
コラム COLUMN
股関節 股関節を守りながら飛距離アップするには?ケアとトレーニング法

ゴルフを長く楽しむ上で、飛距離アップは多くの人にとっての目標です。しかし、そのために無理な体の使い方を続けてしまうと、思わぬケガにつながることもあります。特に注意が必要なのが「股関節」です。股関節はスイングの軸となる重要な関節でありながら、無理をすると痛みや炎症を起こしやすい部位でもあります。
本記事では、股関節を傷めずに飛距離を伸ばすためのコツや、日々できるケア・トレーニング法について解説します。ケガの予防とパフォーマンス向上を両立させたい方は、ぜひご一読ください。
ゴルフスイングと股関節の関係
ゴルフスイングは「股関節の回旋運動」が中心です。アドレスの時点で股関節を正しく折りたたみ(ヒンジング)、バックスイングでは体重を右股関節(右打ちの場合)に乗せ、ダウンスイング〜フォローでは左股関節へとスムーズに移動させます。この一連の動作により、腰の回転力が生まれ、効率的なパワー伝達が可能になります。
しかし、股関節の柔軟性が不足していると、骨盤や腰椎で無理に回旋しようとし、結果として腰痛や股関節痛を招くことがあります。特に中高年ゴルファーでは、股関節の可動域が徐々に狭くなっていることも多く、注意が必要です。
飛距離を伸ばすには柔軟性+筋力が必要
単に体を鍛えるだけでは飛距離アップにはつながりません。柔軟性と筋力のバランスが重要です。
股関節周囲では以下の筋肉がとくに重要です。
- 大臀筋(だいでんきん):お尻の筋肉で、回旋や前後のパワーに関与
- 腸腰筋(ちょうようきん):股関節の屈曲や骨盤の安定化に関与
- 内転筋群:下半身の軸を安定させる
- 中臀筋(ちゅうでんきん):片脚立ち時の安定性に影響
これらの筋肉が硬くなると、股関節のスムーズな動きが失われ、飛距離どころかスイングそのものが崩れてしまいます。
自宅でできる股関節のケア方法
毎日続けられる簡単なストレッチとセルフケアを紹介します。
1. 股関節前側ストレッチ(腸腰筋)

- 片膝立ちになり、後ろ足の股関節を伸ばす
- 背中を丸めず、骨盤をやや前傾させる
- 左右5セット
2. 股関節外旋ストレッチ(お尻)

- 仰向けで膝を立て、片足をもう一方の膝にかける
- 両手で脚を胸側に引き寄せる
- お尻の外側が伸びる感覚を得る
- 5秒×左右2セット
3. フォームローラーで筋膜リリース
フォームローラーを使って大腿前面・後面・内ももを軽く転がすだけで、筋肉の滑走性が高まり、関節の動きが良くなります。運動前後に1日5分でも取り入れてみてください。
股関節を強化するトレーニング法
ストレッチだけでは飛距離は伸びません。安定した股関節の動きを支える筋力強化も必要です。
1. クラムシェル

- 横向きに寝て、膝を90度に曲げる
- 足はくっつけたまま、上の膝を開閉
- 中臀筋を意識して10回×左右3セット
2. ブリッジ

- 仰向けで膝を立てる
- お尻を持ち上げ、膝・骨盤・肩が一直線になるように
- 大臀筋とハムストリングスを意識
- 10回×2セット
3. スクワット(初級編)

- 椅子の背に手を添えて、両足立ちになる
- 軽く膝を曲げて戻す
- 股関節と体幹でバランスを保つ
- 10回×3セット
無理に負荷をかけるより、「正しい動きで丁寧に」が鉄則です。
股関節に痛みを感じたらすぐに休むこと
少しの痛みでも我慢してスイングを続けると、変形性股関節症などの慢性疾患に進行する可能性があります。以下のような症状が出た場合は、無理せず整形外科を受診しましょう。
- スイング時に股関節の引っかかり感
- 歩行時の鼠径部(股のつけ根)の痛み
- 股関節を回したときの違和感
- 可動域の左右差
早期に治療を開始することで、再生医療や保存療法など手術を回避する治療選択肢も広がります。
まとめ:飛距離と股関節の両立は可能です
飛距離を伸ばしたいという気持ちは、多くのゴルファーに共通です。しかし、無理なフォームや準備不足のままでは、股関節を痛めるリスクが高まります。
「ケガをしない股関節」こそが、長く飛距離を伸ばす最大の武器です。毎日のケアと適切なトレーニングを積み重ね、ゴルフをより楽しく、安全に続けていきましょう。
札幌ひざのセルクリニックでは、患者様の症状に合わせた適切な診断と治療計画のご提案をしております。ひざだけでなく、肩、股関節等の関節、また長引く腰痛などの慢性疼痛の治療も行っております。西18丁目駅徒歩2分、札幌医大目の前にありますので、お気軽に御相談下さい。
院長 川上公誠
(プロフィール)
監修 川上 公誠(整形外科専門医)
札幌ひざのセルクリニック院長
岐阜大学医学部卒業。母が人工関節手術で痛みから解放された経験をきっかけに整形外科医を志し、これまでに人工関節置換術を含む手術を5,000件以上手がけてきました。手術が難しい高齢者や合併症のある方にも寄り添える治療を模索する中で再生医療と出会い、その効果に確信を得て、2024年に「札幌ひざのセルクリニック」を開院。注射のみで改善が期待できるこの先進的な治療を、北海道中に届けたいという想いで、関節に特化した再生医療を提供しています。


各種ご相談やご予約はこちら
- ひざの痛みに関する相談
- セカンドオピニオンの相談
- 再生医療に関する相談
- MRI検査のご予約