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膝 人工膝関節の手術はいつ考える?痛み・生活への支障と判断の目安

人工膝関節の手術はいつ考える?痛み・生活への支障と判断の目安

人工膝関節の手術を考える目安は、膝の痛みや動かしにくさで生活が妨げられ、運動療法や薬などの保存療法を行っても十分な改善が得られないときです。主な原因は変形性膝関節症ですが、レントゲンの変形や年齢だけで手術を決めるわけではありません。まずは整形外科で痛みの原因と、これまでの治療内容を確認しましょう。買い物や階段、睡眠に支障が続くなら、まだ歩ける段階でも相談できます。急な腫れや発熱、足をつけないほどの痛みがある場合は、手術の検討とは別に早めの診察が必要です。


監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長

岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。

この記事の内容

人工膝関節の手術を考える目安は「生活への支障」

人工膝関節の手術は、痛みの強さ、日常生活の不自由さ、保存療法の効果、診察・画像所見を合わせて検討します。「何メートル歩けなくなったら手術」という、すべての人に共通する境界はありません。東京整形外科ひざ・こかんせつクリニック

次のような状態が続く場合は、手術を含めて治療方針を見直す相談の目安になります。

確認する点生活の中で気づきやすい変化
歩行・外出いつもの買い物で何度も休む、膝がつらくて外出を取りやめる
家の中の動作立ち上がりやトイレ、階段で痛みが強く、介助が必要になる
休息・睡眠安静時にも痛みが続き、夜中に目が覚める
膝の動き・安定性膝が伸びにくい、変形が進む、膝が崩れる感じで歩行が不安になる
治療の効果治療を続けても生活が改善しない、薬の副作用などで治療を続けにくい

この表は手術の必要性を自己診断するものではありません。一つ当てはまれば手術という意味でもなく、症状の原因と程度を診察で確かめます。

痛みを我慢できても、生活が狭くなっていませんか?

「家にいれば痛くない」という場合も、外出や家事を減らした結果として痛みが少なくなっている可能性があります。痛みの点数だけでなく、「膝のために何を諦めているか」を振り返ることが大切です。

一方、画像で変形が強くても、必要な活動を続けられ、本人が生活に納得している場合は、保存療法を続けながら経過を見る選択もあります。

人工膝関節置換術とはどのような手術?

人工膝関節置換術とは、傷んだ膝の関節表面を、金属や医療用の樹脂などでできた人工関節に置き換える手術です。痛みの軽減と、歩く・立つといった機能の改善を目指します。

主な対象は変形性膝関節症です。関節リウマチや、骨壊死などにより関節の傷みが進んだ場合にも検討されます。変形性膝関節症は、軟骨や半月板、骨などの変化に炎症が加わり、痛みや動かしにくさを生じる病気です。twmu.ac.jp

全置換術・部分置換術・骨切り術の違い

手術主な考え方
人工膝関節全置換術(TKA)関節表面を広い範囲で置き換える。傷みが広範囲に及ぶ場合などに検討する
人工膝関節単顆置換術(UKA)内側または外側の傷んだ部分を置き換える。傷みの範囲や靱帯の働きなどの条件がある
膝周囲骨切り術骨の角度を調整して荷重の偏りを変える。自分の関節を残す手術で、活動性や変形の状態などから適応を判断する

「傷口が小さい方がよい」「若いから必ず骨切り術」とは限りません。傷みの場所、膝の安定性、仕事や運動の希望に合う術式を選びます。人工関節ドットコム

レントゲンで「軟骨がない」と言われたら手術が必要?

レントゲンで関節のすき間が狭くても、その所見だけで手術が必要とは決まりません。画像上の変形と、痛みの強さ・生活への影響は一致しないことがあります。

画像で重症でも、症状が軽い場合

レントゲンは軟骨そのものを直接写す検査ではなく、骨の間のすき間などから軟骨の減少を推測します。変形が進んでいることは重要な判断材料ですが、症状、歩き方、膝の動き、経過を合わせて評価します。

画像で軽症でも、痛みが強い場合

強い痛みを「年齢のせい」と片づけず、別の原因がないかを確認します。軟骨の下の骨に生じる小さな骨折である軟骨下脆弱性骨折や、関節の炎症、腱などの障害が隠れる場合があります。腰や股関節の病気が、膝周辺の痛みとして現れることもあります。

膝以外に主な原因があれば、人工膝関節の手術をしても、その痛みが十分に改善しない可能性があります。手術前には「画像の異常が、今困っている症状を説明できるか」を確かめることが重要です。

整形外科ではどのような検査をする?

  • 診察:痛む場所、腫れ、曲げ伸ばし、ぐらつき、歩き方を確認します。
  • レントゲン:関節のすき間や骨の変形、脚の向きを調べます。必要に応じて立った状態で撮影します。
  • MRI:症状とレントゲンが合わない場合や、骨折・半月板などの病変を詳しく調べたい場合に用います。
  • 超音波・血液検査・関節液検査:水のたまり方や炎症、感染などを疑う状況に応じて追加します。

MRIは、人工膝関節の相談をする全員に必須の検査ではありません。画像検査は診察で確認した問題に応じて選びます。minds.jcqhc.or.jp

手術以外の治療は、どこまで続ければよい?

保存療法は「何か月続けたか」だけでなく、「適した治療を行い、生活がどのくらい改善したか」で評価します。すべての薬や注射を試し尽くすことが、手術相談の条件ではありません。

運動療法・生活動作の調整

太ももやお尻の筋力を保つ運動、膝の曲げ伸ばし、歩行や立ち上がり方の調整が基本になります。痛みや腫れが強い時期は負荷を減らし、落ち着いたら無理のない運動を続けます。自己流で長距離を歩くより、医師や理学療法士と運動量を調整しましょう。

体重が多い方は、筋肉を落とさないように食事と運動を組み合わせて体重管理を行います。杖、膝装具、足底板が負担軽減に役立つ場合もあります。

薬・注射による治療

外用薬や内服薬は痛みを抑えるために使います。内服の消炎鎮痛薬には胃腸や腎臓などへの副作用があるため、持病や服薬状況を踏まえて選びます。

ヒアルロン酸注射は症状を和らげる目的で用いられます。炎症が強い場合には、短期的な症状軽減を目的にステロイド注射を検討することもあります。効果には個人差があり、注射を繰り返すだけで十分とは限りません。手術を予定する場合は、注射の種類と最終実施日を手術担当医に伝えてください。minds.jcqhc.or.jp

保存療法を続けるか、手術相談へ進むか

治療で歩行や家事が改善しているなら、保存療法を継続する意味があります。反対に、適切に治療しても支障が残り、画像・診察でも手術の適応がある場合は、同じ治療を漫然と続けず、手術の利益と負担を具体的に比べる段階です。

すでに手術の適応が確認され、本人も希望している場合に、追加の保存療法を一律に課して手術を延期する必要があるとは限りません。ただし、持病の調整など、安全に手術を受けるための準備は別に必要です。PubMed

手術の相談を先延ばしにしない方がよい場合

歩ける範囲が縮小している、膝が伸びにくくなっている、変形や骨の傷みが進んでいる場合は、早めに方針を見直しましょう。手術を受けるかどうかを相談するために、歩けなくなるまで待つ必要はありません。

  • 膝のために外出や家事が大きく減っている
  • 膝の変形、曲げ伸ばしの制限、不安定感が進んでいる
  • 治療しても睡眠が妨げられるほどの痛みが続く
  • 画像検査で骨のつぶれや関節破壊の進行を指摘されている

活動の低下が長く続くと、筋力や体力が落ちる場合があります。ただし、早く手術すれば誰でもよい結果になるという意味ではありません。本人の希望と全身状態を確認し、今行う場合と待つ場合の見通しを相談します。東京整形外科ひざ・こかんせつクリニック

急な痛み・腫れは、手術の目安とは分けて考える

膝が急に赤く熱を持って腫れた、発熱を伴う、突然足をつけなくなった場合は、当日中を目安に医療機関へ相談してください。感染、偽痛風などの炎症、骨折の確認が必要です。

慢性的な変形性膝関節症があっても、急な悪化を同じ病気のせいと決めつけないことが大切です。

人工膝関節の手術は何歳から?高齢でも受けられる?

人工膝関節の手術に、一律の適齢や年齢上限はありません。年齢に加えて、持病、体力、症状、活動量、手術後の生活環境を確認して判断します。

比較的若い方では、長く使う間に人工関節のゆるみや摩耗が生じ、将来の入れ替え手術が必要になる可能性も考慮します。一方で、年齢だけを理由に強い生活障害を長年我慢し続けることが適切とは限りません。

80代以上でも手術を検討できる場合があります。心臓・肺・腎臓の状態や糖尿病、栄養状態などを評価し、リハビリと退院後の支援も含めて準備します。千葉市立青葉病院

手術を決める前に知っておきたい効果・リスク・回復

人工膝関節の手術では痛みや歩行機能の改善が期待できますが、痛みが完全になくなることや、希望する動作がすべてできることを保証するものではありません。目標と負担の両方を確認して決めましょう。

どのような改善を目指すのか

「近所の店まで歩きたい」「家の階段を使いたい」など、具体的な目標を伝えると、手術で期待できる改善を相談しやすくなります。正座や深いしゃがみ込みは、手術後も難しい場合があります。minds.jcqhc.or.jp

知っておくべきリスク

感染、脚の静脈に血の塊ができる血栓症、出血、骨折、膝の硬さ、痛みの残存などが起こる可能性があります。血栓が肺の血管に詰まる肺塞栓にも注意が必要です。長期的には人工関節のゆるみや摩耗などによって再手術が必要になる場合があります。

リスクを減らすため、手術前には持病の治療状況や感染の有無、薬を確認します。禁煙や血糖管理が必要になることもあります。処方薬を自己判断で中止しないでください。独立行政法人国立病院機構 弘前総合医療センター

入院・リハビリ・費用も確認する

術後は状態に応じて早期から立つ・歩く練習を始めます。入院期間は施設や回復状況で異なり、2〜3週間程度を目安とする病院もあります。退院できることと、仕事や長い外出に十分対応できることは別なので、復帰の予定は個別に相談しましょう。

手術は一般に保険診療で行われ、高額療養費制度の対象になる場合があります。自己負担は年齢・所得・入院月などで異なり、食事代や差額ベッド代などは別に確認が必要です。手術を受ける医療機関で見積もりと退院後の通院計画を確認してください。千葉市立青葉病院

受診前に整理するとよいこと

手術の相談には、痛みの説明に加えて、できなくなった動作と治療歴を持参すると役立ちます。まずは次の内容をメモしてみましょう。

  • どの動作で困るか、いつから悪くなったか
  • 歩ける時間や休憩回数、夜に痛みで起きる頻度
  • 薬・注射・リハビリの内容と、効き方や副作用
  • 手術後に取り戻したい活動、仕事や介護の事情
  • 自宅の階段、通院手段、家族などの支援状況

診察では「手術で改善しそうな症状はどれか」「今待つ場合に注意すべき変化は何か」を確認しましょう。納得できない点が残る場合は、画像や紹介状を用意して別の専門医の意見を聞く方法もあります。

再生医療という新しい選択肢

近年では、従来の治療に加えて再生医療という新しい選択肢も登場しています。特に、幹細胞治療やPRP(多血小板血漿)治療といった方法は、体の自然治癒力を引き出して関節の修復を促す治療法として注目されています。

例えば、脂肪から採取した幹細胞を関節に注入する治療では、変性した軟骨の修復や再生が期待できます。これにより、「もう正座はできないかも…」とあきらめていた方が、再び正座ができるようになったケースもあります。

ただし、再生医療はすべての症例に効果があるわけではないため、適応の有無をしっかり診断してもらうことが重要です。

まとめ|人工膝関節の手術の目安は、痛みと暮らしを合わせて考える

人工膝関節の手術を考える中心的な目安は、適切な保存療法でも痛みや生活の不自由さが十分に改善しないことです。判断では、次の点を押さえましょう。

  • 年齢、歩行距離、レントゲンの変形だけでは決めません。
  • 痛みの原因が膝の関節内にあるかを確認します。
  • 保存療法の効果と、失われている生活機能を比べます。
  • 活動低下や変形の進行がある場合は、相談を先延ばしにしないことが大切です。
  • 手術の効果・リスク・回復過程を理解し、本人の希望に沿って決めます。

手術の相談をした時点で、手術を受けると決まるわけではありません。膝の痛みや生活への支障が続く場合は、整形外科で原因を確認し、自分に合った治療の時期を相談しましょう。

よくある質問

人工膝関節の手術について、迷いやすい疑問にお答えします。

痛み止めを飲めば歩けます。それでも手術を考える目安になりますか?

薬を使っても必要な活動が難しい、効果が不十分、副作用で続けにくい場合は相談の目安になります。薬で症状が安定し、生活に納得できているなら、保存療法を続ける選択もあります。服薬の有無だけでは決まりません。

膝に水がたまる回数が増えたら、人工関節にするべきですか?

水がたまる回数だけで人工関節の適応は決まりません。関節の炎症や変形の程度、痛み、生活への影響を確認します。急な腫れや赤み、発熱がある場合は、感染などの確認を優先してください。

人工膝関節は、15〜20年たつと必ず交換が必要ですか?

決まった年数で必ず交換するわけではありません。使える期間は人工関節の状態、活動量、体重などで異なります。ゆるみや摩耗、感染などがあれば再手術を検討するため、症状がなくても定期診察を続けることが大切です。twmu.ac.jp

手術を勧められましたが怖いです。すぐ決めなくてもよいですか?

多くの場合、説明を聞いて検討する時間を取れます。ただし、骨のつぶれや変形が進んでいる場合などは、待つ影響の確認が必要です。何が不安かを伝え、待つ場合の受診間隔と再検討の目安を相談しましょう。

参考文献・参考情報

札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。

院長 川上公誠

(プロフィール)


監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長

岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。

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