深くしゃがんだり、膝をひねったりする自己検査は避けましょう。

  • 場所:内側、外側、お皿の周囲、裏側のどこが痛むか。
  • タイミング:しゃがむ途中、深く曲げたとき、立ち上がるときのどこで痛むか。
  • 始まり方:突然か、徐々にか。ひねりや「パキッ」という感覚があったか。
  • その後:腫れるか、歩くと痛むか、夜間にも痛むか。
  • 生活への影響:掃除、庭仕事、トイレ、仕事など、何ができなくなったか。

「痛くて伸ばしにくい」のか、「何かが挟まるようで伸ばせない」のかも大切な違いです。どちらも無理に動かさず、診察で確認します。

自宅でできる対策|深く曲げる負担を減らす工夫

まずは、痛みが出る深さ・回数・ひねりを減らしましょう。急な強い痛みや腫れがなければ、痛みを増やさない範囲の活動は維持します。

床の物を取る・掃除をする動作を変える

困る場面負担を減らす工夫
床の物を拾う軽い物には物をつかむ補助具を使う。重い物は手伝いを頼み、持ち上げながら膝をひねらない。
床掃除・庭仕事柄の長い道具を使い、しゃがんだ姿勢のまま作業を続けない。作業の高さを上げる。
低い椅子から立つ立ちやすい高さの安定した椅子を選び、肘掛けなどを利用する。
低い棚から物を取るよく使う物を腰に近い高さへ移す。足を床につけたまま体だけをひねらず、足ごと向きを変える。
しゃがむ必要がある動かない手すりなどにつかまり、痛みが出る手前の深さで止める。反動を使わない。

キャスター付きの椅子や不安定な家具は支えにしないでください。膝をかばって腰を深く曲げたり、片足立ちで無理に拾ったりする方法も、転倒や腰痛につながるため避けます。

運動は深いスクワットから始めない

慢性的な膝の痛みでは、太ももや股関節周囲の筋力を保つことが大切です。深くしゃがめなくても、膝に体重をかけずに行う運動から始められる場合があります。

例えば、安定した椅子に座り、片脚ずつ膝を楽に伸ばせる範囲までゆっくり伸ばして戻します。最初は少ない回数で試し、鋭い痛みや引っかかりが出たら中止してください。当日や翌日に痛み・腫れが増える場合は、回数や動かす範囲を減らし、続く場合は受診します。

ストレッチも痛みを我慢して押し込まず、心地よく動く範囲にとどめましょう。膝を無理に抱え込んで深く曲げる必要はありません。

冷やす・温める方法は症状に合わせる

使った後に軽い熱感や腫れがあるときは、保冷剤を布で包み、短時間冷やすと楽になる場合があります。腫れや熱感がなく、こわばりが中心なら、入浴などで温める方法もあります。

冷却や温熱は症状を和らげる補助であり、原因の治療ではありません。皮膚の感覚が鈍い方は低温やけど・凍傷に注意し、赤く熱を持って大きく腫れた膝は受診を優先してください。

体重が多い場合は無理のない体重管理を

肥満がある方では、体重管理が膝の負担を減らす助けになります。ただし、高齢の方の急な食事制限は筋力低下につながることがあります。体格や栄養状態を踏まえて取り組みましょう。[1・2]

整形外科を受診した方がよい症状

体重をかけられない、膝がロックして伸びない、赤く熱を持って腫れている場合は、セルフケアより受診を優先します。軽い痛みでも、改善しない・繰り返す場合は原因を確認しましょう。

当日中の受診を考える症状

  • 急な強い痛みで、立つ・歩くことが難しい。
  • 膝が引っかかって、伸ばせなくなった。
  • 膝が赤く熱を持ち、大きく腫れた。特に発熱を伴う。
  • 転倒やひねった後から、強い痛みや急な腫れがある。

感染や骨折などを確認する必要があります。発熱がなくても、強い腫れや熱感があれば受診してください。

早めに予約して相談したい症状

  • 生活動作を調整しても痛みが改善しない、または繰り返す。
  • 腫れが続く、膝が伸びにくい、歩行や階段にも支障が出た。
  • 安静時や夜間の痛みが続き、睡眠に影響する。
  • 急に内側から後ろが痛くなり、その後も違和感や痛みが残る。

受診までに痛みを確かめるためのしゃがみ込みを繰り返す必要はありません。

整形外科ではどのような検査をする?

問診と診察を基本に、必要な画像検査を選びます。すべての方にMRIが必要というわけではありません。

  • 診察:痛む場所、腫れ、曲げ伸ばし、膝の安定性、歩き方を確認します。必要に応じて股関節や足首も調べます。
  • レントゲン:骨の変形、関節のすき間、骨折などを調べます。半月板そのものは写りません。
  • MRI:半月板、軟骨、靱帯、骨の内部の変化を調べます。急な痛みや引っかかりがある場合、レントゲンだけでは説明しにくい痛みが続く場合などに検討します。
  • 超音波:関節液や膝の裏の腫れ、表面に近い腱などの確認に役立ちます。MRIと同じ範囲を調べられる検査ではありません。

赤く熱を持って腫れている場合には、血液検査や関節液の検査で感染・結晶による関節炎などを確認することもあります。

画像上の異常と痛みの原因は、必ずしも同じではない

画像に半月板の変化があっても、その所見だけで今の痛みを説明できるとは限りません。反対に、レントゲンの変化が軽くても、MRIで別の病変が見つかる場合があります。

整形外科では、「画像のどこが傷んでいるか」と「いつ、どこが、どの動作で痛むか」が一致するかを確認します。画像の異常だけを理由に、注射や手術を決めないことが重要です。[1・3・4]

治療方法|手術以外の選択肢から検討する

慢性的な痛みでは、動作の調整、運動療法、薬などの保存療法が基本になります。ただし、骨折や感染などがある場合は、それぞれに合った治療を優先します。

運動療法・生活動作の調整

膝や股関節周囲の筋力、曲げ伸ばしの範囲、動き方を評価し、無理なく続けられる運動を選びます。仕事でのしゃがみ込みや庭仕事の頻度も、治療計画に関係します。

目標は一律に「深くしゃがめる膝」にすることではありません。物を拾う、掃除をする、趣味を続けるなど、ご本人が必要としている動作を安全に行えることを重視します。

薬・サポーター・杖

痛みを和らげるために、塗り薬・貼り薬や飲み薬を使うことがあります。飲み薬は胃腸や腎臓などへの影響も考え、持病や服用中の薬に合わせて選びます。

サポーターや杖が役立つ場合もありますが、全員に必要とは限りません。サポーターで痛みが軽くなっても、無理に深くしゃがむことは避けましょう。

関節内注射

変形性膝関節症では、ヒアルロン酸注射が選択肢になる場合があります。また、炎症や痛みの状態に応じて、短期的な症状緩和を目的にステロイド注射を検討することがあります。

注射の効果には個人差があり、原因によっては適しません。感染、注射後の痛み、ステロイドによる一時的な血糖上昇などにも注意が必要です。効果とリスクを確認し、注射だけでなく運動療法や動作の調整も組み合わせます。[1]

手術を考えるのはどのようなとき?

しゃがむと痛い、あるいはMRIで半月板損傷があるという理由だけで、手術が必要になるわけではありません。保存療法への反応、損傷の状態、生活への支障を踏まえて判断します。

半月板損傷では、手術をせずに症状が落ち着く場合があります。一方、半月板が挟まって伸ばせない場合や、修復を検討すべき後根断裂などでは、早期に専門的な評価が必要です。手術を行う場合も、縫合できるか、部分切除が必要かを検討します。[3〜5]

変形性膝関節症で治療を続けても歩行・睡眠・日常生活への支障が大きい場合には、骨切り術や人工関節手術などを検討します。手術には感染などのリスクや術後のリハビリが伴い、深いしゃがみ込みが可能になるとは限りません。年齢だけでなく活動量や希望を含めて相談します。

再生医療という新しい選択肢

近年では、従来の治療に加えて再生医療という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療やPRP(多血小板血漿)治療といった方法は、体の自然治癒力を引き出して関節の修復を促す治療法として注目されています。

例えば、脂肪から採取した幹細胞を関節に注入する治療では、変性した軟骨の修復や再生が期待できます。これにより、「もう正座はできないかも…」とあきらめていた方が、再び正座ができるようになったケースもあります。

ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無をしっかり診断してもらうことが重要です。

まとめ|しゃがむと膝が痛いときは、深さと動作を見直しましょう

しゃがむと膝が痛いときは、無理に深く曲げることを控え、原因に合った対応を選ぶことが大切です。

  • 主な原因は変形性膝関節症、半月板損傷、お皿周囲や腱のトラブルなどです。
  • 椅子、手すり、柄の長い道具などを使い、深く曲げる回数やひねりを減らします。
  • 急な強い痛み、腫れ、歩行困難、膝が伸びない状態では受診を優先します。
  • 治療は症状と診察・画像所見を合わせて選び、手術以外の方法で改善を目指せる場合もあります。

症状が続く場合は整形外科で原因を確認しましょう。困っている動作を具体的に伝えると、ご自身の生活に合った治療を相談しやすくなります。

よくある質問

Q1.しゃがむと膝が痛いのですが、痛くない範囲なら歩いてもよいですか?

急な強い痛みや腫れがなく、歩行中・歩行後に症状が増えなければ、短い距離から歩ける場合があります。ただし、足を引きずる、翌日に腫れる場合は負荷を減らしてください。突然痛みが出た場合は、歩けても先に診察を受けましょう。

Q2.しゃがむと膝がポキポキ鳴ります。音だけでも受診が必要ですか?

音だけで痛みや腫れ、引っかかりがなければ、必ずしも病気とは限りません。ただし、音と同時に痛みが出る、急に腫れる、伸ばしにくくなる場合は受診してください。音を確かめるために何度も深く曲げる必要はありません。

Q3.しゃがむと膝が痛いとき、湿布だけで様子を見てもよいですか?

軽い痛みで改善傾向があれば、負担を減らしながら短期間様子を見られる場合があります。ただし、湿布は原因を治すものではありません。痛みが続く・繰り返す場合や、腫れ、歩行困難がある場合は整形外科を受診しましょう。

Q4.膝が痛くてしゃがめません。正座の練習で曲がるようになりますか?

痛みを我慢した正座の練習は勧められません。腫れや半月板などの病変があると、症状が悪化することがあります。まず原因を確認し、必要であれば痛みの少ない範囲で曲げ伸ばしの練習を行います。

参考文献・参考情報

  1. 日本整形外科学会・日本関節病学会監修『変形性膝関節症診療ガイドライン2023』Mindsガイドラインライブラリ
  2. 日本整形外科学会「変形性膝関節症」
  3. 日本スポーツ整形外科学会「スポーツ損傷シリーズ 33.半月板損傷」
  4. 東京医科歯科大学大学院 運動器外科学「半月板損傷」(旧大学名の公開ページ)
  5. 古松毅之ほか「半月板からみた早期OAの予防と進行抑制」日本関節病学会誌.2019;38(2):85–90.
  6. 「亜急性期MRIでの診断が難しかった大腿骨内顆軟骨下脆弱性骨折の1例」整形外科と災害外科.2015;64(3):407–410.

札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。

院長 川上公誠

(プロフィール)


監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長

岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。

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