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再生医療 膝のPRP治療の流れとは?効果を実感できるまでの期間を解説

「膝の痛みで趣味の散歩がつらい」「階段の上り下りが苦痛」——そんな声を多くの患者さんから耳にします。加齢や膝の負担によって起こる痛みは、生活の質を大きく下げてしまいます。整形外科の治療法のひとつとして注目されているのが、PRP治療(多血小板血漿注射)です。本記事では、膝のPRP治療の流れや、効果を実感できるまでの期間について、専門医の立場からやさしく解説します。
この記事の内容
膝の痛みでよくあるお悩み
膝の痛みは、日常生活のさまざまな場面で支障をきたします。例えば、
- 朝起きて歩き始めるときのズキッとした痛み
- 階段の上り下りで膝がギシギシする感じ
- 正座やしゃがみ込みができない
- 長時間歩くと夕方には痛みが強まる
こうした症状に悩む方は、まず湿布や痛み止め、市販のサポーターなどで対応しがちです。しかし、改善が見られないと「手術しかないのでは…」と不安になる方も少なくありません。
膝の痛みの原因とは?
膝の痛みの背景にはいくつかの原因があります。代表的なのは変形性膝関節症で、軟骨がすり減り関節の動きがスムーズでなくなることで痛みが生じます。その他にも、半月板損傷や靭帯の不具合、炎症による関節水腫(膝に水がたまる状態)なども原因になります。
膝は体重を支える関節なので、どうしても負担が集中します。特に50代以降では筋力低下や軟骨の摩耗が進みやすく、痛みが慢性化しやすいのです。
PRP治療とは?その仕組み
PRP(Platelet-Rich Plasma)とは、自分の血液から採取した血小板を高濃度に濃縮し、膝関節に注射する治療法です。血小板には成長因子が多く含まれており、組織の修復や炎症の抑制を助ける働きがあります。
薬や人工物ではなく、自分の血液を利用するため安全性が高い点も特徴です。スポーツ選手のケガ治療にも用いられており、整形外科領域では膝の痛みに対する保存療法のひとつとして広がっています。
膝のPRP治療の流れ
実際にPRP治療を受ける場合、以下の流れになります。
- カウンセリングと診察
症状や生活習慣を確認し、PRP治療が適応かどうかを判断します。MRI検査にて現在の膝の状態を詳しく確認します。 - 採血
自分の腕から血液を一定量採取します。採血の量は数十ml程度で、一般的な健康診断の採血と大きく変わりません。 - PRPの作成
採取した血液を遠心分離機にかけ、血小板を濃縮します。この工程は20〜30分ほどです。 - 膝への注射
完成したPRPを膝関節に注射します。処置自体は数分で終わり、麻酔は基本的に不要です。 - 安静とアフターケア
注射当日は激しい運動を避け、数日間は様子を見ます。普段通りの生活は大きく制限されません。
効果を実感できるまでの期間
「注射したらすぐに痛みが消えるのか」とよく質問されますが、PRP治療は即効性よりも自然治癒力を促す治療です。一般的には、
- 約2週間で軽い改善を感じる方もいる
- 1〜3か月かけて徐々に変化を実感するケースが多い
- 最大の効果は数か月後に現れることもある
といった経過が見られます。痛みの程度や関節の状態によって個人差があるため、主治医の説明を受けながら経過を見守ることが大切です。
よくある質問Q&A
Q1. 膝に水がたまっていてもPRP治療はできますか?
A. 水の状態によりますが、炎症が強い場合はまず水を抜いて落ち着かせる処置を優先することがあります。そのうえでPRPを行うケースもあります。
Q2. PRP治療は一度で効果が出ますか?
A. 1回で改善を感じる方もいますが、2〜3回に分けて行うことで安定した効果が期待できるとされています。
Q3. 痛みが強いときは安静にした方がいいですか?
A. 無理な運動は避けた方が良いですが、完全な安静は逆に筋力低下を招きます。軽いストレッチや歩行は主治医の指導に従って行いましょう。
Q4. 手術を避けたいのですがPRPで可能ですか?
A. 関節の状態によってはPRPで痛みを軽減し、手術を回避できる場合があります。ただし重度の変形が進んでいる場合は、手術が適切となることもあります。
まとめ
膝のPRP治療は、自分の血液を利用して関節の自然な修復を促す方法です。即効性はありませんが、数週間から数か月かけて徐々に改善を実感するケースが多く、手術を避けたい方にとって有力な選択肢となります。年齢のせいだからと諦めず、膝の痛みに向き合うことで生活の質を取り戻すことができます。気になる症状がある方は、まずは専門医に相談してみてください。
札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。
院長 川上公誠
(プロフィール)
監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長
岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。
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